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裁判ニュース 

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裁判ニュース特別号5

裁判ニュース特別号7

最高裁判決報告会開催
日時:3月23日 午前10:00〜
場所:ユニゾンプラザ小研修室1 新潟市中央区上所2丁目2番2号


 昨年9月28日に言い渡された最高裁判決は、私達の請求を退けた東京高裁の判決を支持して、上告を棄却する旨の判決を言い渡しました。この裁判は、重い障害のため生活するのに困難をかかえている学生無年金障がい者が、他の人と同じく障害基礎年金を支給してほしいという、憲法14条に基づく切実な思いからです。
 多数の不祥事を含む年金管理のずさんさを露呈した社会保険庁に対して国民が強い怒りをもっている最中に、私達の主張を聞くための弁論も開かずに、一方的に国や社会保険庁の主張を認めた最高裁判決に、不自然かつ不合理なものを感じます。判決は、一連の学生無年金障がい者訴訟の初の最高裁判決ですが、20年の長期にわたって学生無年金障がい者を放置してきた国の無為無策を追認し、憲法を守り国民の基本的人権を保障するという最高裁の役割を放棄したのみならず、特別障害給付金支給法を議員立法で成立させた国会の意思をも軽視するものであって、到底納得できません。
 私達は、年金制度の欠陥を指摘し、「無年金」扱いの解消を求めて立ち上がり、新潟地裁では勝訴判決を受けながら、二審で逆転敗訴となり、さらに最高裁から原告敗訴の判決が言い渡されました。年金制度の谷間に落とされていた障がい者の実態に目をむけることもなく、また、年金制度の理念も無視し、学生無年金障がい者たちを「無年金」のまま放置してきたことを、国(政府・国会)の問題解決への怠慢を指摘することもなく、最高裁は合憲だといいます。血も涙も通わぬ冷酷非情な判決内容について、弁護団から詳細な報告とともに、原告の思いを聞いていただきたいと思います。みなさまのご参加をお待ちしています。


新潟学生無年金障害者を支援する会の解消のお知らせ
 平成13年7月22日の準備会発足以来、約6年半に渡りまして皆様にご支援・ご協力頂きましたが、新潟裁判が終了いたしましたことを受け、役員一同で協議いたしましたところ、「新潟学生無年金障害者の会」は活動を継続し裁判ニュースも随時発行するが、「新潟学生無年金障害者を支援する会」は今年度をもちまして、解消させていただくことに決しました。
 平成13年7月5日の提訴以来、裁判開廷前の支援・傍聴を呼びかけるビラ配り、裁判傍聴、会費の支援等、様々なご支援を頂き、新潟地裁の「勝訴判決」を勝ち取ることができましたことは、会員の皆様の暖かいご支援・ご協力の賜物であり、心より感謝申し上げます。その後、東京高裁・最高裁において残念ながら逆転「不当判決」となりましたが、平成16年に「特定障害者に対する特別障害給付金の支給に関する法律」が不十分ながら制定されたことは、本件解決に向けた一里塚であり、全ての無年金障害者解消に向け今後の活動において上記法律の充実も訴えて行きたいと思っております。
 つきましては、これまでの裁判闘争の全過程を冊子にまとめる作業を行っております。完成次第、会員の皆様にお送りさせていただきますのでご一読下さりますようお願いいたします。

ご挨拶
新潟学生無年金障害者を支援する会会長 青木 学
 皆様には長期に渡り、新潟での学生無年金障害者を支援する活動に、深いご理解と温かいお力添えをいただき、心より感謝を申し上げます。
 ご案内の通り、昨年9月に最高裁判所は、この問題について国の責任を認めず、原告敗訴という結果になりました。新潟地裁では、裁判長が、ノーマライゼーションの理念の広がりによる障害者の自立と社会参加を巡る状勢の変化にも言及し、国の責任を認める画期的な判断を下しました。
 昨今、明らかとなってきた社会保険庁の国民を愚弄する年金行政のあり方を見た時、まさに学生無年金障害者の皆さんは、こうしたいい加減な運営の中で生み出された被害者であるという意を一層強くしました。
 裁判での結論は出されましたが、私たちはこれからも様々な形で、この学生無年金障害者の問題が提起をした、日本の年金行政の課題を社会に訴えていきたいと思っています。
 今後とも皆様の変わらぬご指導、ご協力をよろしくお願いいたします。

平成19年度会計報告
 裁判ニュース27号でもお知らせいたしましたが、最高裁の判決により、裁判費用65万4600円の負担を命ぜられました(東京・広島原告にもほぼ同額の請求)。そこで、以降最高裁が「不当判決」を下すと、各地の原告にほぼ同額の請求がなされると思われるため、全国の原告の意見を聞いた結果、殆どの原告から裁判費用の支払いができないとの悲鳴の声が上がっております。そこで、全国の原告が協調して裁判費用の免除申請をすることになりました(東京原告は免除が認められましたが、広島は難航しているとのこと)。現在、交渉中で認められるか否か分かりません。そこで、認められなければ費用の支払いに充てさせていただきますが、もし、費用免除が認められた場合は、残金511,173円は、今まで手弁当で裁判闘争に関わっていただいた弁護団へ経費の一部に当てていただきたいと思います。弁護団の先生方には、これまで経費を全くお支払いすることなく活動を支えていただきましたので、ご支援いただいた経費の一部に充当していただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

裁判ニュース27号


最高裁、原告の上告を棄却する
「不 当 判 決」
判決主文
1  本件上告を棄却する
       2 上告費用は上告人の負担とする


 9月28日、最高裁判所第2小法廷(津野修裁判長)は、私たち学生無年金障害者が勝訴した新潟地裁の判決を取り消す東京高裁の判決を容認し、私たちの請求を全面的に斥ける「不当判決」を下した。
 平成元年改正前の国民年金法が、「20歳以上の学生」を強制適用の対象から除外して保険料免除の余地をなくしているという点で「20歳以上の非学生」と差別し、かつ、無拠出制の障害基礎年金を受給できる対象から除外している点で「20歳未満の国民」とも差別しており、その双方との差別の結果、稼得活動能力がないため保険料の納付が困難な私たち対して、「20歳以上の学生」でなければ受給できたはずの障害基礎年金を受給できないという、著しく不合理な差別が憲法14条に違反しており、かつ、社会保障を平等に受け記者会見る権利や生存権が侵害され憲法25条にも違反する。さらには、任意加入しなかった場合に障害基礎年金が受給できないという、「不利益の告知」がなされていなかったから、憲法13条及び31条にも違反するとする私たちの主張に対して、最高裁判決は、「国会の広い立法裁量を逸脱するものではなく違憲とは評価できない」として、私たちの上告を棄却しました。
 この裁判は、重い障害のため生活するのに困難をかかえている学生無年金障害者が、「人間らしく生きるためにも障害基礎年金の支給を」という切実な思いに基づくものであり、この判決は到底容認することができません。

1 遁所直樹氏 
 新潟原告を支えてくださった皆さん、今までありがとうございました。まだ各地で最高裁を控えている原告がおりますのでこの運動は終わりではありませんが、ひと区切りとしてご挨拶申しあげます。
 2007年9月28日、東京原告、新潟原告に対する最高裁判決が言い渡されました。「主文:本件上告を棄却する。上告費用は上告人らの負担とする」
 すでに季節は9月の後半を迎え、涼しいはずが、当日東京都内は真夏日を思わせるような暑い1日でした。最高裁南口に集まるようにと言われ、日陰も少なく、日向にいる時間が長く、体温調節の難しい私にとって、待つことも試練でした。朝8時半に新潟を出発し、11時頃から13時まで外で待たされ、やっと入場することができました。(その前に取材用に入廷するための映像撮影が行われました)1階のエレベーターに到着するまでつづらおりのようなスロープを登り、2回エレベーターを乗り換え、3階の第二小法廷に到着したとき、その入口は45度の傾斜のスロープが用意されていました。天井を見るような形でやっと入ったところ、それ以上は入る事ができず、私たち車いす利用者は原告席に入れないまま、傍聴席の後におりました。13時30分からマスコミのための撮影に合わせ津野裁判官以下4名が入廷され、無表情で2分間沈黙があった後、判決がありました。待ち時間の割に言い渡しが10秒程度でした。
 判決の内容は、受理しないことから二審の内容を支持するもので、結果は敗訴ということが解っていましたが、今更ながら、新潟弁護団の先生がたの再提出された意見書もみず、いたずらに歳月を経過した後の判決であることに、胸が痛みました。
 私たちの裁判は社会保障の裁判として注目されたものです。朝日裁判、掘木裁判に続く第3の社会保障裁判として金沢大学の井上先生が論評を出してくださっています。先の二つの裁判が法律が作られたものでなく、改正されたあるいは、配慮されたという結果になりましたが、私たちの裁判では新しく法律が作られたことに大きな意議がありました。少なくとも立法府がその不備を認めたのです。
にもかかわらず、司法は立法府の広範な裁量権を認め、私たちの訴えを聞かずに退けました。最後の判決文書を見ると、生活保護があるからいいではないか、障害者基本法という法律があるから、障害者には配慮されている。というものでした。生活保護は他法優先であり、自立支援から見れば最後のセーフティーネットであり、地方裁判所、高等裁判所でさえ生活保護については言及してなかったものです。自助努力を強制しながら、生活保護で良いだろうという表現は、私たちの訴えをまともに聞いていないことを裏付けています。さらに障害者基本法は理念にとどまり、強制力はなく、証拠として効果はないということで、司法が退けてきたものをこの場で使うということは、不信感を持ちました。障害者基本法を持ち出すならば、私たちの訴えを裏付けるものであり、支持するものではないでしょうか?私たちの裁判にとどまらず、広範な裁量権という表現が独り歩きすると、危険な気がいたします。
 また、障害者基本法でなくて障害者差別禁止法というしっかりとした法律を制定し、合理的な配慮の欠如の中に、この障害基礎年金が支給されないことが含まれるまでしっかりとした法律制定の運動の取り組みをしていかなければならないことが見えてきました。
 私は、新潟県弁護士会が主催した憲法50周年記念の憲法劇「耳を済ませて」の時に和田先生と出会うことができました。憲法を守り、国民の基本的人権を尊重する。生存権の大切さなどを説いた内容に感銘を受けたことを覚えています。
 今回の判決を振り返ると、国の三権分立と言いながら司法は行政とつながっていると思えてしまうのは思い過ごしでしょうか?
 この裁判の判決の言い渡しの後、北海道の仲間が不慮の事故で亡くなりました。東京駅でお会いして、北海道の判決には必ず行きますと話したばかりでしたのでその悲しみは言い表せないものでした。声をあげて泣きました。1日中泣きました。彼の無念さそして今回の裁判の不誠実さを感じざるをえませんでした。
 まだ学生無年金障害者裁判は、北海道から大阪まで継続中です。新潟は残念な結果で終わりましたが、この問題がここで終わるのではなく、障害基礎年金、さらには年金問題として考えていかなければならないことと思っております。
 これまでのご支援を感謝いたします。そして今後も続くこの問題に注目していただきご支援、ご指導をおねがいいたします。

2 阿部正剛氏
 最高裁判所判決!! 当然その知らせがやってきた。判決日1週間前に携帯電話が鳴り、「○○新聞社ですが、最高裁の判決が9月28日に下されるのですが、ご感想は?」。・・・え!何それ?
 平成10年に遁所さんが障害基礎年金の支給を求め「裁定請求」をしたことを新聞で見て、翌年に私も「裁定請求」をしたが棄却。審査請求・再審査請求も棄却され、その間、地道に支援者を募りながら、ようやく、平成13年7月5日に新潟地裁に提訴。しかし、ここからが本当の闘いの始まりでした。雨の日も雪の日も街へ出て支援や傍聴を呼びかける活動を行い、床ずれや疲労で気力も体力も使い果たしながらも裁判を続けた。その結果、平成16年10月28日、「原告らは、国民年金制度の不備欠陥と周知の不十分により無年金障害者にならざるを得なかったのであり、何ら非難されるべきではない」、「障害者が社会で自立するためには障害年金が不可欠である」として、国の責任を厳しく断罪し、不合理な差別にあたり憲法14条に違反するとの明快な判断を示し、私たちの主張をほぼ全面的に認める判決を下した。この判決により、国はようやく自らの非を認めるがごとく、一部の無年金障害者を対象とした「特定障害者に対する特別障害給付金の支給に関する法」を制定したが、年金の枠外であり、支給金も障害基礎年金より低い4〜5万円等、依然「差別」が存在する法律であった。
 しかし、翌年9月15日の東京高裁判決では一転、「国会の広い立法裁量を逸脱するものではなく憲法違反ではない」として、不合理は認めながらも「著しく」不合理ではないと14回、また「立法府の裁量の範囲内」も5回も繰り返し、苦しい言い訳をしながら国の無為無策を追認し、国の怠慢を追認する絶対に容認できない判決を下したのだ。わたし達は即刻、最高裁判所に上告した。
 わたし達は、最高裁が憲法の守り手として、国民の基本的人権を保障するという役割を示すことを強く求め、「口頭弁論の開催と公正な判決を求める」10万人署名を集める活動、平成18年7月26日には「学生無年金障害者訴訟の勝利をめざすみんなのつどい」を開催するなど、より多くの世論に訴える活動を展開しました。しかし、期待は見事に裏切られ、多くの国民の声にも耳を傾けることなく口頭弁論を開催せずに、平成19年9月28日午後1時30分より判決の言い渡しをおこなった。「本件上告を棄却する。上告費用は上告人らの負担とする」。約8年に及ぶ活動が15秒で締めくくられた思いでした。最高裁も同様に国の無為無策を追認し、上記の特別障害給付金支給法を議員立法で成立させた国会の意思をも軽視する判決を下したのだ。
 私が裁判に参加したのは、わたし達は「障がい者」という特別な人間ではなく、一人一人が普通の国民であり、普通の人間である。しかし、通常の人間的な生活を過ごす為の困難さを持っているから、国の役割は、この困難さを解消する為に憲法14条・25条・13条等を根拠に障がい者の自立及び社会参加の支援等を推進することである。たとえ重度の障がいを有しようとも、障害基礎年金を中心とする支援を受けることによって、実質的な所得配分の平等性が確保されることで、初めて社会参加や平等な生活が実現すると思っている。偶然にも障がいを負った事さえも所得保障の制度の谷間で、結果として自己責任として障がいがなければ必要のない費用までも、障がいを負った体で自ら捻出しなければ生きてはいけない。せめてこの現状を変えてほしい、障がいのない人たちと可能な限り、同じ条件に置かれるような状況を国が責任を持って作り出してほしいと思ったからだ。
 しかし、最高裁は無年金障害者の現状をなんら直視することなく、国の無為無策を追認し、法の番人たる役割を放棄したのである。私はこのような判決を到底容認することはできない。
 最後になりましたが、これまでの皆様のご支援ご協力に心から感謝申し上げます。まだ、北海道や大阪など他の裁判は続いております。今後の裁判の動向にもご注目頂きますようお願い申し上げます。

学生障害無年金訴訟・最高裁判決について
弁護士 今井 慶貴

1 はじめに
 本年9月28日、学生障害無年金訴訟(新潟事件と東京身体事件)につき、初の最高裁判決が言い渡されました(10月9日には広島事件についても判決がありました。)
 判決は、いずれも、裁判官全員一致の意見として、学生無年金障害者である原告ら(元学生)の上告を棄却し、障害基礎年金の不支給処分取消請求と国家賠償請求を認めませんでした。

2 判決のあらまし
 第1に、平成元年改正前の国民年金法が、20歳以上の学生でない者とは異なって、20歳以上の学生を国民年金法に強制加入とせず任意加入にとどめ、保険料の免除も認めていなかったことが、法の下の平等(憲法14条)に違反しないかという点についてです。
 判決は、昭和57年の堀木訴訟判決を引用し、国民年金制度を具体的にどのように制度設計するかの決定は立法府(国会)の広い裁量にゆだねられており、それが著しく合理性を欠き、明らかに裁量の逸脱、濫用とみざるを得ない場合を除き、裁判所が審査判断するのに適さず、ただ、受給権者の範囲、支給要件等につき何ら合理的理由のない不当な差別的取扱いをするときは憲法14条となりうるとの立場に立った上で、@学生は、一般的には収入がなく、保険料拠出能力もないこと、A20歳以上の学生が専ら障害による稼得能力の減損に備えて被保険者となることは、負担に見合う実益が常にあるとまではいい難いこと、B学生を強制加入とした場合に、親に相応の所得がある限り、学生は保険料免除を受けられず、加重な負担になること、C障害者には、障害者基本法等による諸施策が講じられており、生活保護制度も存在していることなどからすれば、著しく合理性を欠く不当な差別的取扱いとは言えないとしました。
 第2に、傷病の初診日において20歳未満の者に無拠出制の年金を支給していたのに、20歳以上の学生に対してはこのような措置を講じなかったことが、法の下の平等(憲法14条)に違反しないかという点についてです。
 判決は、@無拠出制の年金給付は、国民年金事業や国の財政事情に左右されるところが大きく、立法府は、無拠出制の年金を設けるかどうか、受給権者の範囲、支給要件等をどうするかにつき、更に広範な裁量を有していること、A20歳以上の学生は任意加入によって国民年金の被保険者となる機会が与えられていたこと、B障害者基本法、生活保護法等による諸施策が講じられていることなどからすれば、著しく合理性を欠く不当な差別的取扱いとは言えないとしました。
 第3に、上記第1、第2の両区別により、20歳以上の学生は、国民年金に任意加入して保険料を納付しない限り、いずれの障害基礎年金も受給することができなかった「はざま差別」が法の下の平等(憲法14条)に違反しないかという点についてです。
 判決は、20歳以上の学生は、他の2者(20歳以上60歳未満の学生以外の者及び20歳前障害者)のいずれとも異なる身分ないし地位にあったのであり、両区別により他の2者との間に生じる障害基礎年金の受給に関する差異を考えても、何ら合理的理由のない不当な差別的取扱いであるとは言えないとしました。

3 判決の評価
 この判決の評価について、弁護団での議論も踏まえて、次の5点を指摘したいと思います。
 第1に、堀木訴訟判決を全面的に踏襲し、社会保障給付立法について国会の立法裁量をきわめて広範に認めています。
 第2に、旧国民年金法の合理性を裏付ける理由は、国が主張してきたことを表面的に切り貼りしたものに過ぎず、弁護団が詳細に指摘してきた点について十分な検討がなされていません。
 第3に、平成元年改正前の法律を検討するのに、平成5年に制定された障害者基本法(それ以前は心身障害者対策基本法)を指摘していることや、昭和60年改正において無拠出制の障害福祉年金が拠出制と同額の障害基礎年金に一元化された経緯を見ないなど、社会保障制度の歴史についての基本的理解が欠如しています。
 第4に、矛盾する2つの制度を一体としてみた場合に不合理性が生じてくる「はざま差別」の合理性について、全く具体的な理由づけが述べられていません。
 第5に、東京・新潟両地裁の一連の違憲判決を契機として、議員立法で制定された救済立法(特別障害給付金制度)という形に表された立法府の意思を軽視しています。
 そもそも、学生障害無年金の問題は、立法の誤りにより生じ、長年にわたり放置されていた立法・行政上の問題です。これに対し、最高裁は、国民の受けた不利益を救済しようとするのではなく、「広い立法裁量」という名の免罪符を与えてしまいました。まさに、「国にやさしい判決」と言うほかありません。

今井弁護士、高野・新井弁護士(東京弁護団)、阿部原告、辻澤弁護士

★来年3月頃に、最高裁判決の意味、批判、他の裁判の行方など、直接皆様にお知らせしたく、「最高裁判決報告集会」を、予定していますので、後ほど日程のご案内を申し上げます。

裁判ニュース特別号6

消えてしまった年金!?もらえない年金!?どうなる年金!?
 社会保障のエキスパート黒岩宇洋氏と、在日の方たちの年金保障を古くから取り組んできた金ジョンオク氏を迎えて年金問題勉強会開催
7月8日(日)18:30(開場)〜20:30新潟市総合福祉会館5階大会議室

黒岩宇洋氏(民主党新潟選挙区候補)
昭和41年10月13日生 4男3女の長男。
昭和57年4月、新潟県立六日町高校に入学。
昭和60年4月東京大学教養学部文科T類へ進学 昭和62年、東京大学法学部へ進学するも平成3年に中退。
平成13年、福祉の現場に更に深く関わるべく、高齢者・障害者介護福祉の総合会社である「(株)日本アビリティーズ社」に入社。ここでの実践的勉強が現在の国会での政策立案に大きな影響を与えています。平成14年、参議院新潟県選挙区補欠選挙に「民主」・「社民」・「旧自由」・「連合」・「市民団体」の5本柱から推薦を受け無所属候補として立候補を表明。同年4月28日、相手候補に約20万票もの差をつけて見事初当選!!平成17年12月13日、選挙中に掲げていた「3年間無所属」の公約をしっかりと果たし、晴れて民主党に入党。
活躍の場を更に広めた「越後の暴れん坊」こと黒岩たかひろは、地元新潟県民の想いを背に、現在の最大の政策である「政権交代」に向け只今驀進中です。「無年金障害者問題を考える議員連盟」事務局長

金ジョンオク氏(民主党比例区候補)
1955年山口県下関市で出生在日韓国人2世
1988年北九州市立大学法学部U部中退
2005年日本国籍を取得
1988年東京都葛飾福祉工場(社会福祉法人・東京コロニー経営)勤務
1992年当事者として在日外国人障害者の無年金問題に取り組む
1998年DPI日本会議が設置したDPI障害者権利擁護センター所長に就任。
現在DPI日本会議の事務局次長、DPI障害者権利擁護センターの所長。障がい者、家族等を対象とした相談活動を担当。主な著書、「当事者がつくる障害者差別禁止法案―保護から権利へ」。在日外国人無年金障がい者

黒岩宇洋氏
@ 消えた年金問題」の本質
 無年金障がい者問題を通して一生懸命に年金制度を勉強した。その中で、いかに年金制度が曖昧模糊(あいまいもこ)とした制度であるかということを実感した。年金の財政方式として賦課方式と積み立て方式があるが、国は両者の用語を都合の良いように使い分けている。積み立て方式とは、現役世代の支払った保険料を積み立てて、将来の老齢年金等に使われる方式であり、賦課方式は、今、現役世代が支払った保険料を今の老齢年金等に使われる方式(現在の高齢者に仕送りをしているようなもの)。では、今の日本の年金の方式はどちらかというと、厚生労働省は修正賦課方式と答えるだろう(賦課方式が原則で積み立てもしている)。
 実は、財政方式の違いが現在の社会保険庁の「消えた年金問題」と大きく関係している。当初、安倍首相は、「国民の皆さんが保険料を納めたことを、領収書等を持てきて『自分で』証明してください」と言った。多くの国民の皆さんは、いずれ自分が納めた保険料が自分に年金として支給されるのだから、自分にとって良いことを国がしてくれているのだから、やっぱり自分で証明しなくてはいけないのかなと思ってしまう。ところが、これは「積み立て方式」の話である。しかし、わが国は、原則「賦課方式」である。現役世代の収入から、「今の」老齢年金等に使うためのお金を法律で保険料を納めさせている。そう考えると、どうして取り立てた側が、そのお金をちゃんと管理していないのか。どうして、法律に従って保険料を納めている国民が、納めたことを「証明」しなくてはいけないのか。厚生労働省は都合の良いように、「積み立て方式」と「賦課方式」の理屈を使い分けているのである。
 今回の(社会保険庁の)問題はトカゲのしっぽ切りなんです。厚生労働省は何にも痛くないんです。国民の皆さんの怒りの矛先は社会保険庁に向いている。年金制度を変えられてしまいますと年金の積立金200兆円の無駄使い等がばれてしまうから、社会保険庁を悪者にすることによって、年金制度の変革に手を突っ込ませないようにしている。今回の一番の問題は、社会保険庁のトカゲのしっぽキリではなく、民主党のいう、税方式を導入した「本格的な」年金制度改革なのです。そこで、そのようにならないように何とか年金制度改革に飛び火しないように、社会保険庁を悪者のままにしようとしている。このように、「賦課方式」と「積み立て方式」の違いはものすごい重要なことなのです。
 このような根本的な議論を何とかしようとするのが、今回の参議院選挙だと思います。「賦課方式」と「積み立て方式」の違いが如何に重要なのか国民の皆さんに理解していただけるよう努力していきたいと思っております。
A無年金障がい者問題について
私が初当選して一ヶ月も経たないうちに衆参両議員約700名に無年金障がい者問題の勉強会開催のお知らせを配付したが、集まったのは私を含め3人であった。しかし、自民党と一緒になって議員連盟を作らなくてはならないと思い、半年間、もうお百度参りですね。最後はもう顔を見るのも嫌だと言われるくらいお願いして、やっと八代英太(当時、自民党衆議院議員)先生に会長を引き受けてもらい、「無年金障害者問題を考える議員連盟」を発足できた。
 平成16年3月の東京地裁判決で原告勝訴をきっかけに、議連を中心に法律を作ろうということになったが、与野党で大変な議論になり紆余曲折があった。しかし、与党の賛成が無くては可決できないため不十分な点を数多く残した(支給額が障害年金の6割であるとか、在日外国人が含まれていないなど)ものではあるが「特定障害者に対する特別給付金支給に関する法律」を制定することができた。しかし、これで終わりではない、これからも全ての無年金障がい者の解消に向けて活動を続けていきたいと思っております。

金ジョンオク氏
@「無意識」による「差別」
 DPI全国事務局のスタッフとして、当事者からの相談活動を担当している。単に電話で相談を受けるだけでなく、同じ当事者としてどうしたら権利擁護ができるのか、と言う考え方に基づいて相談活動をやってきた。
 相談例として 電動車椅子の人が、3年間も利用していた床屋さんからある日突然、「店のイメージが悪くなるから来ないでくれ」と言われた。本人もスパゲッティ屋に入ろうとしたら入店拒否されたことがある。同様に、「店のイメージが悪くなる」と言われた。それは、「差別ですよ」といったら、店長は「心外だ」と顔色を変えて怒り出した。お店の人は「差別をしている」という意識は全くないことである。現在の「差別問題」の大きなポイントは「無意識」による「差別」である。
 世界で50近くの国で「障害者差別禁止法」のようなものが制定されている、さらに、昨年末、国連でも、「障害者権利条約」が決議された。日本では、昨年に千葉県で障害者差別をなくすための「条例」が制定され、具体的に8分野で何が差別にあたるかを明らかにした。今の日本の「障害者基本法」は理念法であって、具体的な差別を禁止している「法律」ではない。はやく日本でも「障害者差別禁止法」が制定されるよう活動をおこないたい。
A障害者差別禁止法についての取り組み
 私も、無年金障がい者です。国民年金法などが作られていく中で、基本的に、在日韓国・朝鮮籍者は社会保障制度から除外されていた。ようやく、1982年1月に国民年金法の国籍条項が撤廃されたが、そのとき既に20歳以上で障がい者になっていた人や60歳以上の高齢者は適用除外(障害・老齢年金は支給されない)された。だいたい在日外国人の無年金障がい者は約5000人いるといわれているが、特別給付金支給の対象外とされた。なぜ、対象外なのか自民党の議員に聞いたところ「もともと在日外国人は、国民年金法の対象外だったじゃないか」と門前払いであった。しかし、もっと早く法律を改正して国籍条項を撤廃すべきであったのにそれを怠っていたのであって、国の責任は大きいと思う。今後の活動として、全ての無年金障がい者の解消の為の法律の作成作業に携わりたいと思っている。
 障害者差別禁止法と無年金障がい者がすぐに結びつくかというと、なかなか難しいところがある。まず、障害者自立支援法によって、正当な福祉サービスを受けることができなくなっている障がい者が増えている現状と、支援法は障がい者が障害年金を受給していることを前提に「応益負担」を導入している。無年金障がい者は自立支援法の枠外に追いやられ、正当な福祉サービスを受けられない状況にあり、制度上の差別的な取り扱いにあたる。しかし、現状では、法律である以上改正するには時間がかかる。障害者差別禁止法の制定により、現状の法律の差別的な取り扱いの見直しを促すことができると思っている。

裁判ニュース特別号5

最高裁判所へ、大法廷での弁論開催と公正な審理を求める要請行動を行っています!!

 現在まで、皆様から頂いた、「弁論開催と公正判決を求める要請署名」(累計45,640筆)を届けるため、5回(平成18年7/24・10/10・11/31・平成19年2/28・4/11)最高裁判所へ足を運んでいます。最高裁側は、上席書記官1名が約30分間わたしたちの話を聞いてくれます。(過去の裁判では、調査官(裁判で提出された資料を要約し裁判官に渡す重要な役割)が会ってくれたようですが、現在は会ってくれません)

署名を提出すると共に、以下のような訴えを行っています。
★障害者の取り巻く現状・自立支援法施行により定率負担がはじまり、無年金障害者はますます生活が困窮していること。私たちの声の後には多くの無年金障害者がいる。弁護団、原告、支援者から、弁論開催にて私たちの生の声を聞いてほしい、その上で公正な審理をしてほしい。

(平成19年2月28日最高裁東門前 前列左:阿部)
★憲法14条、同法25条を中心に、障害者の人権が問われている事件であり、御庁が「憲法の番人」であることを期待している多くの障害者、国民がいます。全国の障害者及び関係団体をはじめとする国民の民意に耳を傾け、慎重かつ公正なる審理を尽くされるようお願いします。

★司法の最高府である最高裁においては、格差社会への国民感情に合った審理をお願いします!3億円の保釈金を積み獄中から出所し、家賃月250万円のマンションに帰る人もいれば、たかだか月8万円の所得保障もない無年金障害者がいます。自助努力の限りを尽くして生きてきた原告・家族たちに思いを寄せてください。@国民に見える裁判を(口頭弁論の開催を)A庶民の感覚にマッチした判決をB平等を実感できる判決をお願いします。

(平成18年11月31日最高裁東門前 中央:遁所)
 また同日に、厚生労働省交渉と「無年金障害者問題を考える議員連盟」の国会議員を中心に、無年金障害者解消を訴える要請行動も行っています。

◎2月28日の厚労省交渉
▲原告団:2月26日の仙台高裁での原告勝訴判決の示したものは、これまでの高裁2地裁3件の判決が示した初診日主義の厳格な解釈は、不合理であるということを示している。単に医師に罹ったかどうかだけを問題にして、障害年金を支給しないのは不合理であるということである。これほど重大な判決が出ているのに、責任者(課長)が出てこない姿勢を叱責する。これまで、5年以上の長い間あなたたちと交渉をしてきたことは、いったい何なのか、責任ある対応の改善を求める。
▲厚労省側:仙台高裁判決については厳しく受け止めている。初診日認定の問題については、運用については検討させていただいていますが、なかなか・・動いていない状況です。上告断念については関係機関と検討しなければなりません。(数日後、最高裁へ上告)
引き続き署名活動を行っていますので、
ご協力いただきますようお願い申し上げます。

☆既提出の要請署名数 総数 4万5640筆
4月1日現在、6万4千筆寄せられています。6月末をめどに、目標の10万筆達成を目指しています。よろしくお願いします。
 大阪原告(10名)の大阪高裁判決を残し、全国9ヶ所で闘われた裁判も、いよいよ最終審である最高裁での審理に入りました。(大阪高裁判決も今年度中に言い渡される予定)平成13年7月5日新潟地裁に提訴してから、6年の月日が経とうとしています。(「裁定請求」をしてから約10年です)長く厳しい裁判も、今年度中に最高裁判決があると思われます。

各地の裁判・判決状況
地域(原告数) 地裁判決 高裁判決 最高裁
北海道(3名) 2005.7.4敗訴 札幌高裁【2007.3.30 敗訴】 上告中
岩手(1名) 2006.3.27勝訴 仙台高裁【2007.2.26勝訴】 上告中
新潟(2名) 2004.10.28勝訴 東京高裁【2005.9.15敗訴】 第2小法廷
東京身体(4名) 2004.3.24勝訴 東京高裁【2006.3.25敗訴】 第2小法廷
東京精神(2名) 2005.10.27勝訴 東京高裁【2006.10.26敗訴】
東京高裁【2006.11.29勝訴】
第2小法廷
京都(2名) 2005.5.18敗訴 大阪高裁【2007.2.27敗訴】 第2小法廷
大阪(10名) 2006.1.20敗訴 大阪高裁で審理中、10月結審
岡山(1名) 2005.8.23敗訴 広島高裁【2006.10.19敗訴】 第?小法廷
広島(2名) 2005.3.3敗訴 広島高裁【2006.2.22敗訴】 第3小法廷
福岡(1名) 2005.4.22勝訴

※「東京身体」原告4名のうち1名は東京地裁で勝訴確定
※「東京精神」原告2名は、高裁で判決が分かれた。


裁判ニュース特別号4

「学生無年金障害者訴訟の勝利をめざすみんなのつどい」大成功!!

 7月23日(日)東京都新宿区箪笥区民ホールにて開催された、「学生無年金障害者訴訟の勝利をめざすみんなのつどい」が約300名の方にご参加いただき開催することができました。
 新潟からは、青木学 新潟学生無年金障害者を支援する会会長(新潟市市議会議員)、島田伸子 同副会長(三条市市議会議員)はじめ6名のご参加と、142名(含団体)のご賛同(賛同金353,000円)を頂き心より感謝申し上げます。
(新潟からの参加者)

 つどいは、学生無年金障害者訴訟全国連絡会吉本会長の挨拶で始まり、来賓挨拶の後、全国弁護団長・石口俊一弁護士は、「2001年7月から起こした30名の訴訟は、国民の権利としての闘いであり、国の憲法違反の判決を勝ち取り、特別障害給付金制度を確立させた意義は大きく、その闘いは大きく広がっている」とこれまでの裁判の経緯報告がありました。そしていよいよ各地の原告登場!!リレートークが始まりました。
 リレートークには、全国各地よりほとんどの原告若しくは家族が参加し、学生時代に遭遇した不慮の事故で障害者となった時の様子や思い、さらに無年金にならざる得なかった悔しさ、切なさや悲しみなどが切々と訴えられました。一人ひとりの胸に迫る発言に、会場からも目頭を押さえながら聞いている姿もありました。
 その後、休憩をはさみ、お忙しい中駆け付けてくれた、黒岩宇洋参議院議員が、「議員連盟を立て直し力強いものにし、無年金解決に向けて頑張ります」との挨拶を頂きました。また、東京弁護団長・高野範城弁護士より「最高裁で闘う意義」(福祉新聞コピー裏)について迫力有る訴えがあり、会場に詰めかけたみんなで気持ちを新たにし、行動提起、アピールの採択をおこない、さらに今後の闘いも粘り強く行っていくことをみんなで確認しました。最後に、学生無年金障害者への年金支援を実現する関西の会代表の鴨居慶雄氏より、閉会の挨拶があり、まだ会場の盛り上がりの余韻を残しつつ、つどいを終えました。

 翌24日は、午後1時より最高裁判所・訴廷上席書記官、酒井自之氏と面会。弁護団事務局長・和田光弘弁護士(新潟弁護団団長)、原告代表・阿部正剛らが、長期に渡り放置されてきた無年金障害者問題を「法の番人である最高裁」の力で解決してくれるように、実態・現状を交えながら訴えました。(阿部・遁所を先頭に、最高裁に要請に入るところが福祉新聞1面に掲載、別紙)最後に定期的に面会をしていただけるよう申し入れたところ、他にも沢山の方が面会を申し入れているので1ヶ月に1回として下さいとのことでした。今後各地より「道理ある最高裁判決を求める要請書」を携えて、最高裁に面会に行くつもりです。そのために、10万人の署名をめざし活動していく所存でございますので、皆様のご協力をお願いします。(別紙同封)

阿部正剛原告のリレートーク
 私は昭和60年に父の鍼整骨院を継ぐため、昼間部と夜間部の2つの専門学校に入学しました。その学生生活も卒業を間近に控えた昭和63年に、六本木にあるディスコ「トゥーリア」で巨大照明装置が落下する事故に巻き込まれ下半身麻痺となりました。
 新潟地裁は平成16年10月28日、「原告らは、国民年金制度の不備欠陥と周知の不十分により無年金障害者にならざるを得なかったのであり、何ら非難されるべきではない」、「障害者が社会で自立するためには障害年金が不可欠である」として、私たちの主張をほぼ全面的に認める判決を下しました。立法府と行政府によって無視されて苦しめられさいなまれてきた私たちのとの訴えを最後の砦である司法が聞いてくれたのです。しかし、昨年9月15日東京高裁判決では、国会の広い立法裁量を逸脱するものではなく憲法違反ではないとして、20年の長期にわたって学生無年金障害者を放置してきた国の無為無策を追認し、法の番人たる司法の役割を放棄した判決を下しました。この判決は絶対に容認できません。最高裁判所には、国に対し障害を個人又は家族の問題とすることなく、ノーマライゼーションの理念を実現し、障害を有していても個人の尊厳にふさわしい生活ができる法制度の確立を促す判決を求めます。障害を抱える人達が、息を潜めてじっと社会の片隅でビクビクしながら生きる時代は早く終わりにして欲しいのです。これからもご支援、ご協力よろしくお願いします。

遁所直樹原告(父代読)のリレートーク
1987年6月25日 新潟市五十嵐浜でダイビングした私は、海底に激突し首の骨を折り、心臓停止、海底に横たわること十数分、奇跡的に蘇生しました。しかし、手足が不自由となる重度障害者となりました。
入院中ケースワーカーから、手帳ができたら障害基礎年金を申請しなさいと言われ、その後、国民年金課の窓口で申請したところ「あなたは国民年金をかけていないので障害基礎年金がおりません」といわれ何のことかさっぱり分りませんでした。
怪我をして半年後に母親が亡くなり、父と二人で、何も保障が期待されない中、とにかく生きていることを感謝して生きてきました。
医療で生かされても、社会で生かされなければ意味がない。訴訟に加わったのも、私たち重度障害者は人間であるということを訴えていると思います。
1993年頃、原静子さんたちが開かれた無年金障害者救済を求めるシンポジウムの新聞記事を見つけました。私一人が無年金ではないのだと勇気が湧きました。和田弁護士との出会いで「やるんだったら手伝うよ」の一言で、新潟訴訟の原告となったのです。裁判を通して国民年金法の不備を知りました。新潟では、弁護団や多くの支援者に恵まれ勝訴判決を得ました。しかし、高裁で不当判決を受け、最高裁に上告しています。また、無年金障害者問題を考える議員連盟結成につながる黒岩議員との出会いもあり、運動に寄与できたと、ちょっと自負しています。床ずれで東京行動に参加できない私に代わり、何度も足を運び、体を酷使し、難聴をさらに悪化させた年老いた父。ともすれば心が萎える私に「期待せずあきらめず」と共に闘ってくれた父。最高裁で勝利をめざし父と頑張ります。

=いざ最高裁・闘志満々原告たち=
        原告の会「全国学生無年金障害者訴訟」 副代表 菊井俊行

 会場の『新宿箪笥区民ホール』は320人の全国から集まった支援者で膨れあがりました。7月23日(日)に行われた『学生無年金障害者訴訟の勝利をめざすみんなのつどい』の様子です。
 我々原告の戦いは7月で法廷闘争から丸5年。裁定請求から数えると8年もの長期となりました。『制度欠陥の解りやすい任意加入時の学生を突破口に全ての無年金障害者の救済を!』を合い言葉に戦ってきた私たちにも司法の最高機関『最高裁判所』の姿がついに見えてきました。この機会に全国9地裁の原告が絆を深め、結束をより一層強め、最高裁大法廷での審理、そして勝利を勝ち取るために集いました。
 この『つどい』のメインイベントは『原告・家族によるリレートーク』です。北海道から福岡まで、勝訴が確定した2名を含め22名もの原告・家族が集結(障害からくる体調不良などで欠席の8名はコメントで参加)。それぞれが今現在の思いを熱く語りました。最後に『原告の会・全国学生無年金障害者訴訟』の阿部正剛代表が「非情に厳しい戦いだが我々には不屈の闘志がある。全ての障害者が自立と社会参加ができる経済基盤を確立するために今後も粘り強く活動を続けてゆくことを表明します」と締めの挨拶。拍手鳴りやまない中、無事リレートークが終了しました。
 来賓には「最低保障年金制度で全ての無年金障害者をなくしたい」と『無年金障害者問題を考える議員連盟事務局長』黒岩宇洋(民主党)議員が−黒岩宇洋参議院議員
 また明らかに国籍差別で地裁敗訴となった『在日外国人障害者の年金訴訟』のキム・スヨンさんが駆けつけてくれ、熱いエールをくれました。紙面を借り厚くお礼を申しあげます。
 フィナーレでは『最高裁大法廷での口頭弁論を求める運動を進める』『最高裁での公正な判決を求める10万人署名』などが提起され、可決しました。
 『学生無年金障害者訴訟』は全ての無年金障害者をなくす一里塚。より一層の支援をお願いします。



(黒岩宇洋参議院議員)

◆ 無年金障害者の訴えていることがズバリわかるブックレット出る!!8月末出版予定。
『あるひとつの憲法裁判−無年金障害者(仮)』学生無年金障害者訴訟の勝利をめざすみんなのつどい実行委員会●編 1050円(税別)
全障研出版部 TEL03−5285−2601 FAX03−5285−2603


私ちは、最高裁での勝訴を実現するための更なる運動を進めるため、下記の行動を提起します。
                    記

1.国側は、下級審において提起されてきた原告側の疑問や批判にまともに答えていません。最高裁判所には、これらの疑問や批判に対する国側の明確な反論を聴き、その合理性を検証するために、大法廷での弁論を要請するとともに、公正な判決を要請します。(署名用紙をご覧下さい)
 そのために、「最高裁での公正な判決を求める」10万人賛同署名に取り組みます。高野範城東京弁護団長曰く「勝利は法廷内にあらず、法廷外にあり」。如何に世論の支持が得られるか、皆様のお力が勝利への大きな原動力となります。裁判官(若しくは裁判官の人事を決める事務方)といえども「お役人」です。いわば、厚生労働省や社会保険庁・法務省の役人(被告)と「同じ釜の飯を食った」仲間なのです。先輩・仲間がやってきた(やっている)こと(前例)を覆すよりも、「長いものには巻かれろ」精神で無難に任期を勤め上げた方が得、と思っている「裁判官」も多いのです。そのような「司法」に、私たちの主張に耳を傾けてもらうことは容易なことではありません。
 皆様にお願いです。公正・公平な判決を下してもらうには、大勢の皆様方から署名を頂き最高裁に届け、司法の中立性を監視し続けなければなりません。同封の署名用紙にお一人でも、ご家族だけでも結構です。一人でも多くの方々の署名を必要としています。(用紙が足りないときはコピーしてください(両面))署名していただき9月末までに同封の封筒にてご送付していただけるよう、心よりお願い申し上げます。頂いた署名は最高裁面会の時一緒に持ってまいります。(1ヶ月に1回予定)

2.近日中に、「訴訟で原告は何を問題にしたか?被告・国はどう反論したか?裁判所はどのような判断を示したか」をまとめ、確かめ、伝え・広げていくために、ブックレット『生きる希望求める憲法裁判―学生無年金障害者訴訟』を発行します。新潟では、「つどい」の賛同人となってくださった方々に無料で謹呈いたします。ご一読くださり、今後も引き続きご支援をよろしくお願いいたします。

裁判ニュース特別号3

東京高裁判決・報告集会開催!!


島田伸子副会長(中央) 9月15日、既に裁判ニュースでご報告通り、東京高裁は昨年の新潟地裁判決を覆す全く不当な判決を下し、私たちの主張を斥けました。そこで、東京高裁判決の不当性を皆様に知っていただき、原告の2名の「個人の尊厳を保てるよう闘う」姿勢を改めて知っていただき、最高裁へ向けた支援を訴えるために、11月13日(日)ユニゾンプラザにて、東京高裁「不当判決」の報告・説明集会開催(第1部)を開催しました。辻澤広子弁護士
 
 集会は、島田伸子(新潟・支援する会副会長、三条市市議会議員)の開催の挨拶で始まり、辻澤広子弁護士、今井慶貴弁護士、大澤理尋弁護士、和田光弘弁護士により、国民年金法における障害基礎年金の歴史、変遷、原告側の主張の要旨、東京高裁判決の説明、最高裁判決に向けての活動等について解説していただいた後、阿部正剛・遁所直樹両原告が東京高裁判決に対する思いや、最高裁に向けての闘いの決意を陳述し、最後に青木学(同会長、新潟市市議会議員)による閉会の挨拶で終了いたしました。
 当日は、マスコミの取材も多数あり(NHKのお昼と夕方のニュースで放送)、多くの皆様に私たちの活動を知っていただく、素晴らしい集会となりました。また、お忙しい中、ご参加していただいた皆様には厚く御礼申し上げます。
阿部正剛(向かって右)
遁所直樹(左)・阿部正剛(右)原告

★阿部正剛原告の意見陳述★
 9月15日、東京高裁の鬼頭裁判長は、新潟地裁判決と正反対に、国会の広い立法裁量を逸脱するものではなく憲法違反ではないとして、私たちの主張を全面的に斥ける「不当判決」を下しました。

 今裁判において、私が日常生活を営み、社会参加・就労にさいして、健康面の不安や車椅子を使用していることの制約も多く、障碍さえなければ必要のない出費を要求されるという高度の所得保障を必要とされる状態にあり、経済的に自立していくには、せめて障害からくる特別な負担や、不利益の部分を補うものとして障害基礎年金がどうしても必要であることを、陳述書の提出と2度にわたり法廷で意見陳述をしてきました。

 しかし、新潟地裁判決では、「何ら非難されるべきでない者が将来にわたり障害年金制度から排除されるという不当な結果を甘受させられているというべきである。原告らは社会で自立することを望んでおり、そのためには障害年金は不可欠であり、その保障を得られないことの不利益は極めて大きい」としているのに対し、東京高裁の鬼頭裁判長は、私たちの自立を求める声には一切耳を貸さず、「著しく不合理」とは認めることはできないと14回も繰り返し、また5回も「立法府の裁量の範囲内」と苦しい言い訳をしながら、20年以上の長期にわたって学生無年金障害者を放置してきた国の無為無策を擁護し、法の番人たる司法の役割を放棄し、国の怠慢を追認しました。

国家には、障害を個人又は家族の問題とすることなく、障害者が生活するため、障害からくる特別な負担や、不利益の部分を障害基礎年金による所得保障が中心的に補うことによって、ノーマライゼーションの理念を実現し、障害者の自立と社会参加を積極的に推し進め、たとえ障害を有していても個人の尊厳にふさわ大澤弁護士(左)・今井弁護士(右)しい生活ができるよう支援を確立してほしいと思います。
 障害を抱える人達を含めて、マイノリティ(少数派)が息を潜めてじっと社会の片隅でビクビクしながら生きる時代は、もう終わりにして欲しい。障害者がまさに生活主体者となって社会経済活動に参加できるように、むしろ、マイノリティの人権として堂々と主張し、自己実現をめざしていくことが求められています。人権とは、個性や多様な生き方を認め合うところから出発するのだと思います。
 最高裁での闘争に向けて、皆様のご支援ご協力をよろしくお願い申し上げます。

★遁所直樹原告の意見陳述★
(遁所直樹原告)

約1年前2004年10月28日新潟地方裁判所で原告勝訴の判決が出たその第二審でした。私たちの求めているものは平等という権利でこの権利を侵害した国に対して謝ってほしいという国家賠償を求めたのです。そして9月15日私たちは負けました。
 
 1989年から国民年金に学生が強制加入になり、1998年強制加入に伴い免除制度(猶予制度といったほうがよいと思います)も踏まえた法改正が行われています。この免除制度という言葉が大変わかりにくい言葉なのです。収入を得ることによって国民年金を払い始めた場合、すぐに督促状が送られてきます。その当時の払っていなかった金額ではなく、現在の国民年金の額と法定利息が加算された金額です。現在の国民年金のお金に加え、督促状によって示されるお金を払うことは大変なことです。このことについて国は説明をしていません。

基本的人権の尊重を求めて(平等権とは)
 私たちは高等裁判所の判決に期待をしていました。本当に期待をしていたのです。ところが形式的な判断による私たち原告の逆転敗訴という結果になりました。阿部さんと私は二人とも重度の障害を持ちながら働いていることもあって、現在の仕事を続けていきたいという願いを訴えできました。障害基礎年金はこの仕事を継続するためのスタートラインになるためのものだ平等権なんだということを訴えたのです。目が悪い人が眼鏡をかけるように、足が悪い人が車いすを使う、これは同じ価値をもつことということでこれが平等権なのだというような考え方です。もはやお金の問題ではありません。私たちの人格と人権を守るための訴えだったのです。
青木支援する会会長
 ノーマライゼーションが実現されている社会とは高齢者でも重度の障害者でも地域で安心して生きてゆける社会のことを指します。重度の障害を負った子供を育てる母親が、その子よりも1秒でも後に死にたいなどと言わなくても済む社会です。私たちは今まで社会保障を求めて裁判を行ってきました。しかし振り返るとこの一連の活動は福祉を実現するための裁判だと思います。私たちの立場に立った裁判官の皆さんは、国に対して裁判官が感情を強く前面に出したというよりも、自分たちの感性に従って、それこそ耳を済ませて自分たちの心に従って判決をして和田弁護士くれたと思います。新潟弁護団の皆さんをはじめとする、全国弁護団の皆さんも他人の心を思いやる感性で支えてくださっていると信じています。ノーマライゼーションという考え方が本当に広まるには、長い年月を経て実現するならば長い年月が経っても構いません。しかし、感性がない限り、この考えは空論にしかすぎません。司法の場で基本的人権の平等というこの大事な理念が実現できるようにこれからも活動を続け、今後最高裁の判断を仰ぎ、すべての国民が笑って暮らせるようにという理想が実現できるように求めてやみません。


★ 最新、全国裁判情報 ★

@10月27日、東京地裁が、2名の統合失調症の原告に
年金の支給を認める「勝訴判決」
 「実際に医師の診断を受けていなくても、未成年のころから受診が必要な状態だったと医学的に認められる場合は、規定を拡張解釈する必要が高い」と指摘。原告2人は「障害基礎年金を受給できる」判断した。
 しかし、政府は、判決を不服として東京高裁に控訴した。

A11月2日、福岡地裁が、原告は二十歳前に統合失調症を発症していたと
認定し、年金の支給を認める「勝訴判決」
 原告が二十歳以前に皮膚科や内科を受診したことについて「統合失調症によって全身の抵抗力が低下したことや、統合失調症による独り言の言いすぎから発症したと認められる」と指摘。二十歳前の発症を認め、不支給処分は違法と判断した。

 政府は、控訴断念し勝訴確定!!

裁判ニュース26号

東京高裁(鬼頭季郎裁判長)が、新潟地裁の原告勝訴判決を覆す不当判決を下す!!

主    文
1 原判決中被控訴人国敗訴部分を取り消す。
2 上記取り消しに係る部分の控訴人遁所及び阿部の被控訴人国に対する請求をいずれも棄却する。
3 控訴人遁所及び阿部の本件控訴をいずれも棄却する。
4 訴状費用は第1、2審を通じ控訴人遁所及び阿部の負担とする。

高裁判決9月15日、東京高等裁判所第16民事部(鬼頭季郎裁判長)は、新潟地方裁判所が下した遁所直樹・阿部正剛両原告に対し、平成元年改正前の国民年金法が、20歳以上の学生を強制適用の対象から除外した上で、20歳未満と同様の無拠出制年金を設けなかったことが、憲法14条に違反する不合理な差別にあたり憲法違反であるとし、国に対し国家賠償(各700万円)を命ずる判決を取り消して、新潟地裁判決とは正反対に、同法は国会の広い立法裁量を逸脱するものではなく憲法違反ではないとして、全面的に斥ける判決を下しました。
 この判決は、本年3月の東京高等裁判所第20民事部の東京原告に対する判決に続く2番目の高裁判決ですが、上記判決と同様に20年の長期にわたって学生無年金障害者を放置してきた国の無為無策を追認し、法の番人たる司法の役割を放棄した判決であり、原告団及び弁護団は到底受け入れることができません。
 原告らは直ちに上告して(9月27日上告状提出)、最終審たる最高裁判所の判断を仰ぐとともに、これからも学生無年金障害者問題の根本的解決を求めていく決意です。
 これからも、裁判のみならず支援を広げる活動や、関係各機関への働きかけなど様々な活動を続けていきますので、ご支援、ご協力よろしくお願いします。


●9月15日東京高等裁判所新潟訴訟判決について●
原告 遁 所 直 樹

 当日、法廷に来て下さった支援の皆様、そして新潟弁護団の先生がた、議員連盟の事務局長黒岩宇洋さん、ありがとうございました。
また、今までの取り組みに注目して下さった皆様はじめご支援いただきありがとうございました。

 9月15日東京高等裁判所8階813号法廷でなされた判決について、「無念」でした。新潟地方裁判所の判決の時、中越大震災という大変な出来事が生じて、新聞記事の扱いが小さかったことから、中越地震は本当に起きてほしくなかった出来事でした。
 今回は事件が起こらないことを願いつつ、高等裁判所の判決日前、勝訴判決を期待し、和田先生に「選挙が1週間前に終わってよかったと思います」と考えもなく発言をしてしまいました。敗訴するということはあんまり考えていませんでしたが、もしかすると選挙が18日以降に投票が行われていれば、このような結果にならなかったのではないかなどという、気持ちになるほどでした。素人の私でさえすぐにわかった敗訴の判決文でした。残念です。

 東京原告の宮崎判決では、自立というキーワードに対し、裁判官は身辺自立という感覚しかなかったことから、自己決定による自立を強調しました。
 今回、振り返って鬼頭裁判官の判決文で納得できない部分が随所ありますが、特に免除という解釈です。
「平成元年法の施行前に、学生等の保険料負担問題の解決策が議題とされ、そこでは、類型的に稼得活動に従事していない学生等に保険料を負担させると、結局、親に保険料納付の負担を負わせる結果になることや多くの未納者が生ずることなどが懸念されたが、他方、学生等に対し、保険料納付を一律に免除することについては経済的に裕福な学生等も存し、国民年金制度の趣旨に反する旨の見解が示された」
ここでも、老齢年金について論じているようなニュアンスと、免除という言葉に対し間違いがあります。免除ではなく猶予です。学生が社会人になったときに、追納のお知らせがきます。当時の掛け金でなく、その時点での値上がりした掛け金+利息の督促状です。もし裕福な家庭の人が見たら、さっさと掛け金を払うでしょう。払うにも払うことができない人の救済に対し考え出された制度なのに、国民の信用していないような文面です。
 国民年金法に対し、国民の未納という問題は老齢年金についてなのです。国の姿勢が問われているのです。国の体裁を守るために、私たちの平等権が無視された気がしてなりません。

 一昨日、最高裁判所で広い裁量権という争点で地裁・高裁で原告敗訴だった在外邦人の選挙権についての審判が、勝訴となったことを聞いて、これからの取り組みに元気を出して行きたいと思います。



●人間価値の平等から視線をそらした判決●
新潟事件東京高裁判決(鬼頭判決)を受けて
学生無年金障害者訴訟新潟弁護団 団長弁護士 和田光弘

高裁前1 9月15日の敗訴判決
 昨年10月28日に国家賠償勝訴に湧いた新潟地裁判決から、もうすぐ1年を迎える。その目前である今年9月15日午後3時、新潟原告両名及び被告国の双方の控訴を受け、審理を続けてきた東京高等裁判所第16民事部(鬼頭季郎裁判長)は、第1審原告の勝訴部分である700万円の国家賠償請求権も取り消し、私たち(原告と弁護団)に敗訴判決を下した。
 頓所さん、阿部さんの顔がいつになく緊張し、半ば青ざめているようにさえ見え、高裁判決勝訴に期待を寄せている思いを強く感じさせていただけに、鬼頭裁判長の声は虚しかった。東京高裁・宮崎判決とは異なるはずだ、と弁護団なりに念じていた思いもあり、結論に期待を寄せていた弁護団としても、私個人としても、思わず腹の中から唸る声を抑えるのが精一杯であった。

2 判決は学生無年金障害者の「はざま差別」の不利益を認めた
 私たちは、原審の新潟地方裁判所以来、学生無年金障害者が制度のはざまにおかれた差別を受け続けてきたことを主張してきた。
 高裁判決はそのことを以下の通り不利益として認めている(同判決12頁)。
 「本件適用外規定(学生を国民年金強制適用から除外した規定・筆者注)は、20歳以上の学生等を、20歳以上の学生等を除く国民と区別し、本件20歳前障害規定は、20歳以上の学生等を20歳未満の国民と区別しているのであり、また、これらの両規定が併存することにより、20歳以上の学生等のみが、20歳未満の者が対象となる障害基礎年金を受給できないにとどまらず、20歳以上の者が対象となる障害基礎年金についても、保険料免除の利益を受ける可能性を奪われ、任意加入しない限り受給できないという不利益を受けることになる。」
 しかし、こうした不利益を伴う立法が憲法14条1項に違反する差別にあたるか否かは、「その区別が立法理由との関連で著しく不合理であり立法府の合理的な裁量判断の限界を超えているといえるかによって判断すべきである」とした。
 つまり、学生が不利益を受ける区別はされたけれども、その不利益を伴う区別は立法理由との関係で「著しく不合理」と評価されなければ憲法違反としないし、「立法府の裁量の限界」を越えなければ憲法違反としないというのである。

3 昭和60年当時学生の保険料負担問題を解決できなかったのは「不合理」であっても、「著しい不合理」ではない
 日本の国に生きている障害者は、全く同じ障害であったとしても、その障害を受けた時期によって障害基礎年金をもらえる者とそうでない者がいる。それは、障害を受けた人たちが自らの障害を受ける時期を選択してそうなったのではなく、立法府において、そのような「不利益を伴う区別」が認識されてからも容易に立法作業を進められなかったことによる。
 そして、東京高等裁判所第16民事部は、その原因として、二つをあげる。一つは、年金の通算問題であり(いわゆる「掛け金の掛け捨て」問題)である。他の一つは、学生における保険料負担能力の問題である。
 前者の「掛け捨て」問題は、昭和60年法改正によって解消したから、新潟事件の原告にとっては、後者の保険料負担能力の問題を解決できなかったものの、それはやむを得ないので、「不利益を伴う区別」は憲法上の差別にあたらないと判断されたことになる。
 高裁判決はこのことについて以下の通り述べている(同判決20頁)。
「国民年金法における保険料の額は適切な額の老齢年金(老齢基礎年金)のためのものであり、障害年金(障害基礎年金)のためにのみ必要な保険料はそのうちのごく一部に過ぎず、しかも、学生等のうちに障害を受ける者の割合も相当に低いことにかんがみれば、障害年金(障害基礎年金)の必要性のみに着目して学生等を強制適用の対象とする立法政策を採用することは、立法上の必要性に見合う限度額を超える負担を学生等全体に強いる結果を招くことになるというべきである。また、障害年金(障害基礎年金)と老齢年金(老齢基礎年金)を分離して、学生等に障害年金(障害基礎年金)のためのみの少額の保険料を負担させるという選択肢を採用することも全く考えられない訳ではないが、国民年金制度において、老齢年金(老齢基礎年金)を中心に制度設計をすること自体には立法政策上合理性が認められ、その制度維持上の負担等を考慮した場合、老齢年金(老齢基礎年金)と切り離して、このような少額の保険料の障害年金(障害基礎年金)の制度を別に創設しなければ著しく不合理であるとまで認めることはできない。」
 これを読めば、学生無年金障害者は、日本に生まれたことを後悔するしかない。立法府が制度の欠陥を知っていてもそれを直す能力がなかったことを嘆くだけではない。その解決能力のなさを「著しい不合理」でない限り、「多少の不合理」でも免責することを司法が宣言しているからである。立法で救済されなかった者たちが、事後救済の期待を司法に寄せても、結局は「著しい不合理」という言葉の壁が立ちはだかるのである。
 しかも、この「著しい不合理」という評価尺度は、具体的には何を意味するのか、裁判官の頭の中にしかなく、判決の中で具体的に明らかにされた形跡はない。新潟事件だけでいえば、裁判官の判断は3対3に分かれているのであり、同じ事実を見ていて、この結論の違いは何か、理解はできない。

4 地裁判決と違って「任意加入制度」を評価している
 高裁判決は、機能していなかった「任意加入制度」について、苦しい言い訳をしつつ、これを評価している(同判決29頁)。
 「確かに、任意加入制度においては保険料の免除規定が適用されないとされていたため、現実に保険料を納付できるものしか加入することができなかったのであり、稼得能力がない多くの学生に取っては、現実に保険料を納付することが必ずしも容易ではなかったとも考えられること等にかんがみれば、例えば、学生等を強制適用の対象として保険料納付義務を負わせた上で保険料を免除することができる制度とすることも選択肢の一つとしては、十分考えられるところではある。しかしながら、この場合に想定される問題点については前示の通りであり、また、類型的に稼得能力がないものとみなされる学生等につき保険料免除制度を導入した場合、多くの場合に免除の申請がなされ、制度の原則と例外が逆転し、その維持に支障が生じかねないおそれがあることや、そもそも親の収入等で生活をしているこれらの学生等につき適切な免除の基準を設定し、審査を行うことは、相当の困難性が想定されること等も推認される。こうした点を踏まえると、現に選択された制度につき著しい不合理があるといえない限りは、立法裁量の範囲内にあるものと認めるのが相当である。そして、本件においては、前記各事情を総合勘案すると、学生等に保険料納付義務を負わせることなく、任意加入に委ねることとしたことが著しく不合理であるとはいえない。」
 学生が広報不徹底により「任意加入制度」を知らなかったことについて、判決は触れているが、それは別として、知っていたからといって、果たして使える制度であったかという議論(親にさらなる負担を求める状態にないし、掛け金を払えない以上加入できない)について、前記の苦しい弁解している。結局のところ、免除やその審査を行うのはやはりそれなりに困難をともなうから仕方がなかった、という議論である。それでは、平成12年以降の特例納付制度との比較はどうなるのかということについては触れていない。

5 裁判所の役割を問いたい
 「平等は人間価値の平等」と叫んだ新潟原告両名の思いは、東京高裁に届かなかった。「障害のある人が障害年金を求めることは、目の悪い人がめがねをかけるのと同じことだと思わないんですか」と判決後の厚労省交渉で、怒りをあらわに問いただした頓所さんの声も、まだ生かされていない。
 阿部さん、頓所さんが全国の仲間と連帯して進めてきたこの訴訟をこのまま終わらせるわけにはいかないと思う。私たちは、上告し、今一度、裁判所の役割を問いたい。判決の前日に出された大法廷判決は、選挙権の平等に関して、はじめて立法不作為を認め慰謝料支払いも命じている。その最高裁があることをもう一度見つめ直し、すすんで行きたい。


●9月15日 決して僕らは諦めない●
(黒岩たかひろHPより http://takahiro.025.ne.jp/index.html)
黒岩宇洋参議院議員

記者会見(右端 黒岩宇洋参議院議員) 今日は学生無年金障害者訴訟新潟裁判の東京高裁判決が下る日です。午後2時半高裁に到着、午後3時法廷の傍聴席に着きます。大きな不安を抱きつつも鬼頭裁判長ならばという大きな期待も抱きながら判決を待ちます。「主文・・・」淡々と読み上げる判決は無情にも原告全面敗訴。怒りがこみ上げる前に脱力感というか法廷内は空々しく静まり返りました。

 閉廷後、厚生労働省に移動して記者会見(写真)。原告の阿部さん、遁所さんからは不当判決に対する悲痛な抗議文が読み上げられました。その後和田弁護士からこの判決はおよそ法律の学識者の間では通用しない内容であると厳しい指摘が。全くの同感です。
 私も訴えました。学生無年金障害者を以って憲法14条平等違反が問えないならば、何の差別を以って14条違反が問えるのかと。

 全国9箇所でおこされた今裁判。1審3連勝で好スタートを切りましたが、東京裁判の2審敗訴を受けその後1審3連敗。今日の敗訴で2審では続けて負けました。かなり苦しい状況に追い込まれたのは確かです。
 ですが、嘆いている訳には行きません。思い起こして見て下さい。つい数年前まで立法府でもましてや司法の場でも全く陽の当たっていなかった無年金障害者問題です。ここまで皆さんの決して諦める事なき努力と奮闘があったからこそここまで来ているのです。議連も今回の総選挙でかなりの痛手を受けました。ですが、決して挫けず戦いを続けて参ります。

■ 学生無年金障害者裁判と最高裁の取り組み■
東京弁護団 弁護士 高 野 範 城
 
 東京高裁判決を破棄して最高裁で勝利するために、私達はどんな取り組みを最高裁へ向けてしたらよいのかについて述べます。
 最高裁は、十五人で構成する大法廷と五人で構成する小法廷があります。本件裁判は、現在のところ、第二小法廷に係属しています。最高裁は、地裁や高裁と違って、原則として書面審理のみで法廷が開かれません。判決言渡しの期日の通知も事前にありません。それゆえ、上告の要件がないときは、三ケ月ほどで上告棄却の決定が突然通知されます。
 最高裁は、憲法違反など受け付ける上告事件と法令解釈の誤りを受ける上告受理事件の二つに分かれます。本件裁判は、上告事件と上告受理事件の二つの事件で最高裁で審理されます。
 今後、上告人(原告)が勝つための要件は、最高裁で弁論を開くことです。弁論が開かれれば、必ず高裁判決が破棄されるわけではありませんが、弁論が開かれなければ、勝利の見通しは全くありません。最高裁には、調査官がいて、憲法十四条、憲法二五条などの社会保障判例などを調査します。初診日の要件などを調べます。そして第二小法廷の裁判官が、この事件で弁論を開いた方がよいと判断したとき、あるいは朝日訴訟や堀木訴訟などの判例変更する必要があると判断したときは、小法廷から大法廷へ移行します。その意味で、まず私達はこの裁判の重要性を裁判官に知ってもらうと同時に、弁論を開くよう、最高裁へ求めることが重要です。堀木訴訟は、大法廷で弁論・判決があるまで、上告してから七年経ちましたが、最近は、福岡の学資保険や金沢の高訴訟の生活保護の事件では、三〜四年で判決が出て勝利しています。早急に公正裁判の要請と弁論を求める運動を最高裁へ向けて行うことです。(記 二〇〇五年八月十八日)

報告集会開催のお知らせ

1113日(日)午前10001200(開場930
ユニゾンプラザ 4階 小研修室1

 提訴より4年余り立ちまして、地裁勝訴から一転高裁での不当判決を受け、高裁判決の解説や最高裁の審理の説明、原告の決意等多くの皆様に聞いていただき支援の輪をより一層広げていきたいと思い、報告集会を開催いたします。

みなさまのご参加をよろしくお願いします!!



新潟駅万代口から
●水島町経由「県庁」または「西部営業所」行 → 「上所島」下車、徒歩1分
●昭和大橋経由「入船町」行 → 「南高校前」下車、線徒歩10分
古町方面から
●「昭和大橋・新潟駅」行 → 「南高校前」下車、徒歩10分
万代シティバスセンターから
●水島町経由「鳥屋野経由曽野木ニュータウン」または「酒屋」行 → 「上所島」下車、徒歩1分
高速バスご利用の場合
●「新潟」行 → 「県庁東」下車、徒歩15分
自動車ご利用の場合
●新潟駅から10分、新潟バイパスの女池I.C、桜木I.Cから10分

裁判ニュース24・25合併号

判決は、9月15日(木)午後3時!!

 第3回裁判が7月19日(火)、第4回が8月9日(火)に行われ、原告側の主張に対し被告国が再反論を行わない事で、4回の審理で東京高裁での控訴審が結審しました。
 判決日を言い渡すとき、鬼頭裁判長は「じっくり考えてみたいので時間を下さい」と言ったので、年末か来年初め頃と予想したところ、「9月15日に言い渡します」と意外に早い判決の言い渡しに少し驚きました。このことが何を意味するのかは分かりませんが、3月に東京原告に対して同高裁(宮崎公男裁判長)が、東京地裁(藤山裁判長)の判決を全面的に覆す、「不当判決」を言い渡して以来、5月には京都地裁で7月には札幌地裁でも「不当判決」がだされ、東京・新潟・広島・福岡地裁で出されていた「勝訴判決」の流れと逆行する判決が続けざまに言い渡されるようになりました。
 9月15日の新潟原告の東京高裁判決は、これから判決が言い渡される大阪・盛岡地裁を始め、全国の高裁の判決の流れを決定する重大な判決です。
 私たちは、4回の裁判の中で、被告の主張はもちろん、東京原告に対する東京高裁、京都・札幌地裁「不当判決」に対しても、準備書面だけでなく、原告も「意見書」(第2、3回の裁判で原告自ら要旨を陳述)として提出し、障がいを負いながら生活している当事者として、其の不当性と不見識性を訴えました。
 日本の司法においては、上級審へ行くほど「国側の姿勢にたった判決が多い」のが実情ですが(裁判官も役人です)、立法府(国会)は多数決の原理で動き少数の意見は無視される事もある(少数の学生無年金障害者の救済は20年以上に渡って無視され続けてきた)が、司法(裁判)の場では、一人でも国に対して正々堂々と「もの」を言うことができる唯一の場です。司法が国民の「声」に耳を傾けなくなっては「三権分立」は画餅に帰してしまいます。
 私たちは、学生無年金障害者の救済だけでなく、全無年金障害者の救済の先駆けとして、真の「国民皆年金」を実現するため活動を続けてきました。しかしそれは、障がい者の問題を超えて、司法が国民の声を真に受け止め、立法・行政府に対しその間違いを正す役割を果たすことができるかどうかを問う裁判になっています。
 また、本年5月より私たちの活動の一つの成果として、一部の学生・主婦無年金障害者に、「特別障害給付金」が5万円又は4万円が支給されることになりましたが、これまでも主張してきたように「障害基礎年金」とは性格の違うものであり、「特別障害給付金」をもって「障害基礎年金」に代わるものではありません。私たちは、今までと同様に「障害基礎年金」の必要性を訴え続けていくつもりです。

 9月15日(木)午後3時に東京高裁8階第16民事部813号室で言い渡される判決は、鬼頭裁判長が公正中立な立場で双方の主張に耳を傾ける姿勢があるのであれば、私たちの主張の正しさが認められるものと信じております。
(結審後の説明会、左より阿部・遁所原告・大沢弁護士)












★ 9月15日(木)の行動予定★
@午後3時〜東京高裁8階第16民事部813号室で判決言い渡し!!
A報告集会
B記者会見
C厚生労働省と交渉
D翌16日(金) 国会議員に無年金障害者解消の要請行動

裁判ニュース23号

 524日(火)午前11時〜1130分に、東京高等裁判所(8階第16民事部813号室)において、第2回口頭弁論が開かれました。

(島田伸子三条市議と裁判所前で支援を訴えるビラを配布する)

裁判長:鬼頭季郎
原告:遁所直樹 阿部正剛
被告8名出席
原告弁護団和田光弘、今井慶貴、大沢理尋、佐藤明、
         辻沢広子、石口俊一(広島)、高野範城(東京)各弁護士(本日出席)
傍聴者:約30



1 今井慶貴弁護士から原告が提出した、「控訴第1準備書面」の要旨説明を行いました。

@国民年金法の昭和34年立法の違憲性について(3頁〜27頁)
A昭和60年法改正について(27頁〜45頁)
B立法行為(不作為)の国家賠償法上の違法性について(45頁〜58頁)
C処分取消請求における訴えの利益(59頁〜60頁)
D被告国らの控訴理由書に対する反論(60頁〜74頁)
E東京高等裁判所第20民事部判決の検討(74頁〜94頁)
F新潟地裁判決後の国会の動向(94頁〜98頁)
Gおわりに(98頁〜100頁)

2 阿部正剛の「障害者の自立について」の意見陳述(要旨)

325日、東京高裁で東京原告に対し言い渡された、判決文において、「障害による稼得能力の喪失に対する備えは,本来,各個人又はその扶養義務者においてもなすべきものであり,国家がこれに救済措置を講ずるのは,後見的な見地からの社会福祉的措置ということもできる。」とされているが、「障害者の世話は家族でしろ」といわんばかりである、このような考え方は時代錯誤であり、厚生労働省の施策およびノーマライゼーションの理念、さらに「特定障害者に対する特別障害者給付金の支給に関する法律」の趣旨さえも否定する、とうてい容認できない判決文である。

 国際的には、50年以上前に提唱され、わが国においても1981年の国際障害者年を機に、「障害がある者が、社会で日々を過ごすひとりの人間としての<生活状態>が、障害のない人々の<生活状態>と可能な限り同じ条件のもとにおかれるべきであり、これは、ごく当たり前の考え方で、もし自分がその立場になったらどうあってほしいかを考えれば、そこから自然に導き出される答えである」という「ノーマライゼーションの理念」の実現が、1990年に行われた福祉政策の転換と言われる、「福祉関係の八法改正」で法律の中で社会福祉の進むべき方向として取り入れられている。

独力では、生活の自立を維持できず、将来も自立能力の確立を期待することが難しい人々が障害基礎年金をはじめとする様々な支援を受けることによって、依存を前提とする自立が可能であるというのが社会福祉の発想です。「非依存」を強制されればかえって自立が不可能になるのです。

鬼頭裁判長におかれましては、「障害を個人又は家族の問題」とすることなく、障害者が生活するため、障害からくる特別な負担や、不利益の部分を障害基礎年金が中心的に補うことによって、ノーマライゼーションの理念を実現し、国家が障害者の自立と社会参加を積極的に推し進めることによって、たとえ障害を有していても個人の尊厳にふさわしい生活を保障していただける判決を心より望んでいます。




3 遁所直樹の「障害者の自立について」の意見陳述(要旨)

1 東京高等裁判所東京身体原告に対する判決について

 障害を負ったことによる稼とく能力の喪失に対する備えは本人や扶養義務者にあるということについて、自立という考え方には時代の趨勢を照らして合わせる姿勢が必要であるということを訴えたいと思います。現在の自立という考えは自己決定による自立という考えが主流です。身辺自立はできなくても自分で自分の生き方を選ぶことができるのであればそれを自立と呼ぶのです。

 特に障害を負った場合、就労できる障害を持った当事者は数少なく、障害基礎年金のみで、あるいは生活保護の制度を受けなければなりません。老いは人間誰しも訪れるのでそれに対して備えるということはありますが、若くして障害を持つということは全ての人に起こることではありません。障害を持つことが悲しいのではなく障害を持つことにより社会で生きることが難しいという現実に直面することが辛く悲しいということは何度も話してきました。労働者として参加したくても障害を持つと成人が行なえる仕事量の半分以下となるのは、環境が障害を持った人のために整えられていないからです。ですから障害による社会的不利は社会保障で補ってほしいと願うのです。せめてスタートラインを平等に扱ってほしいのです。

2 自己決定による自立が現在の自立観

 自立の考え方については、自己決定による自立というものが現在の自立観であるということを強調します。この自立の考えを広めるために、私は全国に100カ所以上設立された自立生活センターの一つである自立生活センター新潟の職員として活動しているのです。重度な障害を持っても地域で生きていきたい。そしてこの願いが若い障害者だけでなく、高齢者にも元気づけとなり最後まで地域で暮らせるようにと希望するのです。

 ぜひ、私たちの裁判をしてくださる裁判官においては現在の自立の考えを理解していただき、障害者や高齢者を排除する社会は危うくもろい社会であり、日本はそのような社会になってはならないためにもノーマライゼーションの理念に沿った判決を希望いたします。














(裁判終了後の説明会で解説をする、今井慶貴弁護士


★全国各地裁の裁判情報

@422日福岡地裁で、原告の病気は20歳以前より発症していたことを認定し、「障害年金の支給」を命じる判決を下し、国が控訴断念し原告勝訴が確定しました!!
A518日京都地裁は、「学生無年金障害者に対して何らかの救済措置を講ずることが,憲法25条の理念にかなうということができる。」と言っておきながらも、「立法府の裁量の範囲内」東京高裁判決に従った、原告の主張を退ける「不当判決」言い渡しました。(27日原告、判決を不服として京都高裁へ控訴)

裁判ニュース特別号

東京原告3名に対し東京高裁(宮崎公男裁判長)が、東京地裁(藤山裁判長)の判決を全面的に覆す、

不当判決!!

判決要旨
1 国の控訴に基づき、原判決を取り消す
2 障害基礎年金の不支給処分の取り消し請求を棄却する
3 国家賠償請求を棄却する


3月25日(金)東京高裁(宮崎公男裁判長)は、東京地裁の判決(各500万円の国家賠償と長期にわたり放置したことは憲法14条違反)を覆し、原告の請求を全て棄却したうえ、東京・新潟地裁の原告勝訴により、国会で成立した、「特別障害者給付金法」の趣旨さえも否定する、全く評価に値しない最低最悪判決を下した。
(判決全文)

1 東京高裁判決は、はじめから結果ありき!!
 東京地裁の判決が、昨年3月24日にあり、東京高裁の第1回審理は9月、第2回が11月で、第3回の1月24日の審理において、原告らが求める証人調べなどの要求を全て却下して、突如として結審を言い渡しました。高裁の言い分では、地裁で十分審理をしているので、1審判決の不満点を聞けばそれで良いとのことです。
 しかし、私達から見て不思議なことは、1審で実質勝利しているのは原告であって、負けたのは国・社会保険庁です。しかるに、国・社会保険庁は、第2回審理で早くも、早期の結審を主張しているのです。高裁では、1審で負けた方が「新たな主張や立法を」しない限り、負けるのが常識であるのにです。(裁判官は、国の言いなりになって3回で審理を打ち切った)
 残念ながら、我が国の司法は、高裁・最高裁と上へ行くほど国に有利な判決が出ているのが現状です。国側は、始めから勝つことを確信して高裁へ控訴し、高裁の裁判官も、はじめから国を勝たせるつもりで審理を進めていたとしか思えない、結果ありきの茶番判決です。

2 空虚で杜撰な判決文

(1)原告K氏は、脳動静脈奇形があり身体障害1級の障害を負ったもので、これは4歳の頃より多量の鼻出血を繰り返し、病院で治療を受けていたので、「20歳前に初診があった」と主張したところ、40年以上前のカルテがなく1審では主張が認められなかった。
 しかし、高裁では原告が、新たな医師の意見書や証人を裁判所に申請したところ、全て却下された。にもかかわらず、裁判官は「証拠が足りない」として、被告側の医師の最新の文献では否定されている古い論文を根拠に、原告の主張を退けている。

(2)学生の保険料免除制度の可否について、「昭和34年当時、一般人が大学生とその父母に対して経済的に余裕を有する者(エリート)であるとの観念を抱いていたものであってり、このような観念に対する具体的な疑問が呈されたことも認められない」と国の主張を全面的に認めた。
 しかし、先の新潟地裁判決では、「昭和34年ないし60年当時、立法過程において学生等はエリートであるから保険料の免除は不公平であるなどの議論は認められず、このような主張は認められない」と完璧に否定されたにもかかわらず、東京高裁は「一般人は・・・観念を抱いていた」と証拠のない勝手な推測で判決を下し、さらに「・・・具体的な疑問が呈されたことも認められない」としているが、そもそも、エリートだから保険料の免除は必要ないという議論そのものがされていなかったわけであるから、具体的な疑問が呈されるわけが無いのである。ところが、別の箇所では、「大学生の家庭の収入状況は、勤労者世帯の平均収入とほとんど異ならない・・・」と矛盾していることをいっており、国側の主張の都合の良いところをつまみ食いしただけの、おかしな判決文である。

(3)昭和60年の国民年金法改正時に無年金障害者問題に関して何ら救済措置を設けなかったことについて、国会において救済措置をとるように付帯決議(法的拘束力はない)を可決したから憲法14条に違反しない、とした。
 しかし、新潟判決では、昭和50年中頃には、全国脊髄損傷者連合会の要請や国会議員によって、学生無年金障害問題の是正の必要性が認識されていたにも関わらず、昭和60年改正時に何ら救済措置をとらなかったことは、怠慢であり憲法14条違反である、としているのにである。
 脊損会の度重なる要請や国会での提案が有ったことを全く無視して、ナンの具体策もとらなかったにもかかわらず、国会は議論さえしておけばそれで良いのだという判決であり全く容認できない。

(4)学生の任意加入率が約1%と低かったのは、学生の関心が低かったためで制度の欠陥ではない、としている。
しかし、新潟判決において、「制度の欠陥周知広報が不十分で、加入の是非を決する機会が与えられなかった」としているとおり、任意加入制度の広報がなされていないために、障害基礎年金が受給できないことを知らされていなかったため関心が低かったのであって、国の怠慢を国民に押しつける許し難い判決である。
(5)「障害による稼得能力の喪失し対する備えは、本来、各個人又はその扶養義務者においてなすべきであり、国家が、救済措置を講ずるのは、後見的な見地からの社会福祉的措置・・・」としている。
 これは、収入のない学生に、一生働けなくなったときのために蓄えを用意しておくなど不可能なことであり、「障害者の世話は親がしろ」といわんばかりの判決文である。厚生労働省の施策およびノーマライゼーションの理念、議員立法で成立した「特別障害者給付金法」の趣旨さえも否定し、過度に自己責任を押しつける、時代錯誤の社会保障・社会福祉の考え方であり容認できない。

(6)上記に続き「後見的な社会福祉的措置であっても、国家が行う以上は平等原則に反してはならない・・・」としているのに、同じ学生でも20歳前で障害を負った者と20歳後に障害を負った者との差別を、「裁量の範囲内」と矛盾したことを言って切って捨てている。

(7)原告は、「障害基礎年金の受給者は老齢年金の保険料を免除されているのに対し、学生無年金障害は保険料納付をしなければならない、差別的取り扱いを受けている」と主張したのに対し、年金を受給したかったら、保険料を納付すればよいのであって、収入がなければ申請して免除をうければいい、と、また、障害者の生活を全く理解していない、時代錯誤の社会保障・社会福祉の考え方をしている・・・・・。

まだ数多くの矛盾や時代遅れの思考、国におもねる態度で書かれた箇所が多く存在しています。先の国家賠償を認めた東京・新潟地裁、さらに、障害基礎年金の不支給処分の取り消しまで認めた広島地裁の判決を真っ向から否定する、許し難い空虚で杜撰な判決です。
 このような「不当判決」に対し、4月1日、原告は、最高裁判所に「上告」し、最高裁で闘われることになりました。最高裁で勝利するためには、私たちは「障害者が、人間らしく自立して生きていくためには、全ての障害者に障害基礎年金が必要だ」との主張をし、堀木訴訟以来の大規模な国民運動を展開していく必要があります。皆様のご支援をよろしくお願いします。

裁判ニュース22号


2月22日(火)午前11時〜11時30分に
東京高等裁判所で第1回控訴審が開かれました!!


裁判長:鬼頭季郎
一審原告:遁所直樹、阿部正剛
弁護団:和田光弘 大沢理尋 近藤明彦 辻沢広子 渡辺隆夫 今井慶貴 佐藤明(新しく新潟弁護団に加わって頂きました)、高野範城(東京弁護団)石口俊一(広島弁護団・全国弁護団々長)各弁護士
被告:7名
傍聴者:約35名

原告 控訴理由書 答弁書
被告 控訴理由書

 黒岩宇洋参議院議員や島田伸子支援する会副会長はじめ、多くの方が傍聴に来て頂いてありがとうございました。新潟地裁とは違い東京(千代田区霞が関)での裁判ですが、勝訴判決を勝ち取るためには、皆様の傍聴が何よりも大きな支援となりますので、裁判傍聴をよろしくお願いします。第二回控訴審は、5月24日(火)午前11時より東京高等裁判所(8階第16民事部813号室)で開かれます。
裁判後、弁護士会館で開かれた報告集会

@阿部正剛の意見陳述(抜粋)
 障碍を負うことは、いつ・どこで・誰もが負う可能性があることです。今日東京高等裁判所におられる、裁判官の方々も、被告席の役人の方々も、今日までたまたま事故に遭わなかった、病気に罹らなかっただけなのです。もしかすると、皆さんがこちら側の席で車椅子に座っていたかもしれないのです。
いつ誰が遭遇するか予測できない「障碍を持つ」ことが「不幸なこと」になるような制度が存在するのであれば、それは「障碍を持つ」ことが悪いのでなく「制度が悪い」のです。
A遁所直樹の意見陳述(抜粋)
なぜ私が障害基礎年金の支給を求めるのか、それは社会参加をするために必要な社会保障だからです。私が障害基礎年金を支給されないのは、私が原因でなく、国民年金法という法律が不備であるということに気がつき、私たちは共助を求めて、障害基礎年金の支給を求める訴えを起こしました。そして法律が改正されるという一連の動きのことを権利擁護と言うのであり、今回の特定障害者に対する特別障害給付金という法律は国民年金法の改正でなく、福祉的措置による不備な法律ですが、法律の成立というこの一連の流れは、正に権利擁護であるといえます。私たちの主張は間違っていなかったということが実証されたのです。

★一審原告の控訴状要旨
1 障害基礎年金の支給を棄却したのは法令の解釈に誤りがある!
 新潟地裁判決は、「20歳以上の学生等を強制適用から除外(任意加入に)したことは、憲法14条1項に違反していたとしても、原告らは、現実に保険料を納付しておらず、保険料免除の申請も免除もなされていなかったので、(保険料納付要件を満たしていないので)障害基礎年金の支給が認められない」としている。
しかし、保険料を納付するには、国民年金に加入していなければ、保険料を納付することはできないのであるから、国民年金に加入したが保険料を未納又は滞納する場合は考えられても、保険料を支払っているのに国民年金に未加入の場合は考え難い。このように、国民年金に加入できなかった(被保険者要件を満たしていない)者には保険料納付要件を満たすことはできないのである。
よって、原告らに対する障害基礎年金の不支給決定は、憲法14条に違反する国民年金法を適用した結果に基づく違法な処分であるから、東京高裁においては取消されるべきである。
2 700万円(1人)の国家賠償では低すぎる!
  原告らに対する各700万円の損害賠償の支払いを被告国に命じたが、原告ら、平成元年からの16年の間において障害基礎年金を受給できたとすると、1608万4800円ほどの年金を受給できなかったことになるし、障害基礎年金を受給していたならば支払う必要がなかった老齢基礎年金の保険料の合計額は、255万3600円ほどになり、これら合計額1863万8400円が現在までに発生した逸失利益に相当する金額であり、将来の逸失利益を含めると、さらに膨大な金額となることを指摘し、かかる財産的損害を慰謝料額に包括して評価すべきことを主張したのである。しかるに、新潟地裁の判決は、これらの財産的損害について十分な配慮をすることなしに、賠償額を700万円としたものであり、その評価において不当であると言わざるを得ない。

★一審被告(国・社会保険庁)の控訴状要旨
1 学生の任意加入制度は憲法14条(法の下の平等)に違反しない!
国民年金法は,老齢年金を中心とした制度設計されており、収入のない学生が、保険料を負担してまで老後に備える必要もなく、学生の期間中に国民年金に加入しないことによって生ずる不利益はほとんど生じない。
確かに、障害者となる可能性は,学生以外の者と変わりがないことから,あえて、加入させることも考えられるが,学生のうちに障害者になる割合も相当低いから,強制加入させることは、大きな保険料負担を強いることになるので、学生については,従来どおり,強制適用の対象とせず,任意加入の対象とするにことにした。このような判断には何ら不合理な点はなく,立法府の広範な裁量の範囲内にある。
2 任意加入制度に対する評価の誤り!
「任意加入制度においては保険料の免除規定が無く、加入を促す周知広報が不十分であったことから,制度としての実効性を伴っていなかった」と新潟判決はいうが、そもそも、任意加入制度に保険料免除規定を置くというのは,本来矛盾したものであるし,任意加入制度の当否を、周知広報いかんによって論じるのも正当とは思われない。また、学生の任意加入率が低かったの(約1.25%)は,学生の国民年金制度に対する関心の低さによるものである。
3 700万円(1人)の国家賠償をする必要はない!
 上記とおり、昭和60年法が憲法14条に違反するとはいえないことは明らかであるし、憲法には、20歳以上の学生を国民年金の強制適用の対象とする立法を行うべきことを命ずる明文の規定も存しないのだから、何ら憲法違反がないので国が賠償する必要はない。
広島地裁も3度目の原告「全面勝訴」判決

★障害基礎年金の支給と国家賠償を命ずる画期的判決!!
 大学4年だった1988年に、交通事故で半身まひになった原告と、大学4年だった90年に心不全から無酸素脳症を起こして全身まひとなった原告に対し、3月3日、橋本良成裁判長は、「国は85年の法改正時に、20歳以上の学生が障害基礎年金を受給できない規定を存続していたことは、著しく不合理であり、合理的理由のない差別で、憲法に反する」よって、社会保険庁が下した障害基礎年金の不支給決定は、「違憲、無効な規定に基づいてなされた行政処分であり、違法であり取り消すべき」として、2人にそれぞれ200万円を支払うよう命じ、年金の受給資格を認めて不支給決定を取り消した。国民年金法の規定を違憲としたのは、昨年の東京、新潟両地裁判決に次いで3件目だが、賠償と不支給決定取り消しを認めた初めての判断を下しました。
翌、3月4日広島原告・弁護団と共に厚生労働省と国会議員へ3度に及ぶ違憲判決を重く受け止め、これ以上無責任な控訴をしないように申し入れを行いました。
要望書を読み上げる阿部と遁所(父)

★全国各地の裁判情報
@3月25日、東京原告3名に対し東京高裁の判決が下されます。
昨年の東京地裁での勝訴判決後。国側の控訴で闘われてきた東京原告に対する初めての控訴審判決が下されます。地裁での3度の違憲判決に対し、高裁でも違憲判決が下されるのか大変注目されます。
A4月22日、福岡地方裁判所で原告1名に判決が下されます。
第二回新潟原告の控訴審のお知らせ
5月24日(火)午前11時より東京高等裁判所(8階第16民事部813号室)で、第2回目の控訴審が開かれます。
東京高等裁判所は、東京駅より地下鉄丸の内線、霞ヶ関駅より徒歩5分の所にあります。高裁は、国に有利な判決を下す傾向にあり、逆転敗訴になる例も数多くあります。皆様の傍聴が大きな支援となりますので、東京まで行かれるのは大変ですが、傍聴をよろしくお願いします。

裁判ニュース21号

中越大震災に遭われた方々へ心よりお見舞い申し上げます。
また、一日も早い復興をお祈り申し上げます

●「特定障害者給付金支給法」成立 ●
支給額が低く範囲が限定的な不十分な法律
 12月3日、「特定障害者に対する特定障害給付金の支給に関する法律」が成立しました。
 この法律は、国民年金の障害等級に該当する障害がありながら障害基礎年金を受給することができないでいる人たちのうち、「特定障害者」に該当する人たちに対し「特定障害給付金」を支給するもので、学生無年金訴訟の原告たちをはじめとして年金制度の不備により障害基礎年金を受給できないでいる人たちの深刻な生活状況を改善するものとして、法改正の第一歩を踏み出した点においては評価することができます。
 しかしながら、この法律の内容は、給付の基本的性格が障害基礎年金とは異なる特別の給付金として位置付けられていること、受給対象者が限定されていること、支給金額が1月4万円(障害の程度が障害等級の1級に該当する特定障害者にあっては、5万円)であり障害基礎年金の支給金額に比べて低額であることなど、未だ非常に不十分なものであるというべきです。
 本年3月24日、東京地方裁判所は、昭和60年の年金法改正の際、学生について在学中の障害を理由とする年金の受給がより容易となるような制度を設けなかった点において、学生以外の法律上当然には被保険資格を有しない者(20歳未満の障害者)との間に不合理な差別が存在し、憲法14条に違反する状態が生じており、この点についてそのような評価を受けない状態に是正する立法上の措置が必要な状態が生じていたと判示しました。
 さらに、本年10月28日、新潟地方裁判所は、学生が強制適用の対象から除外されたことにより、20歳以上の学生とそれ以外の者(20歳以上で、学生でなかった者)との間で生じた区別は、合理的な理由のない差別であり、憲法14条に違反するとの判断を示し、 昭和60年の年金法改正時において、学生を強制適用の対象から除外する規定を削除する立法措置をとらなかったことは、国家賠償法上違法の評価を免れないと判示しました。
 これらの判決は、いずれも現行の国民年金法を改正し年金制度の枠内における問題の解決を求めているものです。
 しかしながら、今回の法律は、これらの判決が指摘した従前の年金制度の不備を改正すべきとする司法判断の趣旨が生かされていない上、これらの判決が認めた違法な立法不作為により障害基礎年金を受給できなかったことによる損害に対する補償については、全く触れていません。
 このように、今回の法律は、立法の不備を全く放置していた従来に比べ現状を改善する第一歩ではありますがそれ以上のものではなく、上記の重大な問題点を数多く含んでいるものであり、更なる法改正が速やかになされるべきです。
 私たちは、今後も、年金制度の枠内による解決と障害基礎年金と同額の支給を求めて、粘り強く裁判と運動を続けていく所存でございますので、皆さまのご支援をこれからもよろしくお願いいたします。

●特定障害者に対する特別障害給付金の支給に関する法律要綱●
1.対象者
・平戒3年度前の国民年金任意加入対象であった学生
・昭和61年度前の国民年金任意加入対象であった被用者の配偶者
であって、任意加入していなかったもののうち、当該任意加入期間内に初診日があり、現在、障害基礎年金1、2級相当の障害に該当するものとして認定を受けた者
2.支給額
1級=月額5万円(2級の1.25倍)
2級=月額4万円
※拠出制障害基礎年金の趣旨を損なうなうことなく、福祉的措置として配慮を行う。
・自動物価スライドを行う(政令)
・所得による支給制限を行う(政令)
3.費用負担
全額国庫負担
4.実施主体
・国が対象者の認定及び給付金の支給の事務を行う。
・市区町村を支給申請の窓口とする
5.その他
・国民年金制度の発展過程において生じた特別な事情を踏まえ、年金を受給していない障害者に対する福祉的措置については、今後引き続き検討が加えられるべきものとする
・特別障害給付金を受給している場合には、国民年金保険料の申請免除を可能とする。
6.施行
平成17年4月1日
●控訴断念と尾辻厚生労働大臣に
面談を求める申入れへのご協力、ありがとうございました。●
 皆さまのお力添えで、尾辻厚労大臣と面会できました。(詳細後述)しかし不誠実にも、11月10日に国は東京高等裁判所へ控訴しましたので、私たちの闘いはこれからも続きます。

●新潟判決「ほぼ全面勝訴」よりの活動報告新潟判決と私の2日間 / 阿部正剛●
10月28日
■ついにその日の朝を迎えた
 10月28日は、新潟県中越地震の余震で眠れぬ朝を迎えた。今年は最悪の年である。7・13水害で三条市の半分が大きな被害を受けたばかりであるのに、今度は地震である。これで、裁判に負けてしまったら・・・・。こんな事を考えながら、朝を迎えた。
■新潟地裁3階第1号法定へ入室
 午前9時、裁判所へ着くと既に「支援する会」の皆さんの傍聴の列ができていた。会員の皆さまには、裁判の傍聴に来ていただいたり、街頭のチラシ配布のお手伝いをしていただいたり、本当にお世話になっている。今日も皆さんに感謝しながら、裁判所の判決が言い渡される3階第1号法廷へ入室した。
 午前10時に犬飼裁判官ほか二人の裁判官が入室してきた。緊張がピークに達し、提訴から約3年今までのことが走馬灯(そうまとう)のように頭の中をよぎり、マスコミなどの写真撮影の2分間がとても長く感じられた。
■やった、勝った!
 犬飼裁判官が「では、判決を言い渡します。被告国は、原告らに対しそれぞれ700万円を支払え・・・・・・・」。「やった、勝った」声には、出せなかったが心の中で叫んだ。平成10年2月3日に裁定請求を出してから6年以上、今までの苦労が報われた。
 主文を読み終わらないうちに、原告弁護団の今井慶貴先生が、法廷から飛び出していった。裁判所前にいる支援者・マスコミへ「勝訴」と書いた垂れ幕を掲げるためだ。
(勝訴の垂れ幕を掲げる(辻澤弁護士のお母様作)今井慶貴弁護士)



■すぐ東京へ報告
 約10分間の要旨読み上げがおわり、裁判官が法廷を後にすると、遁所さんと顔を見合わせると、涙がにじむ笑顔でお互い「やったね」。弁護士の先生も席を立って「やった良かった」「すごい判決だ」と笑顔で握手をしてくれた。 裁判所の玄関を出ると、法廷に入室できなかった支援者の方々から「おめでとう」「良かったね」といわれ、うれしさと感謝の気持ちでいっぱいになった。
■新潟空港へ、そして東京
 記者会見に臨んだが、気持ちが高揚していて何を話したらいいのか、頭の中が真っ白になった。しまった、記者会見用に原稿を用意しておくのだった。ふと、横目で隣を見るとさすが遁所さんは用意が良い。原稿を用意している。私は、何を話したかさっぱり覚えていない。しかし何時までも感動に浸っていられない。12時30分の飛行機に乗らなくてはならないのだ。記者会見も早々に切り上げ、新潟での勝訴集会は遁所さんにまかせ、遁所さんのお父さん、弁護士の先生方は足早に車に乗り込み新潟空港へ向かった。
■厚生労働省前から記者クラブでのインタビューまで
午後3時過ぎ、厚生労働省前に乗り付けると、既に大勢の原告・支援者の方々が街宣を行っており、拍手でむかえられた。マイクを渡され、「勝訴報告を」と言われたが、強行軍で東京まで来たことや、「勝訴」の喜びでまだ頭の中が混乱していて何を話して良いのかわからない状態だったので、とにかく「勝てば官軍」の勢いだけでマイクを握り、ナンでも良いから叫んだ。街宣が終わってもまだ忙しい、次は厚労省にとりあえず「原告勝訴」の報告をして、次は弁護士会館で「勝利集会」へ向かった。とにかく、うれしいやら忙しいやらで、まだ頭の中が混乱していて、自分でも何を話しているのかわからない状態だった。午後5時からの厚生労働省記者クラブでのインタビューのころになるとやっと落ち着きはじめ、記者の質問にもまともに答えることができるようになった。


10月29日
■坂口前厚労大臣と面会
 何時までも「勝訴」の感激に浸ってられない。「国の控訴断念」「救済法案の早期立法」を実現しなければならない。
 朝から、坂口前厚労大臣と面会し「坂口試案」を出してくださったお礼と今後の御助力をお願いする。快く快諾してくださり力強い助っ人を得た。(後に、議連の顧問に就任してくれました)







■厚生労働省交渉
 午前11時、本丸厚生労働省と交渉。入ってきた役人も、東京地裁に次いで2度目の敗訴で、気のせいか元気がない様子?しかし、さすが役人、転んでもただでは起きない。「判決で障害基礎年金の支給は行政措置としては可能であるぞ」と言えば、「法解釈を超えることを、果たして行政府が行ってよいものか疑問がある」とか、「判決は重く受け止める」「まだよく精査していない」とのらりくらり。今までと何ら変わらない対応に終始し、腹立たしさだけが残る交渉だった。
■厚生労働委員会・法務委員会へ
 夕方からは、弁護士の先生方と新潟県選出の国会議員へ要請を行うことになり、梁瀬衆議院議員(民主党の影の法務大臣)と面会したり、千葉議員に法務委員会で大臣に「控訴断念」を強く迫ってほしいと要望した。
 二日間の行動の最後に、お母さんの黒岩秩子さんから、この問題に取り組んでおられる、黒岩宇洋参議院議員に「勝訴」報告へ行くと、「本当に良かった」「これで救済法案の早期立法を実現する」と喜んでくれ、一緒に記念撮影をした





坂井(京都原告)・谷村、大澤弁護士・左前より阿部・黒岩議員・和田弁護士
■一日も早い解決を!
 慌ただしくバタバタとした二日間であったが、やはり「勝訴」判決の力で、ほとんど疲れなかったような気がする。これで「負けていたら」、疲労が重なり途中でダウンしていたかもしれない。最後に黒岩宇洋議員が言っていたが「ここで負けていたら、与党案さえ廃案になっていたかもしれない」と聞いたときはショックを受けた。とても満足ができるような法案でない与党案でさえ、成立するかどうかの瀬戸際と聞き、この問題の難しさをあらためて感じ取った。
 訴訟の原告は、重度障害のある身体を酷使し、苦しい経済状態の中で3年以上におよぶ裁判やそれに先立つ多年の運動を闘い、既に疲弊している。いつまで裁判を続けられるか不安である。一日も早い解決を心より願っている。

11月8日
■「無年金障害者救済法」の早期実現をめざす11.8行動、衆参両院、法務委員会・厚生労働委員会の委員へ、控訴断念・早期解決を要請
■尾辻厚労大臣と面会。
 皆さまの面談を求めるFAX送信のご協力と社民党の福嶋瑞穂党首や黒岩宇洋議員のご尽力により、国会議事堂内で約3分間ですが、尾辻厚労大臣と面談することができ、「控訴断念」と「無年金障害者の窮状と早期解決」を訴えました。尾辻厚労大臣は「あなた方のことはよく存じ上げている」「私個人としては思うところがある」と、もしかしたら「控訴断念」してくれるのではないかと期待を寄せる発言をしました。(しかし、10日午前中に国は控訴。見事に期待を裏切ってくれました)

左奥より2人目より黒岩議員.福嶋党首
尾辻大臣 手前後ろ姿阿部



11月29日
■厚生労働省前で「特別障害給付金支給法案」は、問題が多く不十分な法律であることを訴える緊急行動を行いました。
 私たちが東京地裁・新潟判決で勝ち取ってきた、これらの判決は、いずれも現行の国民年金法を改正し年金制度の枠内における問題の解決を求めているものです。
 不当にも国側が控訴したことにより、学生無年金障害者訴訟はまだ続きます。私達は重度の障害を負った体で長年の裁判やそれに先立つ活動で、既に心身共に疲弊しています。しかし、どんな苦難が待ち受けていようとも、「一人の人間として普通に暮らしたい」という願いを叶えるために、私たちは今後も、「年金制度の枠内による解決と障害基礎年金と同額の支給」を求めて,粘り強く裁判と運動を続けていくことを訴えました。
写真・厚生労働省前



●新潟地裁における勝利判決とその後のこと/ 遁所彊二(直樹氏の父)●

 国を相手に障害基礎年金の支給及び国家賠償を求め、平成13年7月5日新潟地方裁判所に訴訟を起こして以来3年過ぎた平成16年10月28日新潟地方裁判所で勝訴の判決がなされました。法廷は午前10時に開廷され犬飼裁判長の主文の第1項の「被告国は、原告らにそれぞれに対して700万円を支払え。」が読み上げられると今井先生が傍聴出来ずに外で待っている支援者に知らせるために退廷され、その後、約15分ほど裁判長が主文と事実及び理由を淡々と読み終わり、閉廷が宣告されると廷内は喜びのささやきで埋まりました。
 この後、記者会見がすんでから私たち和田先生・南野先生・辻沢先生・今井先生・阿部さんの6人は、北海道から九州まで、全国から集まっている原告やその家族、支援者へ新潟判決の報告やら、国の控訴断念、また、法案成立を願って空路、上京しました。
11月2日、和田先生の上京され関係機関に廻られたとのことです。
11月8日・9日には控訴断念の請願と無年金障害者救済法早期実現を願っての上京しました。
11月10日には新潟弁護士会館で国が控訴したことを受けて記者会見がありました。
11月19日 特定障害者に対する特別障害給付金の支給に関する法律案の審議が衆議院厚生労働委員会が行われるということでその傍聴のための上京しました。
11月29日 午後4時からの特定障害者に対する特別障書給付金に関する給付金の支給に関する法案に対する障害者団体、無年金者の会・在日外国人関係。主婦の関係・新に起こった強制加入後の障害学生無年金者との合同記者会見のために上京、この日の全労連・中央社保協主催11・29厚生労働省前行動にも参加することも出来ました。
12月3日 上記法案が成立したのでそれに対する新潟原告団の記者会見が弁護士会館で行われました。以上これまでに行われた事柄の概略です。振り返って見ますと、判決が出るまで3年、口頭弁論の回数が20回、この間の弁護団の先生方のご苦労が勝利の判決を導 議員会館を回る 左より辻澤弁護士 いたものと思います。判決を終わって弁護士の先生方から手を握っていただいたとき感謝と喜びで思わず涙が出てしまい、息子の涙を一緒に拭きました。そして、一緒に戦ってきた阿部さんから支えられたことも感謝しなければならないと思いました。この思いで上京し行動に参加することが出来たように思います。今回新潟判決で控訴断念などを求めて交渉した際、年金課長らはそつのない答弁を繰り返し核心に触れることを避けることに終始しました。一方、私案を出された前厚生労働大臣の坂口議員とわたしにも考えがあるとおっしゃった現尾辻大臣のお二方にお会いして官僚の変化を好まない態度こそ堅い壁に感じました。新潟判決の報告会や、11月19日の衆議院厚生労働委員会の傍聴後で述べられた弁護士の高野先生の、敗北感を持ってはならない、この法案の成立を第一歩の足掛かりとして国民年金法に変えさせ、さらに年金額を生活に見合う額に引き上げるよう第2、第3へと運動をつなげなければならないという励ましの言葉に感銘しました。また、原さんのこの運動を始めて17年にやっとここまで来た思いですという発言はこの運動の壁の堅さを一層強く感じ、命続く限り息子を支えこの運動に参加しなければならないと覚悟を新にしています。


●[ひと]遁所直樹さん=学生無年金障害者、新潟訴訟の原告●
[毎日新聞 2004年12月5日(日)]

◇自立の日まで止まるわけにはいかない
 「法の下の平等を定めた憲法14条に違反する」。10月28日、新潟地裁で原告への各700万円の賠償を国に命じる判決が言い渡されると、車椅子の上で深々と頭を下げた。普段は照れて言えない「ありがとう」の一言に、支えてくれた仲間と父への感謝の気持ちを込めた。
 大学院生だった87年6月、新潟市で海水浴中、頸椎(けいつい)を損傷し、首から下の自由を失った。母タカ子さんを病気で亡くしたのが半年後。失意のどん底で、障害基礎年金の不支給決定が追い打ちをかけた。91年より前、20歳以上の学生の国民年金加入は任意制で、加入率はわずか1%強。しかし、障害を負っても未加入なら障害基礎年金は支給されない仕組みだ。
 寝たきり生活を変えたのは、父彊二(きょうじ)さん(73)の言葉だった。「生きていくには資格がいる。勉強しろ」。奮起して行政書士と社会福祉士の資格を取った。だが、日常生活のすべてで助けが必要なことに変わりはない。過労で彊二さんが倒れた時は、食事すらできなかった。
 「社会参加して税金を納め、一人の国民として認められたい」。そんな思いから、法廷闘争に踏み切った。87年から国民年金に加入したが、「年金を払っていなかったのに何を言う」と非難の電話や手紙が相次いだ。くじけなかったのは、同じ立場の障害者たちの期待が背中を押したからだ。
 国会では無年金障害者の救済法が3日、成立した。しかし国の控訴で裁判は続く。「普通の暮らしをするため、力を振り絞って頑張る」。不自由な体を揺するようにして言った。<文と写真・前谷宏>

●新潟学生無年金障害者を支援する会●
〒950-2022新潟市小針1-30-2NPO法人自立生活センター新潟内 Tel/Fax025-232-7245 ホームページhttp://munenkin.com
郵便振替:口座番号00530-7-72753 名称:新潟学生無年金障害者の会

裁判ニュース特別号

新潟訴訟 原告が「ほぼ全面勝訴」判決  差別は憲法14条違反・放置は国の怠慢

今井弁護士 10月28日新潟地裁で、犬飼眞二裁判長は「20歳以上の学生と、それ以外の20歳以上の国民の間に生じた区別は不合理な差別で、法の下の平等を定めた憲法14条に違反する」と述べ、85年に改正された国民年金法の規定を違憲とする判断を示した。そのうえで、救済措置を講じずに放置した「立法不作為」(国の怠慢)による国の賠償責任を認め、国が必要な措置を講じていれば障害基礎年金の支給対象者になっていたとして、原告に1人700万円の賠償を命じました。(東京判決では、1人500万円)
判決は、障害基礎年金の支給こそ認められませんでした(理由は、支給されるべきであるが、現在の法律では、学生無年金障害者に障害基礎年金を支給できる法律が国の怠慢により立法されていない。よって、過去の分は国が賠償しなさい、将来の分については、国会が、早く支給できる法律を作りなさい。)が、国が、任意加入という制度下において、無年金障害者が発生することを予見しながら、20年以上の長期にわたりこれを放置し、何ら立法措置をとらなかったことを厳しく断罪するものでした。さらに、「原告らは、国民年金制度の不備欠陥と周知の不十分により無年金障害者にならざるを得なかったのであり、何ら非難されるべきではない」、「障害者が社会で自立するためには障害年金が不可欠である」とも述べています。
 私たちは、重度障害のある身体を酷使し、苦しい状態のなかで3年以上におよぶ裁判やそれに先立つ多年の運動を闘い、既に疲弊しています。国に、本年3月の東京地裁に次ぐ新潟地裁の違憲判決を重く受け止め、これ以上裁判を長期化させることなく、控訴せず、直ちに必要な法律を成立させ、抜本的な無年金障害者救済を強く求めます。

★判決後の行動報告★
10月28日(木)
午前10:00 原告ほぼ全面勝訴判決」(記者会見後、阿部・遁所(父)・弁護団飛行機で東京へ、遁所直樹、「勝訴」報告会出席)
午後2:40 厚生労働省到着(霞ヶ関)。拍手で迎えられる。厚労省に向かって、新潟判決「勝訴」と国の「控訴」断念を訴える街宣活動
午後4:00  厚労省年金局に要請書を提出。
午後6:00 厚生労働省記者クラブで記者会見
10月29日(金)
午前10:30 坂口前厚労省大臣(公明)との面談
11:30 厚生労働省年金局・障害福祉課へ救済措置を求める交渉
午後 1:00 国会裏交差点ビラ撒き
2:00  衆議院第2議員会館前でビラ撒き
4:00 泉・筒井・梁瀬・千葉議員(民主)・黒岩議員(無)らへ早期の救済立法の実現、国の控訴断念申し入れ。黒岩宇洋議員と原告・弁護団
11月8〜10日 厚労省・国会議員へ早期救済・控訴断念行動(予定)
11日東京高等裁判所への「控訴期限」 


★皆さまへお願いです★
 尾辻厚労大臣へは、面会を求め、私達の話を聞いて頂き控訴断念・早期解決を申し入れ、小泉首相・南野法務大臣には、控訴断念の申し入れをいたします。そのために、皆さまからも早急に、同封の申入書に日付・住所・氏名をご記入の上、各大臣宛にFAX若しくは郵送(時間がないのでできるだけFAX)で送付して頂き、大臣との面会・控訴断念を、国に求めて頂きたいと思います。皆さまのご支援をよろしくお願い申し上げます
1 面会を求める緊急の申し入れ書 尾辻厚労大臣宛
申入書上部に記入してある宛先へ
2 控訴断念と早期解決のための申し入れ書(3ヵ所へ)
小泉首相 〒100-0014 東京都千代田区永田町2-3-1内閣広報室
FAX 03−3581−3883
尾辻厚労大臣 1と同じ住所・FAX番号
南野法務大臣〒100-8196東京都千代田区霞ヶ岡1−1−1中央合同庁舎第6号館FAX 03−3592−7393

裁判ニュース20号

 新潟裁判「結審」(審理が終了)
    次回判決は、10月28日(木)午前10時


 第20回裁判が7月22日(木)午後3時30分より約1時間行われました。原告側準備書面説明の後、原告両名の意見陳述が行われ、平成13年7月5日の提訴以来、3年間で20回の裁判が開かれた、新潟裁判も今回で審理は終了しました。3年の間に、街頭でのビラまき、証言台でOHPを使って年金の必要性を訴え、東京で国会議員へ要請を行ったり等、様々な活動を行ってきました。その結果、東京地裁で歴史的な「勝訴」を勝ち取り、国会では、無年金障害者救済法案が与野党から提出されるなど、10年前、市役所に裁定請求を提出した頃では、考えられないほど激しく動いております。新潟裁判で「勝訴」判決を勝ち取ることにより、この流れをより一層確固たるものとし、国の学生無年金障害者を放置してきた怠慢、国民年金制度の不備欠陥等を断罪し、国民が安心して生活できる「真の国民年金制度の確立」に向け大きく前進したいと思っております。
「支援する会」の会員の皆さま始め、弁護団の先生方や全国の仲間に支えられ、ここまで裁判を続けることができました。御礼申仕上げます。

第20回口頭弁論報告
日時 平成16年7月22日(木)
時間 午後3時30分より
裁判長 犬飼裁判官
原告 遁所直樹 阿部正剛
弁護団(出席)和田光弘 足立定夫 今井慶貴 大澤理尋 近藤明彦 辻澤広子 渡邊隆夫各弁護士
被告 国8人出席
傍聴者 約40名
原告:準備書面(13)提出

◎原告:阿部正剛氏の意見陳述(抜粋)
 先般、国会議員120名以上が国民年金に未加入・未納であったと報道されました。さらに、小泉総理大臣は、学生時代の自身の国民年金の未加入について、「加入する必要がないでしょう」「『任意加入』期間は『加入義務はない』のだから加入していなくとも何の問題はない」とも言っています。総理大臣は「問題はない」と言っているのに、私達は、「おまえが悪い」と言われなくてはならないのか、矛盾を感じている。
 7月13日、三条市を中心に未曾有の大水害に見舞われ多くの家屋が被害に遭いました。障碍者は、一旦災害に遭うと、普通の方々より、復興に大変な困難を伴うのです。さらに障害基礎年金さえ受給できない私は、受給できている障碍者よりも更に大変な試練が待ち受けていると思います。もしも、このような事態に遭遇したとしても、障害基礎年金の支援を受けて生活の再構築に希望が持てると言う安心感が、普段の生活にも精神的な安心を与えることになります。今回の災害で改めて障害基礎年金のもつ大きな意味を認識しました。
 偶然、障碍を負った事さえも所得保障の制度の谷間で、結果として個人の責任とし、その全てを自己責任として障碍がなければ必要のない余計な費用までも、障碍を負った体で自ら捻出しなければ生きてはいけない。せめて、障碍のない人たちと可能な限り、同じ条件に置かれるような状況を作りだすための費用については、国に保障して欲しいと心から思います。
 学生期間中で未加入を余儀なくされた者にこそ年金を確保する事が「国民皆年金」の精神であるし、さらにその救済を拒むのはその精神に反していると考えます。ノーマライゼーションの理念を実現しうる、誰でもが安心して生活できる「国民年金制度の確立」にむけて、私達学生無年金障碍者の切実な願いに真正面から答えられる判決を望んでいます。

◎原告:遁所直樹氏の意見陳述(抜粋)
1993年3月、施設を退所して新潟に戻ってきました。歯磨きと洗濯機を使う訓練だけの生活では社会復帰など望めない。社会復帰をするためには資格が必要であることを知っていた父親はチャンスを与えるために新潟での生活を決意したのでした。帰ってからの生活は大変でした。詳しくは父親の執筆した「期待せずあきらめず」に詳しく出ています。父親はこの言葉に出会ったことを感謝している。
同じ価値を持つということは目が不自由な人が眼鏡をかけるように、障がいがあるためにかかる費用は障害基礎年金などを使うように、というふうに受け止めています。平等とは同じ価値を持つことなのです。そしてそのことはノーマライゼーションという理念に反映されていることなのです。
 社会保険事務所で国民年金を納めない人に対して、大泣き爺・口だけ女・せびるマンなどと呼んで侮辱し、江角さんが国民年金未納があるとわかると個人の責任にしてしまうなど、私たちを悪者扱いにしてスケープゴートにしていることに大変不快感を感じます。
障がいを持った場合学業をやめなければならないのでしょうか?障がいを中途、あるいは生まれつき持った場合、働いてはいけないのでしょうか?それならば社会保障はどこに行ってしまうのでしょうか?普通の人ならば必要のないものでも障がいを持つと余計にかかるその経費については国が保障してほしいと願います。そのことにより、障がいを持っても社会参加ができ、経済活動の消費者となりお金が循環するのです。税金を納めることのできる障がい者が増えれば日本の国も豊かになります。それには障害基礎年金をはじめ各制度が必要なのです。
私と阿部さんは障がいを持っても社会参加をしていこうと、思い、なお、税金を納める義務を果たしています。それでも虐げられるのなら声を出し続けます。たとえ被告が1年ごとに交代して、新メンバーになったとしても、正しいことは正しいと訴え続けます。私たちが声を出すことで扉が開かれることを望みます。扉が開かれ私たちの後にいる声を出せない障がいを持った仲間がどれほど救われることでしょう。
又、新潟での裁判が今回で終了するのであれば、裁判官の皆様、私たちの思いをくみ取ってください。そして、国民年金法という複雑な法律が私たちのような無年金障がい者を生んだという事実を知っていただき、無年金障がい者がこれ以上生まれないように国が私たちに寄り添う形で本気になって、考えるような判決をお願いいたします。

◎7.13水害のお見舞い
7月13日の水害に、「新潟・支援する会」の会員も、被害に遭われた方が多数おられます。
 被害に遭われた方々には、心よりお見舞い申し上げます。また、一日も早い復旧をお祈り申し上げます。

裁判ニュース19号

 無年金障害者救済の法案提出
   与党案は福祉的手当を支給


 3月24日 の東京裁判での歴史的な勝訴判決以来、全国の原告・支援者が精力的に、国の控訴断念、無年金障害者救済の法案の提出を訴え、与野党の全国会議員へ要請活動を続け、民主党管代表(当時)・共産党志位委員長、さらに、与党年金制度改革協議会の大野功統座長とも面談しました。
 国の控訴断念は、残念ながら実現しませんでしたが、6月9日に民主党が、10日には自民・公明党が、それぞれ無年金障害者救済の法案を国会に提出し、無年金障害者の救済に向けて大きく動き出しました。
 双方の法案の大きな違いは、民主党案が、障害年金の支給(年金の範囲内)であるのに対し、与党案は、福祉的手当(年金の範囲外・1級月額5万円・老齢年金の保険料等の多くの問題がある)を支給するというものです。私たちは、裁判において、年金制度の不備・欠陥で生じた学生無年金障害者は「年金制度の枠内」で解消し、「みんなが安心して暮らせる国民皆年金」を実現して欲しいと訴えています。与党案は、「似て非なるもの」である以上、新潟裁判で「障害年金の支給判決」を勝ち取るために闘い続けたいと思っております。皆さまの支援よろしくお願い申し上げます。

◎閣僚や国会議員の保険料未払いは制度の欠陥を証明
 連日にわたって国会議員や大臣の年金未納・未加入問題が報道されています。報道によれば、現在、公表されているだけで120人近くもの国会議員(国会議員の六人に一人)が未納・未加入であったとされており、とどまることを知らない状況にあります。
 国民年金を所轄する厚生労働省の副大臣二人が未納であったと報道され、小泉総理大臣についても一時期未加入であったことが判明しています。
 裁判において、被告国・社会保険庁長官は、学生は被保険者から除外されていたが、任意加入制度があり、加入していなかったのだから、障害年金が支給されないのは当然だと主張していまず。しかし本当にそうでしょうか。私たちが重要だと思うのは、記者の質問に対して小泉総埋大臣が「四〇年前の学生時代に、年金に入っていなきゃいけないとみんな思っていますか?問題にするほうがおかしいでしよう」と答えている点です。過去に厚生大臣を務め、現在は総理大臣である小泉総理大臣でさえ学生時代の任意加入制度について、この程度の認識しかもっていなかったのです。また、他の大臣や議員らも異口同音に、制度や手続が複雑で知らなかったと、未納・未加入は国民年金制度の不備によるものだと弁明しています。このように総理大臣や国会議員といった職にある者でさえ、「学生時代に年金に加入する必要がなかった」とか、「手続をよく知らなかった」と言っているのですから、一般の国民にとって、任意加入制度を知らなかったのは、至極当然のことと言わざるを得ません。
 私たちは、学生の任意加入制度は、わずか2%の加入率しかなく、制度としては全く機能していない欠陥の制度だと主張しています。今回の一連の未納・未加入問題は、まさしくそのことを立証したというべきです。
 原告らは、多くの学生や一般国民と同様、年金制度についてよく知らず、当時は学生が強制加入の対象から除外されていたことについてもよく知らず、ましてや任意加入制度の存在についてなど知る由もないまま、二十歳を迎え、二十歳をわずかに越えた時点で、思いもかけない事故や病気によって重度の障害を持つこととなりました。大阪裁判の原告の場合などは、二十歳の誕生日のわずか二十日後の事故でした。
 にもかかわらず、本日に至るまで、同じく大阪原告の場合であれば、四〇年以上もの長きにわたって、障害年金の支給を一切拒まれ続けています。その理由は、ただ一点、「任意加入していなかったから」、これだけの理由なのです。
 はたして、任意加入していなかった、原告らに、どれだけの責任があるというのでしょうか。
 小泉さんは国会審議の中で「うっかりミスは誰にでもある。責任は問いません。」といいました。原告らが任意加入していなかったことはうっかりミスではありません。制度の欠陥です。ましてや原告らが事故や病気に遭って障害を得ることになったことは、うっかりでもありませんし、ミスでもありません。
 むしろ、多くの原告は、障害年金の支給を受けられず、十分な収入を得ることもままならない苦しい生活の中でも、学生でなくなった時点、すなわち、国民年金に強制加入となった時点から、連綿と保険料を支払い続けています。
 この不平等・不合理は、なんとしても解消されなければなりません。国会では未納議員を救済するために、過去にさかのぼって保険料の納付を認める救済立法が議論されています。原告らは、これまでに何度も行政の窓口に行っては、「二十歳になってから事故に遭うまでの未納入期問についての保険料を支払いますから、障害年金を下さい」とお願いしてきました。しかし、行政の窓口は、「火事になってから保険にはいるようなものだ」という屍理屈を、弄するばかりでした。
 今回の与党救済立法(案)でも、任意未加入の無年金障害者に対して追納・年金支給が認めれてはおりません。
 この不平等・不合理を糺すことができるのは裁判所しかありません。
 新潟裁判も、今秋にも判決が予定されております。裁判で「障害年金の支給判決」を勝ち取り、「障害者が所得保障を受ける権利」確立を目指しています。
(無年金障害者の会・関西の会、合同ニュースより、中西基弁護士の弁論抜粋一部改)

第19回口頭弁論報告
日時 :平成16年6月24日(木)
時間 :午後3時30分より
裁判長: 犬飼裁判官
原告 :遁所直樹 阿部正剛
弁護団(出席):和田光弘 足立定夫 今井慶貴 大澤理尋 近藤明彦 辻澤広子 渡邊隆夫各弁護士
被告 :国側、8人出席
傍聴者: 約40名
◎最終準備書面(第12回)
 約100ページあるので、弁護士が交代で要旨を説明をおこないました。
 学生が「制度のはざま」におかれたという差別=「はざま差別」が本件の本質である
 国は、学生が任意加入しなかったのは、周知されていなかったとか、保険料負担能力がないとかではなく国民年金に魅力がなかったためと自ら主張しているのは、まさに「天にツバ」するモノである。
 この国では、「拠出なければ給付なし」を声高に叫ばれることはあっても、「障害あれば給付あり」とノーマライゼーションの原則は遥か後景に追いやられてきた。
 原告らは重度の障害をもち、「生きる」こと、そのものが試練であり、罵声とも言うべき非難に耐え必死に自らの苦難を乗り越え、実に3年の長い時間を要し「障害者が所得保障を受ける権利」を求めてきた。御庁が、正義にかなう判断を下されることを強く期待し、確信している。 以上


裁判ニュース18号


東京地裁判決! ほぼ全面的勝利!!
    国家賠償命じる「放置は憲法違反」

 3月24日(水)東京地裁(藤山雅行裁判長)で午後1時25分より原告4名に対して判決が下されました。
 裁判長は「年金を受け取れない制度は法の下の平等を定めた憲法に違反する。それを放置した国には、立法不作為(怠慢)の違法がある」と述べて、賠償責任を認め、原告3人について総額1500万円の支払いを命じた。
 また、1人については「20歳前に障害を負い、受給資格がある」として、不支給処分を取り消す、原告勝訴の判決を言い渡した。
 判決は、原告全ての障害基礎年金の支給こそ認められなかったものの、学生無年金障害者を二〇年の長期にわたって放置してきた国の責任を断罪したものであり、憲法に定めた生存権をはじめとする基本的人権に基づく重要な判決です。
 現在、国には控訴せず、障害基礎年金を支給するように要求しています。しかし国は、障害基礎年金ではなく、月額3万円程度の「福祉的措置」としてお茶を濁そうとしている動きがあり、また厚労省は、控訴する方向で検討しているとも報じられています。
 勝訴判決にも安心できない状況でありますので、広範なみなさんのご支援を心からお願いいたします。

請求をほぼ全面的に認める画期的な判決(※プライバシー保護のため匿名)
 主 文
1東京都知事が、平成10年12月4日にAに対してした障害基礎年金を支給しない旨の決定を取り消す。
2原告B、C、Dの各処分取消請求をいずれも棄却する。
3被告国は、原告B、原告C及び原告Dに対し各金500万円を支払え。
4原告Aの金員請求、並びに原告B、原告Cび原告Dのその余の各金員請求をいずれも棄却する。
5訴訟費用の負担は次のとおりとする。(略)

◎判決後に開かれた報告会で東京原告団及び弁護団より次の声明文が発表されました。
東京地方裁判所民事第3部(藤山雅行裁判長)は、1991年の国民年金法改正によって20歳以上の学生が強制加入とされる以前に重度の障害を負って無年金障害者となった元学生の原告らの請求をほぼ全面的に認める画期的な判決を下した。
 脳腫瘍によって障害を負った原告Aに関しては高校3年時に腫瘍による視力低下について医師の診察を受けたものであるから、初診日において20歳未満であったことという法30条4所定の要件に該当しているものとして、不支給処分の取消がなされた。
 それ以外の3人の原告については、不支給決定の取消(障害基礎年金の支給)は、認められなかったものの、昭和60年法の改定時に、一方で20歳前に障害を負った者に対しては従来の障害福祉年金に代えて制度の根幹的給付である障害基礎年金を支給することとされ、20歳前に障害を負った者と学生との間の格差が量的に著しく拡大するとともに質的にも異なったものとなったと評価されること、昭和60年当時には国民の意識においても大学への進学は特殊なことではなく恵まれた者に限られるとの認識は消滅していることなどから、学生についてこれを是正すべき立法措置を何ら講ずることなく放置したことは憲法14条違反する、この点について国の故意、過失も認められる、として各500万円の国家賠償を認めたものである。
この判決は日本国憲法25条の生存権、14条の平等権等の基本的人権の理念をふまえ、20年の長期にわたって学生無年金障害者を放置してきた国の責任を断罪した画期的な判決である。
 国及び社会保険庁は控訴することなく、直ちにこの判決に全面的に従い、必要な立法措置を講ずるなど、学生無年金問題の全面的な解決を行うべきである。

◎このままでは,月3万円の手当てで終わりそうです。
(読売新聞)
 政府・与党は27日、国民年金に未加入だったため、障害基礎年金を受け取れなかった「学生無年金障害者」に対し、月額3万円程度の手当を支給することを柱とする特別措置法案を今国会に提出する方針を固めた。
 24日に東京地裁で、「学生無年金障害者に何の措置も講じなかったのは、『法の下の平等』を定めた憲法に違反する」との判決が出たことを受けたものだ。30日の与党年金制度改革協議会で、支給対象者の範囲などを検討する。
 政府・与党は、「政策的移行期にあったために、学生などに無年金障害者が発生した」とし、福祉的措置として救済する方針だ。具体的には、1961年の国民皆年金導入当時に作られた老齢福祉年金(全額支給で現在、月額約3万4000円)と同水準の手当を支給する方向だ。支給対象は、1985年の基礎年金制度の創設時から学生も強制加入となった91年までの間に、障害者になった学生無年金障害者らに限定する方向だ。厚生労働省は、この期間の学生無年金障害者は約4000人に上ると推計している。
 一方、公的年金制度で特例的に給付をするかどうかについては、「きちんと年金保険料を納めたほかの加入者の理解を得られない」として認めない考えだ。
 厚労省は、東京地裁判決については「立法不作為には該当しない」とし、控訴する方向で調整している。

◎皆様のご協力をお願いします!!
全国連絡会では現在、3月24日に出された東京地裁勝訴判決を受けて、「控訴断念」の申し入れ活動を急いですすめています。
(時間がないため、「できるだけ早く送って下さい」)
参考の文章を添付しました。
ご署名のうえ、ファクス等で、小泉総理、坂口厚労相、野沢法相の3人あてに送ってください。
内閣総理大臣 小泉純一郎殿
千代田区永田町2-3-1 内閣総理大臣官邸
FAX03-3581-3883
厚生労働大臣 坂口力 殿
千代田区霞が関1-2-2
中央合同庁舎5号館厚生労働省
FAX03-3595-2020
メールwww-admin@mhlw.go.jp
法務大臣 野沢太三 殿
千代田霞が関1-1-1法務省 FAX03-5511-7210
メールwebmaster@moj.go.jp
また3月30日(火)には、緊急の厚生労働省交渉・各党要請行動を実施します。
3月31日(水)には、「無年金障害者問題を考える議員連盟」の第2回総会が開催されます。

第18回口頭弁論終了
日時 平成16年3月11日(木)
時間 午後3時より
被告:準備書面(11)提出

裁判ニュース17号

東京地裁結審、3月24日(水)判決!

全国9ヵ所の地方裁判所で争われている、学生無年金障害者裁判のトップを切って、東京地方裁判所(藤山雅行裁判長、原告身体障害4人)が1月28日(水)に結審、3月24日(水)午後1時25分〜708号法廷にて判決が言い渡されることになりました。
 平成13年7月5日、全国で一斉に提訴し争われてきた裁判もいよいよ一つの結果が出されることに成りました。国の学生無年金障害者を長い間放置してきた責任、国民年金制度の不備欠陥、差別、憲法違反等数々の主張により自信と確信を持って勝利を信じております。全国訴訟連絡会も、東京地裁に対して公正な判決を下すよう全国からの署名も提出し、地裁前でも街宣活動を行ったりと裁判内外で支援活動を行ってきました。
 藤山裁判長は、過去、圏央道収用の執行停止を決定する判決やパキスタン男性の収容・強制送還の停止を命ずる判決など、行政側に偏らない裁決を下してきた裁判官として有名で、公平な視点で判決を下してもらえるものと信じています。
 新潟裁判も今春には結審、秋頃には判決が下される見込みです。東京裁判に勝利し新潟裁判での勝利に繋げたいと思っております。これからも皆様のご支援をよろしくお願い申し上げます。

第17回口頭弁論報告
日時 平成16年1月26日(月)
時間 午後3時より
裁判長 犬飼裁判官
原告 遁所直樹 阿部正剛
弁護団(出席)和田 足立 今井 大澤 近藤 渡邊 各先生
被告 国6人出席
傍聴者 約30名

証拠となる書証の追加(約30点)を行いました。
1法律原案及び立法の変遷等に関する資料
 昭和34年〜平成12年の国民年金法の改正の内容について
2障害者の一般的な権利状況に関する資料
 日本女子大学佐藤進教授「障害者に関わる法体系」、国連総会決議「障害者の権利宣言」等
3無年金障害者救済のための請願・陳情に関する資料
 過去、全国脊髄損傷者連合会による国会や旧厚生省に提出された無年金障害者救済の質問、陳述書等
4学者・研究者らの意見・論文等の資料
 龍谷大学社会学部田中明彦助教授、広島女子大学鈴木勉先生意見書等
5障害者運動に関する資料
 学生無年金障害者訴訟全国連絡会吉本哲夫会長「障害者運動の見地から見た学生無年金問題をめぐる運動と政治情勢の経過」等
 次回裁判では、被告側が最終答弁書を提出してくる予定です。

黒岩宇洋参議院議員(無年金障害者問題を考える議員連盟事務局長)のホームページ活動日記より
1月6日
 参院法制局の方にお出で頂き無年金障害者救済法案作りの作業に入りました。無年金障害者については簡単に説明すると何らかの理由で障害基礎年金(1級で月額約8万4千円)を受け取れない方がいます。例えば在日外国人で昭和57年まで国民年金に加入できなかった方や学生時代に任意加入の国民年金に加入していなかった方たちです。何とかその方たちに経済的支援をする論理構成を考えなければいけません。
 しかし、今日議論を始めると年金をもらえない理由、場合が余りにも多様且つ複雑である事が浮き彫りになってきます。とにかく救済の対象者をきっちりと分類する作業が必要です。そして、この人は救うが何故あの人は救わないのかと言う理由付けがはっきりとしていなければいけません。
 これは相当に難解な連立方程式です。しかも2次や2元といった低次や低元な方程式ではありません。少なくとも無年金理由を指す元は数十に上るでしょう。
 その昔ふざけて口にした「何のこれしき方程式」と言う訳にはいかないようです。地道な解法作業が続きます。
◎あってはならない存在
学生障害無年金者
学生無年金障害者京都訴訟を支える会編
A5判160頁 定価1,000円ISBN4-87699-796-9
かもがわ出版より発売
内容
 年金制度改革の谷間に置き去られた学生無年金障害者は救済されなければならない。京都地方裁判所で進んでいる「京都訴訟」の中で田中明彦龍谷大学助教授が原告・弁護団の求めに応じ20万字を超える意見書を執筆、証拠として裁判所に提出致しました。この「田中意見書」は、国民年金法制定時の40数年前にさかのぼって「国民皆年金」を真に実現する立場から、無年金障害者を救済する法理を明らかにしています。同時に、現在国民的課題になっている「年金改革」への道も明らかにしています。本書は、「田中意見書」の全文を収録、併せて「京都訴訟」原告(坂井一裕、松岡佳永子両氏)・家族2人の陳述書と論説「学生無年金障害者訴訟が問いかけていること」(井上吉郎氏)を収録。
◎東京新聞より取材を受け記事になりました。
年金制度の谷間障害者12万人 無年金障害者は、制度が任意加入だった時代に未加入のままで障害を負った主婦や学生などのケースで、生活に困窮する人も多い。
 新潟県三条市の阿部正剛さん(36)は、学生だった21歳の時、東京六本木のディスコ「トゥーリア」の照明落下事故で下半身麻痺の大けがをした学生無年金障害者。懸命のリハビリで車椅子に乗れるまで回復し鍼灸師の父親を手伝うが定期的な収入はない。国民年金は現在、20歳以上の学生は強制加入だが、当時の制度は任意加入で阿部さんは未加入だった。本来は月額8万円の年金を受けられる1級の身体障害だが、申請しても行政は支給を認めなかった。「加入しなかった自分が悪いのかもしれない」とも思った。だが、事故当時、加入していた学生約は2%で残り98%に「落ち度」が有った事になる。17歳で障害を負った友人は保険料を納めていなくとも障害年金を受給しており「制度がおかしい」と釈然としなかった。
 阿部さんは一昨年七月、国に年金支給などを求めた一斉提訴の原告団に加わった。提訴などを受け、坂口厚労相は昨年8月に出した「坂口試案」で、無年金障害者全てを救う方針を表明。だが、年金制度改革の厚労省案は無年金障害者救済は全く表明しなかった。
 同省は「制度の変更でなく、手当などの福祉的措置で対応する」と説明。保険料未納率が4割にも達する現状では、「保険料未納でも年金受給が出来るようになれば制度が崩壊する」と根強い抵抗感が背景にあると見られる。
 11月11日の交渉では、同会が出した要望の回答が出されるが、改善の見通しは明るくない。
 阿部さんは「障害があることが不幸なことにならない様な国民年基金制度の確立を望みます」と法廷で意見を述べた。
 今後も制度の谷間で苦しむ仲間のために戦い続けるつもりだ。
(東京新聞12/11付記事より)  

裁判ニュース16号

 
新潟大学法学部・加藤智章教授の証人立証が行われました。
 
 第16回裁判が新潟地裁で、11月20日(木)午後1時10分〜3時40分まで行われました。
 加藤教授は、社会保障法の教授であり、また学会内でも研究の少ない学生無年金障害者問題について強い関心を持たれ、提訴前より弁護団に加わって頂き裁判もほぼ毎回傍聴されている学生無年金の熱心な専門家です。
 尋問では、原告側今井弁護士より「先生は学生時代年金をかけていたのですか?」という質問に「裁判長と同じようにかけていませんでした」という言葉が調書に記載されました。(前回裁判官の「私も加入してませんでした」と言う発言は記録に残りませんでした)。
 反対尋問で国は「任意加入にした時に学生が99%近く入っていなかったのだから、強制加入にしたらペナルティーとして差し押さえなどの強制徴収があるから任意加入したのだ」と主張。学生を最初から悪者にしている発言で陳腐なものです。また、生活保護のことも触れ、原告両名にあえて税金を払う必要がないような主張をし、論理的な組み立てができなくなっています。しかし、相手は国なので慎重に今後も取り組んでいかなければなりません。これからもビラ配りや署名活動など皆様のご協力をお願いいたします。

第16回口頭弁論報告
日時 平成15年11月20日(木)
時間 午後1時10分より
裁判長 犬飼裁判官
原告 遁所直樹 阿部正剛
弁護団(出席) 和田 今井 大澤 近藤 渡邊 各先生
被告 国 8人出席
傍聴者 約50名

加藤教授意見書より抜粋(一部変更有り)
はじめに 
 学生障害無年金の問題は、過去の問題ではない。今後も発生する現在の問題でもある。
 学生障害無年金の問題を、20歳以上の学生が任意加入制度の対象とされていた平成3年以前の問題と理解するのは誤りである。強制適用被保険者とされた現在でも発生しうるところに、この問題の難しさと重要性が存在する。
 おそらく学生障害無年金の問題も、制度発足当初から存在した問題であろう。しかし、発生頻度が低いという障害の特殊性から、老齢と比較して、この問題は深く潜行していたといえる。けれども、発生頻度は低いものの、障害を負うことによる所得喪失あるいは所得が大きく減少する期間は長期に及ぶ。この点に着目したからこそ、20歳前に障害者になった者に対して、若年障害者・障害福祉(基礎)年金が設けられたといえよう。このような若年障害者・障害福祉(基礎)年金との比較からいっても、学生障害無年金の問題を制度上の欠陥であると考える。
@国民年金法の性格
国民年金保険制度の保障する利益を受けることができないものを保護する制度として福祉年金制度を定立していることからすれば、国民年金制度は、老齢、障害または死亡により国民生活の安定がそこなわれることを国民の共同連帯によって防止することを目的とする国民年金保険制度と福祉年金制度とからなる総合的な所得保障制度ということができる。
A国民皆年金制度と任意加入制度
 国は皆年金体制とは「全国民が拠出制公的年金のどれかへ加入を義務づけられ、あるいは加入することができる」という体制が完成したということである、としている。任意加入制度の存在を含めて、つまり"加入することができる"ことを含めて皆年金体制が完成したという理解は、国民には浸透していなかった。
B任意加入制度の機能
 稼得活動に従事することなく学業を行う学生が、かつまた"労働(稼得)能力がなく"労働(稼得)能力の減損に対する保障の必要もない"と断ぜられる学生が、任意加入制度に加入しなければ、たとえ障害者になっても障害年金を支給されないというのは、極めて不合理である。20歳以上の学生に関する障害に対応する所得保障システムを、任意加入制度だけに委ね、任意加入制度への加入すなわち保険料の負担をしなければ所得保障の手段を確保し得ない状況に放置し続けたことは、国民皆年金の考え方に矛盾する。保険料の負担能力がないとされる学生に、"負担なければ給付なし"という保険ルールの適用を求めているからである。
C障害基礎年金受給者との均衡
 障害年金受給者は、老齢基礎年金の保険料を負担しなくともよい。しかし原告両名などは、障害基礎年金の支給を受けられないだけでなく、老齢基礎年金の保険料を負担しなければならないのである。
 任意加入制度に加入していなかった以上、障害基礎年金を支給しないうえ、老齢基礎年金を受け取るために保険料の納付を必要とする、ということが、総合的な所得保障制度として存在する国民年金制度における合理的な差別として是認されるのであろうか。
 任意加入制度に加入していなかったために、国民年金制度による所得保障の途を断ち、障害というハンディを負ったとしてもなお、老齢基礎年金のための保険料負担を強いることが、立法府の広範な裁量権のなかで認められるとは、私にはとうてい理解できない。
Dむすびにかえて
 障害という事故が、長期にわたる所得喪失あるいは所得の減少をもたらすものであることからいえば、20歳以上の学生に対して、任意加入制度でしか対応してこなかったことは、画龍点晴を欠くものと考える。

加藤教授意見書

第3回学生無年金障害者訴訟全国連絡会開催
 10月5日新宿区障害者福祉センターにて、全国(新潟より阿部正剛氏と小林千代子氏)から30人が出席し開催されました。
 社会保障審議会年金部会の意見書では、無年金障害者について全く触れられていない事、厚労省は障害者プランの中でも、「年金を受給していない障害者の所得保障については〜福祉的措置を含め幅広い観点から対応する」と言う従来からの主張をただ繰り返すのみで、何ら前進していない等の報告があり、これに対し、厚生労働省への要請活動を進めること、無年金障害者問題を考える議員連盟との懇談や国会要請を行っていく等、より運動を強化していく方針を決定しました。
 翌日、厚生労働省との交渉(10時〜12時)を行い、救済・解決策を早急に実現するよう要望書を手渡し、当事者・家族の思いを訴えました。その後、来春に判決が出ると予想される東京地裁に全国から集められた署名を提出、午後2時30分より、議連の事務局長の黒岩宇洋参議院議員と懇談し、政治からの早期解決を要望し、署名を手渡してきました。
 私たちの声を受け黒岩議員は、11月27日議員連盟幹事会を開催し、新幹事を含む12名による新役員体制のもとで機動的な議連運営を行っていく・議連への議員の加入拡大・議連役員により坂口大臣に要望書を提出・黒岩事務局長が進めている法案策定作業をさらに進め、来年の通常国会には、法案たたき台として提出することを決定しました。

来年は各地で判決が下されます
 現在、全国で9ヵ所(原告38名)の地方裁判所で裁判が行われています。
 一番進行の早い東京地裁で行われている裁判の結審が平成16年1月28日と決まりました。判決は3月〜5月頃と思われます。新潟の判決もその直後と予想され、以下各地で続々と判決が下されることになり、大変重要な年になりそうです。皆様のご支援・裁判傍聴が判決を左右する大きな「力」と成りますので、よろしくお願い申し上げます。

裁判ニュース15号

阿部正剛さん父子の証人立証が行われました。

裁判官も「任意加入していなかった」
 8月25日(月)午後1時25分より第15回口頭弁論が行われました。(被告の役人が東京よりの新幹線に乗り遅れたため25分開廷が遅れました。役人の不誠実さが伺われます)。
 今回は原告の阿部正剛さん父子の証人立証が行われ、阿部正剛さんが原告代理人の大澤弁護士よりの尋問に答える形で、障害を負うことになった事故当時の状況から現在に至るまでの生活の様子や心の葛藤、障害基礎年金について思うこと、被告・裁判所に望むことなどOHPを使いながら裁判官に訴えました。また被告側より、広報を見たことはないのか、国よりなにか現物支給は受けていないのか等尋問がありました。
 その後、父の武さんへの原告代理人の渡邊弁護士、被告双方の尋問が行われ4時頃閉廷致しました。
 特筆すべきは、被告の尋問に答える中で阿部武さんが「被告席の方々や裁判官は学生時代に任意加入していましたか?」と聞いたところ被告の役人は「・・・」でしたが、裁判官は一言「私は加入してませんでした」と発言、もしかしたら裁判官も学生無年金障害者になっていたかもしれなかったのです。改めて任意加入制の制度矛盾と国の怠慢を示す一幕でした。
 次回は11月20日(木)午後1時10分より新潟大学法学部加藤智章教授の証人立証がおこなわれる予定です。皆様の傍聴を心よりお願い申し上げます。

第15回口頭弁論報告
日時 平成15年8月25日(月)
時間 午後1時25分より
裁判長 犬飼裁判官
原告 遁所直樹 阿部正剛
弁護団 和田 今井 大澤  近藤 辻澤 松永 渡邊 各先生(本日出席)
被告 国9人出席
傍聴者 約50名

原告代理人大澤弁護士による阿部正剛さんへの尋問です。
Q障害を負う原因となった事故は?
A昭和63年1月5日、高校時代の同級生2人と私で、東京都港区六本木のディスコ「トゥーリア」で踊っていたところ、天井につり下げられた巨大照明装置(約1.3トン)が落下する事故に巻き込まれました。
Qあなたは、この事故でどのような障害を負いましたか
A第8/9番胸椎粉砕骨折による脊髄損傷対麻痺、両下肢不全の障碍を負いました
Q障碍のない人と比べ、体調面でのハンデはありますか
A私の体は脊髄が胸で完全に遮断されて胸から下は自律神経が機能しない為に、暑くても胸から下は汗が出ないので体温が上昇し、めまい感、疲労感、虚脱感、頭痛、吐き気、嘔吐などのいくつかの症状が重なり合って起こる時があります。そして寒いときは下肢を動かすことができないので筋肉の熱産生ができず風邪をひいて発熱してよく休みます。また車椅子に乗っているので褥瘡ができてしまうと何日もベッドで寝ていなければなりません。
Q実際に体調を大きく崩したことがあるのですか。
A平成9年には褥瘡の手術を行い約半年間入院しました。今年3月にはまた褥瘡ができ自宅で2週間寝ていました。症状が固定するのに2ヶ月以上要しました。
Q寝ているときに気をつけなければならないことは?
A寝ていても自然に寝返りが出来ないので、2〜3時間置きに目を覚まして体位変換しなければならずゆっくり寝ていることもできません。
Q事故当時年金に加入していなかったのはなぜか。
A私は、家業を継ぐため新潟県には鍼灸師・柔道整復師養成学校は有りませんでしたので東京へ出て医学を学び資格を取る必要があったのです。それには両親が苦しい家計の中から生活費・学費を出してくれ、20歳を過ぎてもまだ勉強を続けなければならなかったのです。
 在学中当時友人たちと国民年金について話題になったことも有りませんし(事故の後、同級生に国民年金について聞いたところ誰一人として加入しておらず、任意加入制についても知っている人もいませんでした)、当時、国民年金に関する知識は「仕事をしながら保険料を支払って、老人になってから年金をもらえる」というくらいしかありませんでした。
Q事故前に学生の任意加入制度について聞いたことがあるか。
Aありません。
Q自分が障害基礎年金がもらえないことについてどのように考えていましたか。
A17・18歳で障碍者になり障碍基礎年金を受け取ってる友人たちは障碍基礎年金を受給することによって、生活の不安を取り除いたり家族の経済負担を軽減できる金銭的・精神的な余裕を持って生活しているのに比べ、21歳で障碍者になった私は、「国の決めたことだから仕方がない」「保険料が払えなかったのだから自分が悪いのかもしれない」という思いと「釈然としないものがある」という思いが複雑に入り交じる悶々とした日々を送っていましたが、重度の障碍を抱える身にとって一日一日を必死に「生きる」だけで精一杯で、行動に移すことは出来ませんでした。
 しかし、遁所さんと会って話をしてみると制度自体に問題がある、さらには同じように苦しんでいる人たちが大勢いることも知って、障碍者になって10年間、自分のことだけで精一杯な毎日でしたが、同じように苦しんでいる人たちのためにも自分にもできることがあるのではないかと決意し行動しました。
Qあなたにとって障碍基礎年金とは?
A障碍基礎年金は、たとえ重度障碍を受けた者でもその人らしい人間らしい生活をおくれるよう支援しようとするものであると考えます。障碍があるからといって、社会から阻害され差別される理由はないのです。
たとえ身体的な障碍があっても一個人としての人格を持ち障碍がない人と人間として何ら変わりがないのです。私が社会で日々を過ごす一人の人間としての生活状態が、障碍のない人の生活状態と同じであることは、私の権利なのです。そのような状況を実現するための障害からくる特別な負担や不利益を補うための所得保障として障碍基礎年金が必要であると考えます。
 障碍とは予期していない状況で、いつどこで誰もが生じる可能性があるため、老齢になってから受給する老齢基礎年金とはまったく性質が違うことは、これまでの私たちの主張からも明らかです。
 いつ誰が遭遇するか予測できない「障碍を持つ」ことが「不幸なこと」にならないような「国民年金制度の確立」を本件訴訟に望んでいます。
Q裁判所に望むことは?
A裁判所には、法律の形式上の解釈や理屈で判断されるのでなく、その裏に潜んでいる道理、正義に基づいて判断して頂き、国民年金法の本来あるべき姿を取り戻して頂きたいと思っております。
Q被告社会保険庁と国に望むことは?
A坂口厚生労働大臣も国民年金法の不備を認め救済の必要性を認識し、試案を発表しています。社会保障審議会においても、すでに無年金問題の対応策が検討されています。被告には、国民年金法成立時の崇高な理念に立ち戻って速やかに過ちを認めることを希望します。(以上抜粋し掲載しました) 

裁判ニュース14号

 遁所直樹さん父子の証人立証が行われました。
 梅雨空らしく、どんより曇って今にも雨が落ちてきそうな天候でしたが、6月26日(木)午後1時〜新潟地裁3階1号法廷にて、遁所直樹さんと彊二さん父子が証言台でOHPを使って生活の実態を生の声で訴えかけました。
 車椅子が動けるように改造した自宅や朝起きてから車椅子に乗り移る為に工業用のリフターを取り付けたこと、文字を書いたり電話に出たり食事が一人でができるようにお父さんがいろいろと工夫して道具を作っていること、洋服も車椅子に乗ったままで着替えられるようにお父さんが仕立て直していること、お風呂へはいることやベットでの寝返りなどでも大変な思いで生活している様子などを映し出し、重度の障害を受けて生活することは毎日が父子にとっての「闘い」の日々であることが裁判官もわかってもらえたと思っております。(被告席の役人は?・・・)
 遁所直樹さんへの尋問が1時間15分位でお父さんへの尋問が50分位で終わり3時15分に終了しました。
 次回は、阿部正剛父子の証言立証が行われます。
 新潟裁判は、既に14回行われ全国で最も多く開かれており、東京に次いで速いペースで進んでおります。いよいよ証人の尋問が行われ裁判のクライマックスにさしかかってきました。
皆様の傍聴ご支援をよろしくお願い申し上げます。

第14回口頭弁論報告
日時 平成15年6月26日(木)
時間 午後1時より
裁判長 犬飼裁判官
原告 遁所直樹 阿部正剛
弁護団 和田 足立 今井  大澤 近藤 辻澤 松永 渡邊 各先生(本日出席)
被告 国8人出席
傍聴者 約45名

原告代理人和田弁護士による遁所直樹さんへの尋問です。
和田弁護士(以下◎)
事故前の生活状況は?
遁所直樹(以下○)私は、新潟市に生まれました。昭和62年4月新潟大学自然科学研究科生命システム科学講座博士課程入学・平成2年9月復帰できず退学。私が20才になったときは、ちょうど大学2年の年で、もちろん収入はなく(家庭教師で月1万円程度の収入)、入学時点で、生活協同組合の学生傷害保険にのみ加入していただけでした。
◎国民年金未加入の事情は?
○20才になったからといって、市役所から年金に関して特別な知らせをいただいたことはなく、市の広報誌で国民年金の任意加入の制度の知らせも見たことがありません。また、父母からもそのような話も聞きませんでした。当時、制度についての話題といえば、県民共済に加入するかどうかの話があった程度で、そのときも母から「稼いでから入ればいいさ」と言われたことを覚えています。就職した上で就職先での年金制度に加入すればよいものとばかり思っていました。
◎事故の起きた状況は?
○昭和62年6月25日私は新潟海岸の五十嵐浜で頸椎を折り、頸髄4番・5番を複雑骨折し、損傷しました。肩から下の動作が不自由となり、自分で車椅子からベッドヘの乗り移り、自分でトイレに入って下の世話をする、着替えということは全くできなくなります。この障がいにより、私は車椅子での生活を余儀なくされ、大学院は通学と勉学継続の困難さから2年半の休学の後、中退せざるを得ませんでした。さらに、頸髄を損傷したため、直腸、膀胱障害も起きました。
◎障害を受けてからの生活の実情は?
○(1)家の新築と父の介護・工夫
 自宅への出入りは、父が自宅を新築し、車いすの出入りが可能で、屋内でもその移動ができるようにしてくれました。これだけで父の退職金のほとんどを使い果たしています。私にとっては、あらゆる生活の場面で介護と工夫が必要で、父とともに今の生活を築きあげてきました。健常な人にとっては、なにげない日常生活、日常動作であっても、私にとっては、一つ一つできるようになるのかを父と二人で意識して取り細んできたものです。
(2)起床と車いすへの移動・着替え
 起床はベッドから車いすへの移動からはじまります。父が私をつり下げられるように補助具のバンドを使い、工業用のリフト(医療用は高額なため)に私をつり下げます。私の体と手足は何もしなければ車いすからずりおちてしまいますから、特製の幅広のマジックテープで胸を押さえ、足も、マジックテープで固定します。前部分の着脱が容易にできるようにボタンではなく、チャック式に加工し直します。この加工は、父が工業用ミシンを購入して、夏服、冬服全てを加工しています。
 私は、行政書士試験、杜会福祉士に合格しました。職業的に自立し、税金を納める生活をしたいと思い、自分の将来を切り開きたいという思いで、これに取り組みました。杜会福祉士の資格をとるための専門学校へ1年間通い続け、途中父が倒れたときもありこのときは、私も飲まず食わずの状態で私も血尿が出てしまいました。平成9年から、国際福祉医療カレッジの非常勤講師となり、平成10年からは、介護老人保健施設にて、支援相談員として、2年間常勤職員として勤務し、その後非常勤職員として現在に至っています。また、同じく平成10年から、「新潟ふれ愛ブラザ・新潟県障害者交流センター」にて、ピア・カウンセラーとしても働いています。平成12年からはNPO法人自立生活センター新潟の相談員・理事としても、就労と活動を行っております。
◎障害基礎年金の必要性?
○今の福祉政策ですと、私のように重度の障がいを持つと地域でなかなか生活できません。その理由は3っあります。1つには無年金者であること、2つには移動の確保が難しいこと、3つには医療行為、身辺介助に人手がいることです。私は、父に助けられ、自助努カで生きてきましたが、年々老いる父と年々障がいのためからくる私の状態の悪化から、どちらかが倒れるのも時間の問題かと恐れています。 障がいを持つこと自体も悲しいことですけれども、それ以上に、障がいを持つことによって杜会で住みにくくなるということがもっと悲しいと思います。障がい者の生活にとって自立とは自助努カに基づく稼得収入のみで成り立つ生活ととらえるのではなく、自助の稼得収入、互助の障害基礎年金、公助による各種福祉給付(補装具や日常生活用具、重度障がい者の医療費補助制度など)をうけて自助、互助、公助の組み合わせによる自己決定に基づく生活が本当の自立と呼べるのではないでしょうか。
◎本裁判に求めることは?
○私自身を今あるようにしてくれたのは、父だと思っています。私が生きていることに喜びや悲しみを感じ、やる気と疲れの狭間のなかで生きることの意味をかみしめさせてくれたのは、ほかならぬ父のおかげです。が、しかし逆に父がいないことは私には耐えられない苦痛と不安をかきたてます。その根元に介護の不安と経済的な不安があることはまちがいありません。父もおそらく同様でしょう。もし、今述べてきた私と父のこれまでの中から、この国の杜会保障に役に立つことがあるならばこの国に反省してもらい、そして今までの私と父の不利益を償い、今後の保障を確保したいと思いますし、さらには、今後私たちと同じような境遇になる若者が絶対に生まれないよう、この国に考えてもらいたいと、願い、この訴訟に踏み切りました。私が、最後まで、私の力の限り訴えることで私のしている意味があると思っています。(以上抜粋して掲載しました)

裁判ニュース13号

次回より証人の立証が始まります。
 次回(6月26日(木)午後1時〜4時)から、裁判のクライマックスとも言うべき、証人立証が始まります。 証人の立証とは、裁判所が原告・被告の申請で(この裁判では原告のみ申請)裁判の場で直接話を聞くもので原告弁護士と被告側の証人に対する一問一答形式になる予定です。(テレビでお馴染みの裁判シーン?。)
 6月26日(木)は、原告である遁所直樹氏と父親の彊二氏が、8月25日(月)は、同じく原告の阿部正剛氏と父親の武氏が出廷し、障害を負ったときの状況、事故に遭う前と後の生活の様子、障害を負って生活する家族と本人の限界等を証言する予定です。
 9月以降は、新潟大学法学部加藤智章教授や大阪裁判原告で学生無年金障害者裁判の先駆けとなった原静子氏、障害者運動を通して早くから国に解決を求めて交渉を続けていた金政玉(きむじょんおく)氏を証人申請しています。(原・金両氏は未確定)
 裁判の場で、裁判官・被告(聞く耳があったら)そして多くの支援してくださっている方々に話を聞いて頂きたいと思っております。
 皆様の傍聴をお待ちしております。

第13回口頭弁論報告
日時 平成15年5月15日(木)
時間 午後4時40分より
裁判長 犬飼裁判官
原告 遁所直樹 阿部正剛
弁護団 和田 足立 今井  大澤 近藤 辻澤 松永 各先生(本日出席)
被告 国8人出席
傍聴者 約50名

新潟原告として、以下の方々を証人として申請しました。
金政玉氏DPI(障害者インターナショナル)日本会議事務局長
原静子氏 大阪裁判原告
加藤智章氏 新潟大学法学部教授
遁所直樹と彊二(父)
阿部正剛と武(父)

これに対し被告は
金政玉さんについては、本裁判とDPIの活動は関係ないから、報告書等を提出すれば足りるので必要ない。
原静子さんについても、大阪裁判で主張立証を尽くすべきで必要ない。
加藤教授についても、著書か意見書での方が合理的なので必要ない。
と意見書を提出しました。

双方の主張に対し裁判官は、
遁所と阿部の本人及び父はやってもいいよ。
加藤教授についても、まぁ近くの新潟大学の教授なのだから聞いていいよ。
金さんと原さんについては、あんまりやりたくないんで、どうしてもやりたいと言うんだったらやりたい理由をもっと詳しくかいて出しなさい。と言う感じです。

原告としては、金、原両氏についてはある程度予想していた裁判官の判断でしたので、もう少し協議を重ね結論を出したいと思っています。

「無年金障害者を考える議員連盟」(会長八代英太、顧問津島雄二、事務局長黒岩宇洋)第1回幹事会
 今後の活動方針・活動計画が決定(平成15年2月13日)
1基本方針
 年金制度枠内での解決を基本とする。
2救済対象
 無年金障害者のケースの内、未加入者・滞納者を除く
@適用除外の在日外国人
A適用除外の在外邦人
B任意未加入の学生
C任意未加入の主婦
 ※「未加入者」「滞納者」は上記@〜C類型救済後、福祉的措置で解決を図る。
3具体策
 平成16年の年金改正に向けて骨格を作る。「無年金障害者救済」項目を入れる。
4活動計画
(1)第2回議連総会を開催し@関係者・関係団体よりヒアリングA厚労省担当局長より調査報告と来年度の年金体制についてのヒアリング
(2)厚労省に対し迅速なアクションを心がける。
(3)厚生労働委員会所属の議連会員は、委員会で無年金障害者問題を一斉に取り上げる。
(4)今夏発表の厚労省による調査結果を踏まえ、坂口大臣と面会し意見書を提出する。

「無年金障害者問題に関する懇談会」で意見交換
 3月5日(水)2時間にわたって黒岩宇洋議員の司会で、津島雄二、金田誠一、中川智子、井上美代各議員及び秘書7名と関係者8名で意見交換を行いました。
 黒岩議員より「年金制度の枠内での解決を基本とする」津島議員より「政府案で無年金問題を謳う方向で努力する」との挨拶があり、参加者からは「救済対象を四類型と二類型に分けているのはなぜか」「滞納といっても会社が厚生年金を払っておらず、そのことを知らず無年金になった人もいる」等、活発な意見交換が行われました。

第1回勉強会でヒアリング
 3月28日(金)参議院会館で1時間にわたって、会長八代英太議員はじめ約20名の議員の出席の下、黒岩議員の司会で厚労省の調査(栃本調査)についてのヒアリングが行われました。
 栃本調査とは、昨年8月の坂口大臣試案を受け、上智大学栃本助教授が調査されたもので、1月に」1366名に調査票送付、507名より回答が有ったこと等報告がありました。
 「学生無年金障害者訴訟全国連絡会」会長吉本哲夫氏から「解決の道筋が見えてこないことで我々は不安を持っている」「年金制度の枠内での救済をお願いしたい」「無年金障害者の会」代表原静子氏は「一時的に保険料を払えなかった無年金の方の例や若者の就職が難しく現行制度の下では無年金障害者予備軍が多数存在する。無年金障害者を生み出さない制度にしてほしい」等、意見が出されました。
 これに対して厚労省年金局長は、「まず、福祉的措置での検討を進めたい」。障害保健福祉部長は、「民間の調査も参考にしたい」と回答するに留まりました


裁判ニュース12号
第12回口頭弁論報告
日時 平成15年4月10日(木)
時間 午前11時より
裁判長 犬飼裁判官
原告 遁所直樹 阿部正剛
弁護団 和田 足立 今井 大澤 辻澤 松永 渡辺各先生(本日出席)
被告   国9人出席
傍聴者 約25名

第11回準備書面より
 原告らに対する人権侵害について。
被告 国民年金に未加入で障害者になっても障害年金を支給しないことは正しいことだ。社会保険方式を取る年金制度で、未加入の人に障害年金を支給すると、他の保険料を支払っている人と不公平である。また、加入者の保険料の納付意欲を損ない、年金制度の存立基盤を危うくする。
原告 すでに20歳以上で所得が低く保険料を負担することが困難な人には、保険料免除制度が存在している。学生のみに免除制度が存在していなかったことの方が不公平である。それに保険料免除者は、老齢年金に関しては満額の年金を受給出来ないのであるし、もともと障害基礎年金は拠出期間と金額の対応は無いので有るから、いずれにしても均衡を失することはない。
被告 「国民皆年金」の理念は政策目標にすぎず、具体的内容をどうするかは立法府(国会)の裁量に委ねられているので有るから、その立法府が国民年金の加入者のみに年金を支給する制度を制定したのだから、原告の主張する国民年金に入っていなかった人に対する「障害基礎年金を受給する権利」なるものは認められないのだ。
原告 憲法25条(すべて国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する)に基づく立法措置は立法府の広い裁量に委ねられるとしても、憲法14条(すべて国民は法の下に平等であって・・・政治的、経済的又は社会関係において、差別されない。)は不合理な差別を禁じているのであるから、立法府の明らかな「平等権」の侵害である。
 そして、「国民皆年金」の理念は、単なる「理念」や「政策目標」等ではなく憲法25条2項(国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない)に規定する国の義務を現実化したのもであるから、一部の者を合理的な理由もなく年金制度から排除することは明らかな立法裁量の乱用・逸脱であり、「社会保障を平等に受ける権利」を侵害している。
 さらに障害者の生活が障害年金に頼っている現状では、年金制度からの不合理な排除は「生存権」を侵害していると言うべきだ。
 国民年金法における学生の強制適用除外規定こそが、原告を国民年金制度から排斥して「社会保障を平等に受ける権利及び「生存権」を侵害しているのだから、法に未加入者に年金の支給規定が無いとすれば、原告に認められるべき「障害基礎年金を受給する権利」を暫定することは可能であるので、裁判所に救済を求めているのである。
(内容はなるべくわかりやすいように変更しています)

裁判日記〜遁所直樹〜
2003年4月9日新潟地方裁判所において第11回口頭弁論が開かれました。事前の広報は、たまには新潟市でなく三条市でやろうということで、ビラ配りを三条のサティ前で行いました。阿部さんのお友達やこの運動の支援をしてくださる方で三条にお住まいの方たちが駆けつけてくれ、また新潟からも参加があり、ビラ配りの人数は新潟市で配る人数に匹敵する数が集まりました。たいへんありがとうございました。
 なお、天候の関係と新潟に比べ車による移動が主体のため、人出がイマイチでしたが、ビラを受け取ってくださるときは両手で受け取ってくださる方が多く大変感激しました。数が多くても目の前にでビラを破り捨てていく人たちが見受けられる新潟市でのビラ配りよりもちょっとホッとした街頭活動となりました。
 今回の準備書面を発言してくださった弁護士さんは今井慶貴弁護士です。なかなか難解な準備書面を分かりやすく説明していただきました。それでもまだまだ難しいとの声がありました。といっても、今までの準備書面の中では何とか内容を追っかけて行けた口頭弁論でした。
 国家賠償法の違法性の判断基準について国からは反論が出ていたことについてもう一度ハンセン氏病の熊本地裁の判決などを今回の無年金裁判に取り入れることを試みた内容となっています。立法行為の国家賠償法上の違憲性の評価について原則論だけでなく例外的場合に当たることの主張を容易に排斥してはならない根拠を示しています。
 今回は具体的にその例外的場合の要件を論じてくださいました。
 その一つとして国会議員の立法行為であっても容易に想定しがたいような例外的な場合ということについて、今回の原告の主張も容易に想定しがたいような例外的な場合であり、十分国家賠償責任を国に問うことができるということです。
 その内容については今井先生の準備書面を検討してもらうことにして今までの裁判の流れからどうしてもふに落ちないことがありました。それは、ノーマライゼーションの理念や障害者の権利などについての準備書面についての反論がないことです。被告はそこの部分についてはまったく無視してしまっています。なぜなのか弁護団会議のときに先生方に質問してみました。すると、被告は(国あるいは厚生労働省、社会保険庁)認識として障害者が税金を納めて社会参加をするという理念や新しい考え方に疎いということでした。この論点について被告が反論をしてしまうと、遁所や阿部さんは生活保護法に従った救済があるではないかという主張になります。ということはとりもなおさず税金を納めなくていいから保護の対象に甘んじろということになり、社会参加を国が阻む結果となってとても反論することにはならないのだそうです。
 この論点に触れることはパンドラの箱を開けてしまうことになるのだそうです。被告にはぜひこのノーマライゼーションについて反論してほしいです。箱を開けてしまった後は最後に希望が残っているのだから…。
 このように最初からある部分については徹底的に無視されてしまっては話になりません。裁判というのはなかなか大変なものです。7月から始まる証人尋問についても青陵大学の佐藤進先生を学者の立場からとして東京地裁で呼ぶ準備を進めていましたが、糸魚川出身のこの先生のところに1回訪ねてみたいとも思ってしまいます。
 5月11日いつものように万代(スターバック)の前でビラを配ります。時間は10時半からです。30分から1時間活動をしたいと思います。ぜひビラ配りのお手伝いをしていただくと嬉しいです。次回の裁判は5月15日(木曜日)午後4時半から新潟地方裁判所第一法廷にて行います。
ビラ配りに来てくださる方、あるいは傍聴に来てくださる方、多くの参加をよろしくお願いします。特に傍聴席がいっぱいになれば裁判官も一生懸命話を聞いてくれます。また、被告も東京から10人くらい税金を使ってやってくるのですが、その重圧感に耐えることができます。それでは5月11日あるいは5月15日にお会いしましょう!

チラシ配布協力のお願い
 裁判の支援と傍聴を呼びかけるチラシの街頭配布を万代シティでやります。
日時 5月11日(日)
午前 10時30分
〜11時30分位まで
場所 万代シティ
(スターバックス前付近)
 皆様のご協力をお待ちしています。  


裁判ニュース11号
第11回口頭弁論報告
日時 平成15年3月10日(月)
時間 午後4時30分より
裁判長 犬飼裁判官
原告 遁所直樹 阿部正剛
弁護団 今井 大澤 辻澤 松永 渡辺各先生(本日出席)
被告 国9人出席
傍聴者 約50名

@被告(国)、学生は卒業すれば会社に勤め、サラリーマンが加入する厚生制度等から年金を受けられるのだから、もうすでに「年金制度による保障が及ぶ者」なのだ。それに、老齢年金をたくさんもらいたい人は任意加入して、老齢年金を充実させることができたんだから、制度に問題はなかった。
A原告、学生は卒業すれば将来「年金が受け取れる可能性がある」と言うのであって「現在、保障が及ぶ者」に分類していることはおかしい。さらに、任意加入は老齢年金給付の充実のために設けられたものであることを言っているだけで、障害のための保障にはなっていないことを示している。本件においては障害に対して保障を及ぼすべきことが問題となっているのである。被告の主張はこの間題点に対してまったく答えてない。
 学生の期間中任意加入できない者は、他の年金による保護を全く受けられないのであるから、学生にとっては年金の充実を望むか否かの選択の問題ではない。老齢年金の充実と同一に扱うのは誤りである。
 学生を「年金制度の保障が及ぶ者」の分類に入れて強制適用から除外したために今日の学生無年金障害者という事態が生じたものである。
B被告、任意加入制度について、十分に周知広報していたよ。
C原告、新潟市国民年金課長の答弁からも、新潟市において任意加入制度の周知が全く不十分であったことは明らかである。
2002年6月25日新潟市議会市民厚生常任委員会で、
青木学委員 この学生の年金については、`91年までは任意加入というふうなことだったんですけれども、具体的にこうした学生に対しては、どのように周知をされていらっしゃったんでしょうか。
倉島敏弘国民年金課長 この制度が91年にできたわけですが、それ以前は約3ヵ月前に市の広報を通じて、あるいは国の機関からいろいろのお話がございまして、それで情報としては流してございます。
青木学委員 ということは、一般的な形で、例えば20歳以上の学生の方に直接通知を出すとかですね、そういう個々に対する対応という形じゃなかったわけですか。
倉島敏弘国民年金課長 恐らくやっておらないと思います。
青木学委員 先ほど陳述者の方の説明の中で、当時ですね任意加入をしていなかった人が99%というふうなことですけれども、それは皆さんが把握している数値と大体一緒でしょうか。
倉島敏弘国民年金課長 それは国の方で、社会保険庁の方で出した数字だと思います。
青木学委員 任意加入ということなわけですけれども、99%の人が加入していなかったということについては、どういうふうな受けとめ方をしていらっしゃいますか。
倉島敏弘国民年金課長 私としては答えにくい面がございますけども、やはりそれだけ周知していなかったのかなというのが実感です。
さらに、周知広報がをしていたとして被告が提出した資料からもは底周知義務を果たしていたとは言えない物ばかりである。
 三条市広報誌「三条市政だより」では、学生は、任意加入ですとの記載と、国民年金に加入している方が、病気やけがで障害者になった時、20歳前の病気やけがで障害者になった場合、障害基礎年金が支給されますとの記載しかない。
 また、広報の方法についても、「市報にいがた」は新聞折り込みにより、「三条市政だより」は自治会を通じて、各世帯に配布等されたが、任意加入や障害年金について掲載されたのは、1年に1回か2回程度にすぎない。


★ 中国新聞のコラム(天風録)
無年金障害者と希望(2/15)
在学中に事故で知的障害を負い、制度の谷間に置かれて無年金の息子(36)の将来は私どもが他界した後、どうなるのでしょうか―と広島市で暮らす鳥羽智子さん(69)。進行中の学生無年金障害者訴訟の経緯などを収録した「年金がない!」(クリエイツかもがわ)に「家族の苦悩と希望」を寄稿している▲希望の種がまかれたのは一九八九年。兵庫県尼崎市の三人が「無年金障害者の会」を結成した。十二年を経て一昨年、障害基礎年金の支給を求める裁判は広島、岡山など九地裁で計二十九人に広がった▲外国籍の人を含め十二万人を超すともいわれる無年金障害者問題。一斉提訴は重い一石を投じた。昨年八月、坂口力厚労相が解決へ向けての「試案」を発表、国が動く気配をみせた。さらに十二月には超党派の「無年金障害者問題を考える議員連盟」も発足した▲少しずつだが、時という流れが味方してきている。半面、時は過去を消し去っていく。四十年以上前、国民年金制度の創設当時の生き証人や資料が少なくなっている。障害者の加齢、親の高齢化も進む▲先日、広島市であった公開の全国弁護団連絡会議。「関係する人たちが元気なうちに裁判結果を得られるように努めなければ」。心に響く発言だった▲国相手の訴訟。最高裁までもつれ込む可能性もある。「私どもの生存中に解決するかどうか」と鳥羽さん。待つのはつらいものだが、希望はそれに耐えていく支えになる。

チラシ配布協力のお願い
 裁判の支援と傍聴を呼びかけるチラシの街頭配布をまたまたやります。
日時  月  日( )
午前10時30分〜11時30分
場所 万代シティ、ダイエー新交バスターミナル間
 皆様のご協力をお待ちしています。  

裁判ニュース10号

 吹雪で道路も所々凍結し最悪の天候でしたが、1月30日第10回口頭弁論が開かれました。
 あいにくの天候で傍聴席は空席が目立ちましたが、傍聴に来て頂いた方々には大変ありがとうございました。
 今回は、原告代理人今井慶貴弁護士より、国の主張に対する反論を致しました。国民年金法の昭和60年改正時にサラリーマンの妻などを任意加入制より強制適用としたのに、学生をそうしなかったことに対する国の主張に対し反論致しました。
 10回の裁判を通して、昭和34年の国民年金法制定時より平成12年の改正に至るまで、国の20歳以上の学生の不当な扱いについて反論してきました。
 これからは2つ目の大きな山として、年金の専門家や障害者など方面の方々に学生無年金障害者の発生について国の責任や、法律解釈の不当性などを証言して頂く予定です。これからも裁判傍聴をお願いします。

第10回口頭弁論報告
日時 平成15年1月30日(木)
時間 午後3時30分より
裁判長 犬飼裁判官
原告 遁所直樹 阿部正剛
弁護団 和田 今井 近藤  辻澤 渡辺各先生
(本日出席)
被告 国8人出席
傍聴者 約20名

原告 今井慶貴弁護士より第10回準備書面の陳述要旨。(平易な言葉に変更しています)
被告主張に対する反論
1 被告側は、年金制度は昭和60年改正までは、サラリーマンなどが加入する「各種公的年金制度」体系と自営業者などの「国民年金制度」体系とに分かれ、全ての国民は原則としていずれかの年金制度体系に属した(国民皆年金)ところ、学生については、将来、仕事に就いて家族を養い所得保障の必要が生じる時期には、(サラリーマンが入る)被用者年金制度に属して年金を受けると考えられるから、「被用者年金制度による保障が及ぶ者」(サラリーマンの入る厚生年金などより年金がもらえる者)に分類されるが、学生の時期に障害を負うことに対する保障や被用者年金に加入する予定がない場合(自営業者やフリーター)には、国民年金制度に任意に加入することによって保障を充実させることができたのであるから、学生を強制適用の除外(任意加入制)にしてもいいのだ。
 また、学生は強制適用の対象となったが、それは国民年金と各種被用者年金とが一本化された(二階建年金制度)ことにより制度体系が変わったことが理由であり、別に任意加入制に問題があったから強制適用とした訳じゃない。
2 被告は右記の様に主張するが、昭和60年改正以前の学生は、いかなる意味でも被告の言うような「被用者年金制度の保障が及ぶ者」でなかった。
 第1に、現実的に、学生に対して、被用者年金の保障が及ぶという事実は全くなかった。この点、被告は「被用者」と「被用者になるべき学生」とをわざと混同している。被用者(サラリーマン)になる予定の学生であっても、現実にサラリーマンになるまでの期間は被保険者期間に算入されないばかりか、障害に対する保障も全くなされない。その点で、サラリーマンの配偶者は離婚しない限り、一定の保障が及ぶのとは異なる。被告のいう「保障が及ぶ」とはいかなる意味であるか全く不明であるが、保障が及んでいないからこそ、本訴のような学生障害者の無年金問題が発生したことは歴然としている。
 第2に、学生が被用者年金体系に分類されるべき根拠はない。学生は、「被用者ではなく、現に無職・無収入である者」すなわち、本来的には、国民年金の強制適用の対象者であるべきだ。学生が学校卒業後にサラリーマンになるか自営業者になるかは、20歳になった時点で決まっているものではなく、一方的に被用者(サラリーマン)年金グループに入れられたり、保険料免除制度のある国民年金グループ(自営業者)から排除される理由は全くない。例えば、同じ学生であっても、20歳までは国民年金グループとして障害基礎年金(又は障害福祉年金)を受けられる一方で、20歳になると被用者年金グループに属することになるのは、いかにも不合理である。
3 以上によれば、被告主張の前提となる制度体系についての理解が、現実的、理論的、歴史的な事実に照らして誤っており、何らの根拠がないことは明らかである。
以上

被告「国」準備書面(抜粋平易な言葉に変更)
1 国家賠償請求には理由がない。
 国会議員は、立法に関しては、国民全体に対して政治的責任を負うのであって、個別の国民に対して法的義務を負うものではないのであつて、国会議員の立法行為は、立法の内容が憲法の文言に違反しているにもかかわらず国会があえて立法を行うというごとき、容易に想定し難いような例外的な場合でない限り、国家賠償法上違法とは言われない。」
2 未加入の無年金障害者に対する措置が適法であること
「国民皆年金」の理念は、政策目標であって、どのようなものとするかは、立法府の裁量で決まり、保険料を支払った者に年金給付を行う制度として、国民年金法を制定し、国民皆年金の理念を具体化したものであり、これが合理性を有することは、これまで主張してきたとおりである。
 そして、制度に未加入の者に対する、原告らの主張するような「障害年金を受給する権利」なるものは、国民年金法の定めるところではない。
憲法25条の趣旨を理解しないものというべきである。

「無年金障害者問題を考える議員連盟」活動報告
(黒岩宇洋議員のHPより) 2月13日 八代会長前向きの理由
 本日は「無年金障害者問題を考える議員連盟」正式発足後の第一回目の幹事会。今後の議連活動の方針を決める上で重要な会議となりました。
 八代会長からこの問題の解決方法は年金制度の枠内でということが提案されました。我々幹事も賛同。年金制度の不備から生じた問題ですからその制度改革で対応することは当然です。無年金障害者の皆さんの望むところも、手当てなど何でも良いからお金をもらおうという筋ではないはずです。
 その他活動方針、活動計画がかなり整理されました。ここでの詳述は避け、無年金障害者の皆さんたちには別途報告を致します。
 今幹事会で八代会長から面白いお話を伺いました。八代さんは現在自民党衆議員ですが、20年程前は参議員で福祉党の総裁。当時参院は八代さんを除いて与野党同数。八代さんの1票が法案の賛否を決める大変貴重なものだったそうです。恐ろしいほどのキャスティングボード。これを利用して自民党と政策協定を結び、八代さんの6つの条件を自民党が飲む形で八代さんは自民党入りしました。
 その時の6つの政策の中の一つに障害基礎年金のことが盛り込まれていたとの事。八代会長が無年金障害者問題解決にも前向きなわけです。
 3月20日頃に第2会議連総会を開き障害者の皆さんの真の要望を我々と厚労省に投げかけてもらうことを決め散会。

チラシ配布協力のお願い
 恒例になっている(?)、裁判の支援と傍聴を呼びかけるチラシの街頭配布をまたまたやります。
日時 3月9日(日)
午前10時30分〜11時30分
場所 万代シティ、ダイエー新交バスターミナル間

裁判ニュース9号


「無年金障害者問題を考える議員連盟」が発足。
事務局長に黒岩宇洋議員

 12月4日(水)午後1時より衆議院第2議員会館で「無年金障害者問題を考える議員連盟」の設立総会が開かれました。
 8月2日坂口厚労大臣の「試案」が発表され、黒岩宇洋・中川智子・井上美代議員らの強い呼びかけにより、無年金障害者問題を超党派で「国政において早急に問題解決に取り組む必要がある」との思いより衆参83名の議員が加盟しました。
◎会長 八代英太(衆・自民)◎顧問 津島雄二(衆・自民)
◎幹事 園田博之(衆・自民)南野智惠子(参・自民)金田誠一(衆・民主)山井和則(衆・民主)沢たまき(参・公明)武山百合子(衆・自由)井上美代(参・共産)中川智子(衆・社民)松波健四郎(衆・保守)松岡満寿男(参・無所属の会)
◎事務局長 黒岩宇洋(参・無所属)

 国会開催中であり、1時間足らずの短い総会でしたが、全国の無年金障害者当事者、支援者と国会議員、秘書など80名を超える参加(新潟から遁所父・阿部・大澤弁護士)があり熱気に包まれる会議の中、津島(元厚生大臣)顧問「私が厚生大臣の時は力になれず済みません。今度は議連の方々と共にがんばりたい、制度の中で解決できるのではないか」。八代(元郵政大臣)会長「自分も一時期無年金障害者だった。みんなで力を合わせ取り組んでいく」。、無年金障害者の会の原さんは「長い間運動をしてきたが、この様な議員連盟が設立されて本当にうれしい。無年金障害者問題が真に解決するようがんばっていきたい」。と発言。弁護団代表として大澤弁護士より裁判の状況の説明がありました。
 しかし出席していた厚労省の吉武民樹年金局長は「まず、無年金障害者の正確な人数は把握していないので、来年中に実態を調査したい。年金制度として救済は出来ない立場は変わらない。しかし、なんらかの解決策はないか大臣の思いを実現したい」と今までの発言をくり返すに留まりました。参加者より「それでは10月7日の交渉より後退しているではないか?」と迫られると、「私の担当ではなかったので・・・」と曖昧に言葉を濁して逃げられました。
 総会了後、黒岩宇洋事務局長と懇談会持ち、当事者「自分亡き後が心配です。一刻も早い救済を」と訴えがあり、黒岩さんは、「障害者の自立と社会参加推進のための所得保障体制の確立が大切です。」と述べられました。
 今後、議連の活動をバックアップしていくために、これからも裁判傍聴や支援をより一層広めていく活動が「無年金問題の解決」に大変重要なことになっていきます。
 議連の方々の中にも、手当制度で解決しようと考えている方や、どこまでの無年金障害者を年金支給の対象としているのか、意見の統一が成されていませんので、議連が出来たことは大きな前進の一歩ですが、これからまだまだ紆余曲折が待ちかまえています。 皆様のご支援をよろしくお願いします。
議連設立総会

(左より黒岩、大渕絹子議員)
議連設立総会
第9回口頭弁論報告
日時 平成14年12月16日(月)
時間 午後4時40分より
裁判長 犬飼裁判官
原告 遁所直樹 阿部正剛
弁護団 和田 足立 今井 大澤 辻澤 松永 渡辺
各先生(本日出席)
被告 国8人出席
傍聴者 約50名

原告 今井慶貴弁護士より第8回準備書面の要旨陳述。
 原告らの障害発生後の平成元年及び平成12年の国民年金法改正について検証し、、被告国に対する国家賠償請求が認められるべきことを論ずる。
 第1平成元年改正について
(1)改正の内容
 平成元年改正により、20歳以上の学生は、強制加入の対象となった。
 水田努政府委員(厚生省年金局長)も第116回国会衆議院社会労働委員で、「本来的には、今回の制度の適用というのは、学生期間中に発生する障害の無年金を防止するということが大きなねらいでございます」としている。
(2)学生を強制適用より除外した事の違憲性の裏付け
 平成元年改正は、学生に障害年金を保障するために行われたのであるが、このことは、任意加入の途によっては学生に障害年金が保障されなかったことを意味する。そうでなければ、本改正がなされたはずはないからである。
(3)任意加入の途を開いたからといって、国民皆年金の理念を実現したことにはならない。
 任意加入が制度としての実態を持たなかったことは、平成元年改正時に示されたデータによっても裏付けられる。 任意加入をしている学生の数は、昭和62年度末で、約2万人と推計されるのに対し、強制加入の対象となる学生の数は、平成2年度平均で約160
万人と推計されている。その任意加入率は、1.25%に過ぎなかったとされている。国民年金全体の集団としての障害発生率は1000人に1.1人とされており、20歳以上の学生約160万人では、1760人の学生障害者が発生することになる。このうち任意加入している学生は1.25%というのであれば、上記1760人の学生のうち22人には年金が保障されるが、1738人は学生無年金障害者となってしまうのである。
(4)橋本司郎公述人「・・・むしろ今まで任意加入にしておいて、その結果いろいろな不利益が発生する可能性があったということの方が問題なのであって、もし任意加入の方が自由に選択できるからより有利であるということであるならば、ほかの加入者についても全部任意加入にすべきだという議論になると思います・・・。」と指摘している。
 第2平成12年改正について
(1)改正の内容
 国民年金保険料の学生納付特例制度が創設され、学生は、学生納付特例の承認を受けると、学生中に障害・死亡といった不慮の事態が生じた場合、保険料を納付していなくても、満額の障害基礎年金または遺族基礎年金を受給できることになった。
(2)改正の趣旨
 平成元年改正後、親は、所得がない学生に代わり、その学費と国民年金保険料の双方を負担しなければならなくなり、親の負担が加重された。また親からは、なぜ子供の年金のために親自身が保険料を支払わなければならないのかいう不満も噴出した。そこで、親の負担を軽減し、かつ稼得能力のない学生に保険料納付という負担を負わせないことを目的として、親の所得ではなく学生本人の所得を基準に学生の保険料納付を猶予するという、学生納付特例制度が創設されたのである。
(3)学生を強制適用除外した事の違憲性の一層の裏付け
 国会は、国民年金法制定当時においても、平成12年改正時と同じく、立法目的達成の手段として、学生を強制加入の対象としつつ学生納付特例制度を設けることが可能であったにもかかわらず、このような選択肢について何ら検討せず、単純に学生を適用除外としたものであり、平成12年改正が行われたことにより、学生の強制適用除外規定の著しい不合理性が一層明らかとなったものである。
(以下略、1部わかりやすい言葉に変更・HPにて全文公表)


裁判ニュース8号

第8回口頭弁論報告
日時 平成14年11月7日(木)
時間 午後3時より
裁判長 犬飼裁判官
原告 遁所直樹 阿部正剛
弁護団 和田 足立 大澤  辻澤 各先生(本日出席)
被告 国8人出席
傍聴者 約40名

原告 阿部正剛より意見陳述(抜粋)
 私の知り合いで18歳で脊髄を損傷し重度障がい者なった人がいます。その人は障害基礎年金1級で約100万円/年を受け取っています。もし60歳まで(40年間)生きたとして約4000万円受け取れます。
 21歳でけがをした私が直接金銭の支給を受けているのは、年末に「赤い羽根共同募金」3000円、三条市長から5000円の合計8000円/年だけです。60歳(40年間)までもらえたとしても32万円です。
 そして、障害基礎年金を受け取れないため、福祉定期預金(預入期間:1年 預入限度額:300万円 利率:4.15%(固定金利))も利用できないし、地域振興券(平成11年交付1人2万円)も受け取れませんでした。
 また老齢年金の保険料も免除されません。
 被告はいたずらに裁判を長引かせ私たちを二重にも三重にも苦しめ続けている。私たちが1回の裁判を開く度に雨の日も雪の日も街へ出て市民の皆さんに支援を求める活動も行っており、気力も体力も使い果たし大変な思いをして裁判を続けているのです。
 しかし、先に発表された坂口厚生労働大臣の「私案」でも制度の不備を認め救済の必要性を認識しています。速やかに過ちを認め1日も早い解決を希望する。

大澤弁護士の意見陳述。(抜粋)
遅くとも昭和60年の国民年金法改正において学生無年金の問題を解消する立法措置がなされるべきであった。
(1)国会審議において、要旨以下のような質疑が行われている。
@昭和59年12月6日衆議院社会労働委員会
(森本委員)20歳以上の学生が障害を負った場合に、任意加入のため何らの年金的な保障がない。
(吉原政府委員)今後検討する。
(森本委員)学生だから任意加入なので、入らなくともいいんですよと役所の窓口で言われて、任意加入しなかった人たちの中からけが人がでたりして大変悩んでいる。学生も被保険者として扱っていくことができるのではないか。
(吉原政府委員)今後検討する。
A昭和59年12月12日衆議院杜会労働委員会
(多賀谷委員)学生が20歳以上になってけがをした場合に障害年金がないことの問題をどうするか。20歳未満でけがをしても障害年金はもらえる。
(吉原政府委員)今後の宿題にさせていただきたい。
(2)女性独自の年金権の確立との関係では、政府は「もともと社会保険に任意加入という、入ってもいいし入らなくてもいいというような制度を設けること自体が議論があったところで、やはりサラリーマンの妻の年金の扱いにつきましては、現在の任意加入については大変問題がある。 いずれかの制度に強制加入ということがやはり考え方としては本当であろうということになりますと、」(昭和60年3月26日参議院社会労働委員会政府委員吉原健二答弁)
結論
(1)以上のとおり、昭和60年改正時の議論を検討した結果、被告国の主張に合理性のないことが明らかとなった。
 したがって、遅くとも昭和60年の法改正において、強制適用・保険料納付免除の方法等より学生無年金の問題を解決すべきであった。
 それにもかかわらず、内閣、国会とも問題を先送りした。
 本件原告両名は、いずれも昭和60年法改正から学生が強制適用となる平成元年改正までの間に事故に会い障害を負っている。
(2)障害の発生に備え年金権を確立すべきことは、女性も学生も同様である。
また、任意加入制度の不合理性についても同様である。
 したがって、学生もサラリーマンの妻同様強制加入の対象とすベきであった。
被告国の責任は、極めて重大であるといわざるをえない。
以上

 10月7日の交渉とリレートークならびに参議院議員会館での議員連盟準備会の議員さんとの懇談会報告(遁所直樹)
 朝5時半に新潟を出るときは雨が降り、リレートークは中止となるのか心配しましたが、けがをしてから晴れ男になったので、たぶん大丈夫だと強気で行きました。
 当日は全国北海道から福岡まで原告約10名が集まり、支援者も含め、20名近く参加しました。
 10時から小会議室で始まりました。
 行政からは、福祉課・小野係長、年金課からも係長が参加し、課長は出張中だと逃げられてしまいました。あとで黒岩さんから、議員連盟に連絡するようにアドバイスを受けました。
 話の焦点は、9月に行われた坂口厚生労働大臣の試案についてその内容に書かれてある調査をいつまでにするのかということでした。
 今年度中に基礎調査を終わらせて、平成15年度に予算をつけるということから、3年ごしの調査になる可能性があります。話の流れは調査が終われば坂口案が実現するのかと期待をさせるものでしたが、いかんせん、係長クラスでは信用できませんでした。結構調子のいうことを言ってるような気がしました。
 交渉は、原さんを中心とした方たちに任せて、鳥羽さんと坂井さんと菊田さん、山道さん、松岡さんを中心にして、リレートークを11時50分から始めたのです。
 ビラ配りは毎月新潟で配っているので、慣れていましたが、人数の多さにビラを渡すダイニングがうまくいかず、父は必死になってくれていました。
 ちょうど晴れたので、議員会館まで歩いていこうと父が提案し、向かったのが坂上でした。途中、警視庁の方が押してくれて何とか議員会館につくことができました。昼ご飯もそこそこに、議員さんとの面談、黒岩さんをはじめ、社民党の中川さん、共産党の井上さんそして議員連盟準備会に参加された議員さんの秘書の方などが参加されました。
 とにかく時間が少ない懇談会でしたが、議員連盟がこの10月末には立ち上がるという返事をもらいました。短い時間の中多くのスケジュールを済ませて充実感がありました。


岩の扉をヤスリで開けろ
(黒岩たかひろ議員のHPより)

 午後から学生無年金障害者訴訟全国連絡会の方々と我々無年金障害者問題解決議連設立準備会のメンバーとの意見交換会を参議員会館第3会議室で私の呼びかけで行ないました
 障害者自らの訴えも凄まじいものがありますが、親御さんの訴えも悲痛を極めます。とにかく自分たちも年金生活。その中でお子さんの生活の面倒を見、お子さんの国民年金を払う。とても生活は出来ません。生活の大半がお子さんの介護、無年金障害者問題への取り組みに割かれているとのこと。
 そして、それらお子さんの為のご苦労より何より、心労を患わすのが自分たち亡き後のお子さんの将来です。そりゃあそうです。障害基礎年金約8万4千円を貰えないばかりか、逆に国民年金約1万3千円の支払い義務が生じる。特別障害者手当約2万7千円を貰っても生活できるわけありません。
 親御さんが身を削るような思いでお子さんの面倒を見る生活を送ってもその先の将来は真っ暗闇、それが無年金障害者問題の現実です。
 私は言いました。「私も学生無年金でした(平成3年に学生も国民年金強制加入になるまで学生で年金保険料支払い者は全体の僅か1.2%)。ただ皆さんとの違いは障害者であるか無いかです。しかも障害を負った原因は殆どが不可抗力。とすれば、現在の国会議員や官僚の殆どが無年金障害者になる可能性をもっていた訳です。
 厚労省の態度は頑なです。本音は何の対応をする気も無いことが透けて見えます。世論の盛り上がりも国会の関心も悲しい位に低い。問題解決の前には岩の扉が待ち構えています。それも中から開ける気の全く無い扉。我々の小さな議連が行なう作業はヤスリでその岩を削るようなもの。
 新潟から出席の遁所さんが仰いました。「厚労省は我々が死んでいなくなるのを待っているだけだ」そうです。この問題は時間が限られているんです。例えヤスリでも一生懸命削って早急に扉に穴を開けなくてはなりません。
 10月末までの議連の立ち上げを決めました。とにかく立ち止まって入られません。できるだけの事を精一杯やります。
第9回口頭弁論予定
日時 12月16日(月曜日)午後4時40分
場所 新潟地裁 3階1号法廷

裁判ニュース7号

無年金障害者に対する、坂口厚労大臣「試案」を示す。
 以前より学生無年金障害者に対して、何か施策を講じなければならないとの見解を示し、今国会中に「試案」を発表すると公言していた坂口厚生労働大臣が、8月2日に「試案」を示しました。
 坂口大臣「試案」(概要)
 障害者になっても年金給付を受けることのできない「無年金障害者」と呼ばれる人達がいる。無年金障害者の所得保障について、平成6年福祉的措置による対応を含め速やかに検討すること、との付帯決議を採択している。採択された通り、福祉的措置によって解決する以外に方法は残されていない。
 無年金障害者となった者は、次の如く分類される。
1.昭和57年1月の国籍要件撤廃前に障害事故の発生した外国籍の者。推定で0.5万人
2.昭和61年4月の第3号被保険者制度創設前に国民年金に任意加入せず、その期間中に障害事故の発生した被用者の被扶養配偶者。推定で2.0万人
3.平成3年4月の学生に対する強制適用前に国民年金に任意加入せず、その期間中に障害事故の発生した20歳以上の学生。推定で0.4万人
4.国民年金の強制適用の対象となっていながら、未加入或いは保険料を未納していて、障害事故の発生した者。推定で9.1万人
 推定で12万人を超える無年金障害者が存在する。約1割は生活保護を受け、約2割は何らかの仕事を持っていると言われているが、大多数の無年金障害者は家族等の支援によって生活を確保しているものと推測されている。しかし、支援する両親、親族等の高齢化が進み、環境は一層厳しくなっているとの指摘が多い。
 給付の内容
・対象者:無年金障害者のすべてを対象とする。
・要件:生活の全般が保障されている施設入所者は対象外とする。
 給付には本人の所得制限を付けるものとする。また、障害は一級、二級の者とする。
・水準:年金制度との均衡をはかり、旧障害福祉年金の額等を勘案の上、決定するものとする。
・調査:福祉措置を講ずるに当たっては、至急に実態調査を実施するものとする。
 考え方と結論
 現在の成熟した年金制度の下では発生しない無年金障害者が、学生など政策的移行期であったが故に発生した側面も否定できない。
 給付の額については、年金制度にこだわり過ぎては無年金障害者の生活実態を見失うことになる。昭和61年3月まで、全額国庫負担による障害福祉年金が支給されていた。当時の月額水準は1級で39,800円、2級で26,500円であり、現在支給されている老齢福祉年金は、全額支給の場合34,333円である。これらの水準を勘案の上で決定するのが妥当と考える。(※現在、障害基礎年金額1級月額約84,000円、2級67,000円)
 いずれにせよ、無年金障害者の生活実態は推測の域を出ず、速やかに実態調査を実施して、これらの人達への対応を開始しなければならない。

無年金障害者を無くすための懇談会開かれる。
 9月1日(日)全国の17団体34名が出席して(新潟より黒岩秩子さん)東京の日本青年館で活発な議論がなされました。
 懇談会では、「根本的に年金制度の中で解決を図っていくと言う立場を堅持しつつ、今回の試案を第一歩として評価しすべての無年金障害者を対象とする救済策を早急に実現するように運動を進めること」を確認しアピール文を採択しました。
 2日(月)には、厚生労働省で、年金局より2名、障害保険福祉部1名が出席して交渉を行いました。
 私たちの要望に対して「大臣試案を厳粛に受け止め早急に検討していくまず調査から」「大臣が交代しても」変わりはない事を明言しました。
 しかし、調査の時期や方法がはっきりしないこと、調査費として新たに予算請求はしていないなどお粗末な対応に、参加者からの怒りの発言が相次ぎました。
 次回10月7日(月)(遁所さん出席予定)の全国訴訟連絡会の交渉では課長に出席してもらい(今回は係長クラスの役人が出席)調査の具体的な内容について進んだ回答を要望し2時間の交渉は終了しました。

第7回口頭弁論報告
日時 平成14年9月30日(木)
時間 午後3時30分より
裁判長 犬飼裁判官
原告 遁所直樹 阿部正剛
弁護団 和田 遠藤 近藤  辻澤 渡辺 各先生(本日出席)
被告 国8人出席
傍聴者 約50名

原告 遁所直樹氏より意見陳述
 昨年9月、床ずれができて、看護師に入院しなければいけないといわれたが、入院すると仕事を辞めなければならない。収入の道が絶たれて生活が苦しくなるのでしたくないと言ったら「あんた仕事と命どっちが大切なの」と言われ、やむなく入院した。入院しても重度障害のため個室になったので負担が大きかった。
 普段の生活でも、ヘルパーの利用もしているが費用が大きく負担になっている。
和田弁護士の意見陳述。
 国民年金法立法当時、すでに障害者の所得保障の責任を私的な扶養に負わせることは誤りであり、若く収入のない学生らにこそ障害年金必要性を認めていた。そのため、国の手による所得保障を構想していた。
 当初は、学生を任意加入とする意見は見られないにも関わらず、老齢年金を中心に議論がなされ、学生は基本的な国民年金制度からはずれ障害年金の必要性を無視された。
 さらに、学生無年金障害者が大量に発生することを認識していたにもかかわらずこれを「無視」し憲法に反する立法を行った。
 昭和32〜33年の議論が大切である・・・・・等。
辻沢弁護士より意見陳述
 坂口大臣の「試案」を出したことにふれ、内容は不十分ながら、大臣の並々ならぬ決意を表明したものであり年金制度の不備を認め救済の必要性を認識したものである。
 本件訴訟では、被告らに対し、大臣試案をふまえた主張をするよう強く要求する。
 裁判所においては、大臣試案を重く受けとめ、適切なる訴訟指揮と公正なる判断を要請する。

被告国 第6回準備書面
120歳以上を強制適用としたことについて
 年金制度は労働力を減損した時の保障なのだから、これに備えて保険料の支払い義務を負っているので、仕事をして収入のある人に保障をすればいいのであって、一般に20歳になれば仕事をしていると考えられるので20歳以上とした。
2強制適用の対象外の者に対しては、(20歳以上の学生)
 自ら、年金を充実させたいと思う人は、保険料を払って任意加入すればいい。
3よって、原告ら学生無年金障害者について、国民年金制度は、現に仕事をして収入のある者に対して保障すればいいのだから、年金は支給できない。
厚生労働省前で支援を訴えるアピール活動
 無年金障害者が訴え(朝日新聞 2002.8.28 )
 国民年金が任意加入だった学生時代に未加入のまま障害を負ったため、障害基礎年金
が受けられず、国を相手に損害賠償などを求めている「学生無年金障害者」訴訟の原告らが27日、東京・霞ヶ関の厚生労働省前で年金支給を訴えた。

第8回口頭弁論予定
日時11月7日(木)午後3時
場所 3階1号法廷
(傍聴に来られる方は3階1号法廷前までお越しください。誰でも傍聴できます。席は50席(内車椅子用席6席)
裁判終了後、1階弁護士控室にて裁判内容を説明をする、説明会も開きます。)


裁判ニュース6号
 第1部支援する会設立総会において、会長、青木学さん(新潟市議会議員)・副会長、黒岩秩子さん(前参議院議員)篠田隆さん(自立生活支援センター新潟代表)・事務局、広島幹也さん(同)・顧問、和田光弘先生(新潟弁護団団長)の役員就任の件、さらに申し合わせ事項、予算等の承認を頂いて新潟学生無年金障害者を支援する会は、「学生無年金障害者訴訟」の勝利を目指して新たなる出発を致しました。
 第2部の記念大会では、精力的に活動して全国の運動の中心的役割を果たしている、京都原告の坂井一裕さんをお迎えして裁判に至る経緯や関西での活動の様子、年金を必要とする事情などお話いただきました。
 続いて、参議院議員の黒岩宇洋さんが急遽駆けつけてくださり、平成6年に国会で附帯決議されたにも関わらず厚労相の役人は一切検討していない恐ろしい人間達である。 役人は「社会保険制度」を守ろうとしているが、私たちは「社会福祉制度」を守ろうとしているのだ。さらに無年金障害者問題解決議連結成の準備をしているなど、新潟では分からない永田町での動きをお話頂きました。
 3部では、いつもとは趣向を変え新潟お笑い集団「NAMARA」の2人によるパホーマンスで楽しい一時を 過ごし4時に閉会となりました。多数の皆様にご参加頂きまして、ありがとうございました。

青木学会長
青木会長
     黒岩宇洋 議員と秩子副会長(右)
黒岩宇洋 議員と秩子副会長(右)
和田弁護士(中央)と新潟お笑い集団NAMARA
和田弁護士とNAMARA
   阿部正剛(新潟原告)
阿部正剛
第6回口頭弁論報告
日時 平成14年7月25日(木)
時間 午後3時より
裁判長 犬飼裁判官
原告 遁所直樹 阿部正剛
弁護団 和田 今井(慶)大澤 辻澤 渡辺各先生(本日出席)
被告 国7人出席
傍聴者 約40名

原告 大澤理尋弁護士より第5回準備書面の説明(抜粋1部変更全文HPにて公開)
@本件は障害者の人権問題である。 
 20歳以上の学生であったか否かにより障害をもつ人を不合理に差別するものであり,憲法14条1項に反する。
 さらに,原告ら障害をもつ人にとって,障害基礎年金の受給を求めることは,障害をもたない人との間の実質的な平等を求める平等権の行使に他ならない。
A国連障害者権利宣言
 この宣言は,障害をもつ人に対する人権保障に関するグローバルスタンダードというべきものであり,「通常のかつ十分満たされた相当の生活を送ることができる権利」「相当の生活水準を保つ権利」と表現されている。障害をもつ人の不利益や負担を解消し,障害を持たない人との平等を回復するための生存権を定めたものと解され,しかもその所得保障は,「最低限度の生活水準」を超える「相当の生活水準」を保つものでなければならないと規定されているのである。
 本件で原告らが求めている障害基礎年金も,まさにこの国連障害者権利宣言が求めている障害をもつ人に対する生存権保障,平等権保障を実現する方策のひとつであり,この宣言に適合する立法及び解釈がなされなければならない。
B障害者基本法
 「国及び地方公共団体は,障害者の福祉を増進し、及び障害を予防する責務を有する」,「国及び地方公共団体は,障害者の生活の安定に資するため,年金・手当等の制度に関し,必要な施策を講じなければならない」としている点である。
 即ち,障害をもつ人が自立し,障害をもたない人と同等にあらゆる分野に参加するためには,生活の安定=経済的に自立していることが必要であり,そのための具体的な施策として年金の重要性とそれに対する国の責務を明らかにしたものというべきであ
Bノーマライゼーション
 ノーマライゼーションとは,障害のある人も障害のない人とともに家庭や地域で通常の生活をすることができるような社会をつくるという理念であり,現在では国際的に定着した杜会福祉の理念である。
 「障害者対策に関する新長期計画」においても,「障害基礎年金等は,障害者の生活を保障し,経済的自立を図る上で大きな役割を果たしており,その充実を図ることは大変重要」と述べている。
 障害をもつ人が自立し,その尊厳を尊重されて社会生活を営めるだけの援助を行う年金制度の確立は,国の義務である。
 このように、障害を持つ人が自立するために,障害を持つ人に対する所得保障の重要性が国際的にも国内的にも指摘されているところである。
C身体障害者実態調査
 全国の18歳以上の身体障害者数は、293万3千人で、年金を受給していない人が17.6%にも上っている。そして、不就業者が66.8%にも上っている。障害をもつ人が就労することの困難性がこの数字からも明らかであろう。(以下略) 
第7回口頭弁論予定
日時 9月30日(月)午後3時30分
場所 3階1号法廷
(傍聴に来られる方は3階1号法廷前までお越しください。誰でも傍聴できます。席は50席(内車椅子用席6席)
裁判終了後、1階弁護士控室にて裁判内容を説明をする、説明会も開きますので、大勢の方の傍聴をお願いします。

裁判ニュース5号

三条市で第3回シンポジウムを開催
 5月25日(土)ソレイユ三条(三条市勤労青少年センター)で午後1時30分より
第3回学生無年金障害者問題シンポジウムを開催致しました。
 当日は、三条市内外よりお忙しい中、約60人の参加者があり、また多くのカンパを頂き誠にありがとうございました。  コーディネーターの新潟日報論説委員簑輪紀子氏の司会で始まり、新潟大学法学部教授加藤智章先生は制度の不備により多くの無年金障害者が発生している現実を踏まえ、国民皆年金の幻想を鋭く指摘、黒岩秩子前参議院議員は、議員時代に何度もこの問題を国会で質問し坂口厚労大臣とも大臣室で直接話し合いをしたこと、5月21日の「今国会末までに私案を出す」との発言に至るまでの経緯、現在、黒岩宇洋議員も加わり議員連盟を作る動きがあるなど、新潟ではよく分からない国会での動きをわかりやすくお話した頂きました。また、遁所・阿部両原告も障害を負った時から現在までの生活をOHPを使って話し、障害者にとっての障害年金の必要性を訴えかけました。最後に新潟弁護団長の和田光弘弁護士が裁判では被告「国」が私たちの主張に対し、全面的な棄却を求めて真っ向から戦う姿勢を見せている。今でこそ私たちの運動のお陰で、20歳になったら国民年金についての広報がなされるようになったが、原告が学生の頃には全くと言っていいほど、学生には国民年金制度について広報がなされていなかった。ことなどお話があり、4時に終了致しました。      







左より
新潟日報論説委員 簑輪紀子氏
遁所直樹 阿部正剛

坂口厚生労働大臣「今国会末までに私案を出す」
 坂口力厚生労働相は五月二十一日の参院厚生労働委員会で、学生時代に障害を負い、国民年金に未加入だったために障害基礎年金を受給できない学生無年金障害者問題について、今国会会期末までに解決に向けた「厚労相案」を示す考えを表明した。
 厚労相は「年金局はうちの関係ではないと言うし(社会・援護局の)障害保健福祉部もうちの方でもないと言って、たらい回しになっている」と指摘。その上で「いつまでもたらい回しにしていてはいけないので、今国会末までにこうしたらどうかというわたしの案を示したい」と述べ、問題解決への意欲をあらためて示した。
 共産党の井上美代氏への答弁。共同通信ニュース速報 
回口頭弁論報告
日時 平成14年6月13日(木)
時間 午後3時30分より
裁判長 犬飼裁判官
原告 遁所直樹 阿部正剛
弁護団 和田 今井(慶)大澤  近藤 辻澤 渡辺各先生(本日出席)
被告 国9人出席
傍聴者 約40名
請求の趣旨
@被告社会保険庁が行った障害基 礎年金を支給しない旨の決定をいずれも取り消す。
A被告国は原告らに対し、各2千万円を払え。
B訴訟費用は被告らの負担とする。
C仮執行宣言との判決を求める
原告 今井慶貴弁護士より第4回準備書面の説明(※注 一部容易な言葉に変更)
@国民年金法制定時(昭和34)に学生を強制適用の対象外とした被告の説明に対する反論
被告 学生には稼得能力(収入)が無いために強制適用から除外した。
原告 収入がないからといって強制適用の対象外とすることは著しい不合理である。
一、国民皆年金の理念に反する。 「国民皆年金」の理念は憲法二五条(全ての国民は健康で文化的な生活を営む権利を有する)に由来し、低所得者にもあまねく年金を給付をすることを意味するものである。その為、強制適用であること、国庫負担があること、低所得者や障害年金受給者に保険料免除規定があること、などはその現れであり、保険原理ではこれらを説明できない。適用除外によって資力のない学生は税金によって負担される国庫負担部分からの受給すら受けられない。
二、国民年金の基本構造に反する 学生については、保険料を払う力がある者のみを被保険者とすることは制度としての整合性に欠ける。
三、適用除外から予想される結果に対する配慮がない。
 学生の任意加入制度は、大量の無年金者の発生を容易に予想できたにも関わらず、無年金者の発生を防止するための有効な対策(例えば追納制度・半額免除制度充分な広報や個別的教示など)なんら施さなかった。 
被告 学生には労働能力がないからその減損に対する保障の必要性がない。
原告 学生には労働能力が無いのではなく一時的に労働に従事していないだけであり、労働能力が減損することやそれに対する保障が必要なことは、非学生と何ら変わりはない。二〇歳未満で初診のある国民には保障している(障害年金を給付している)ことと矛盾する。二〇歳以上の学生とて稼得能力を生涯にわたって奪われていることに何ら変わりはない。
被告 学生に保険料免除を認めることは二〇歳以上の勤労者と均衡を失し、保険料の拠出意欲をそぐ。
原告 対比の対象が作為的である。本来学生の免除者と対比すべきは、二〇歳以上の非学生であり、逆に学生にのみ免除制度が無いことの方が均衡を失する。また、保険料拠出者とも均衡を失しない。免除者は老齢年金に関しては、満額の受給を受けられないのであり、かつ障害基礎年金は拠出期間と金額との対応は無いのであるから均衡を失す事はない。
A二〇歳以上の学生は、二〇歳以上であっても収入がないから強制適用の対象外(免除制度がない)としたと言われ、同じ学生でも20歳未満で初診日がある人は受給できる無拠出制の障害年金制度からは、二〇歳以上で国民年金に任意加入の途があったと排除されている。まるで「コウモリ」のように両方の制度から爪弾きにされ、憲法14条に反する著しく不合理な差別である。(以下略)
第六回口頭弁論予定
日時 7月25日(木)午後3時
場所 3階1号法廷
(傍聴に来られる方は3階1号法廷前までお越しください。席は50席(内車椅子用席6席)
 裁判終了後、弁護士控室にて裁判内容を説明をする、説明会も開きますので、大勢の方の傍聴をお願いします。



第4回口頭弁論報告
新潟日報 私の視点「学生無年金障害者に年金支給を」 塚野正治
 本県では、二人の学生無年金障害者が、障害基礎年金の支給を求めて提訴している。
 学生の無年金障害者が発生した原因は、現在では二十歳になれば、すべての国民は国民年金の加人者となる制度となっているが、障害基礎年金が創設された一九八五年からの六年間は、二十歳以上でも、学生は任意加人となっていた。(国民年金法の施行時一九六一年(昭和36年)より一九九一年(平成3年)の改正まで30年間が任意加入制度でした。)
 多くの自治体は、その制度の危険性を周知しないばかりか、「卒業してから加入」を勧める対応まであったようだ。そのため、当時の学生の九十九パーセントは未加人だったという。
 ほぼ全員が非加入の現象は、制度を知らない学生が大部分であったことに加えて、仮に知っていても、白分が「親のスネかじり」の身分であるから、保険料の負担をかけないよう「白分に限って災難はない」と思って加人しない選択は、むしろ自然と思う。
 こうした事情を理解してか、九四年の年金改定法案では、衆参両院で無年金障害者の対策を「すみやかに検討」することが付帯決議され、翌九五年の「障害者プラン」にも「無年金障害者の所得保障は急務」であることが確認されている。
 私は、学生無年金障害者への年金不支給は「制度の欠陥」に加えて「行政の怠慢」責任と「憲法達反」の三つの面で問題があると思っている。
 学生も強制加人となった現在では、保険料の免除制度もあり、以前から二十歳未満での障害については、二十歳に達すると障害基礎年金が支給される。このことは、憲法第十四条の「法の下の平等」に違反している。
 裁判で国は「国会決議は法の枠を超えており不支給は現法では合法」と主張し、憲法を敬遠しているかに思われる。行政は「代わるべき救済施策の検討を八年間も放置しており、立法府とともに怠慢責任回避の高慢な詭弁(きべん)」だと思う。
 私の感覚では、憲法二十五条は保険のような選別性はないと思うので、障害者の障害保障は、加人が条件の国民年金とは別制度を創設して、保障しなければ違憲だと考える。世界トップクラスの経済大国の国民が、障害者となり、生存の危機にひんしても、希望を夫わない社会保障制度がないことは、国民の不幸だと思う。いくら医学の進歩で生命が救われても、社会に生かされるシステムがなければ、あまり意義はない。
 学生無年金障害者だけでなく、何らかの理由で国民年金未加入と判定されている障害者も多く、全国で約十万人と推定されている。学生無年金の裁判は、社会から「暮らしの絶望」を消滅させることにつながる重要な裁判だと位置づけている。
 政治は、生存権は「生活保護法」で保障していると説明するが、この法律は世界に類のない「保護の補足性」が強く、欠陥の大きい制度だと思う。 私は、この裁判は原告の主張に道理があるし、障害者問題は福祉より人権保障の分野だと思う。
 
回口頭弁論
日時 平成14年4月11日(木)
時間 午後4時より
裁判長 犬飼裁判官
原告 遁所直樹 阿部正剛
弁護団 和田 今井(慶) 大澤 近藤 辻澤 渡辺各先生(本日出席)
被告 新潟地方法務局訟務部
傍聴者 約50名
 請求の趣旨
@被告社会保険庁が行った障害基礎年金を支給しない旨の決定をいずれも取り消す。
A被告国は原告らに対し、各2千万円を払え。
B訴訟費用は被告らの負担とする。
C仮執行宣言
 との判決を求める
原告 近藤明彦弁護士より第3回準備書面の説明(抜粋)
@被告は、「国民皆年金とは、全ての国民が年金保険に保険料を払えば加入できると言うことであり、非加入者に年金を支給することではない」と言っているが、国民年金法第1条2条、日本国憲法25条に基づいて、「国民皆年金」とは、全国民を対象として、老齢・障害・死亡による収入の喪失に対し、広く年金の給付による所得保障を行い、これにより貧困を防止して、最低限度の文化的生活を保障しようとするものであり、その核心は、悪質な保険料長期滞納者を除いて無年金者の発生を防止しようとするものである。
A被告は、「全国民が任意加入制であっても国民皆年金に反しない。」さらに「保険料を納付したものだけに年金給付を行えば、国民皆年金を実現したことになる」と言っているようであるが、これは社会保障制度の根幹である国民皆年金の理念を殊更にわい小化し、あたかも国民年金制度が民間の損害保険や年金保険と同じだと言っているようなものである。
B「国民皆年金」の理念について、国民年金法の制定時に厚生大臣は、「拠出制のみでは老齢者、身体障害者又は母子世帯あるいは将来にわたって保険料を拠出する能力が十分でない不幸な人々には年金の支給が行われないこととなりますので、これらの人々にも年金を支給いたしますことによりまして、文字通り国民皆年金の実をあげるために支給することとしたのです」と言っているし、政府委員の小山進次郎は「かえって所得がないとされておるような人、そういう人々こそ年金制度で抱きかかえていかなければならないもの・・・」 「突然にけがをするとか、あるいは配偶者を失うというような予測することがほとんど不可能な事故に対しては、保険料を納めておる、あるいは納めていない、あるいは納めることができなかった、納めることができたということの違いをなるべく反映させないようにする。言いかえますならば、何か非常に意識的な意図を持って保険料の納入を怠らない限りは障害年金や母子年金がいくようにする、かように組み立てた」 と発言している。以上の発言や文献等によっても被告の主張は立法者の意志に反する浅薄な見解である。
C老齢年金と障害者年金の違い。
老齢とは予測できる事態であるので老齢年金については、将来に備えて保険料を拠出させることが可能であるのに対し、障害という事態は、予測が困難な不測の事態であり、特に収入がなく保険料の負担が困難な者についてまで保険料を求めるとすれば、保険料を支払いたくても支払えない事情がある者が不測の事故により障害者となった場合、本人には何らの落ち度もないにもかかわらず、生涯にわたって何らの保障も受けられてないことになり、社会保障制度としての国民皆年金の理念に反すると考えられることから、国民年金法は、障害年金については保険原理を排除する考えを採用し、無拠出制年金制度を創設したのである。
D被告は、「学生は、就職しておらず収入が無いので、収入に対する保障の必要も無いのだから、保険料の支払いをさせることも不相当である」と主張するが、被告の主張は、平成元年改正後の国民年金法では、学生を被保険者とするよう改正したのであるから、この改正は不相当な改正を行ったと言っている事である。「収入が無いから減損に対する保障の必要は無い」とは、何をかいわんやである。卒業後に仕事に就くことが予定されていたところ、就職できなくなって収入の途が途絶えたのであるから、まさに減損に対する保障の必要性が特に高いのである。
 であるから、国民年金制度から除外するのではなく、現行法のように強制適用とした上で、保険料の免除制度を導入すべきであったのである。
E結論
 以上に見たとおり、学生等を強制適用から敢えて除外することには何ら合理的な理由はなく、しかも、強制適用から除外するのであれば、当然に20歳前初診による障害福祉年金(無拠出の障害年金)と同様の立法措置がなされるべきであったのであり、何らの立法措置も講ずることなく、学生等を強制適用から除外して年金制度の対象外としたことは、国民皆年金の理念に真っ向から反したものであったと言わざるを得ない。 よって、学生等に対して国民年金法の適用を除外した昭和34年立法当時の国民年金法7条2項7号は、国民皆年金の趣旨に反するものであり、学生等を不合理に差別する立法として憲法14条に違反するものであり、かつ、最低限度の文化的生活を保障した憲法25条I項及び2項に違反し、違憲無効であるというほかない。
以上
第5回裁判予定
6月13日(木)午後3時30分より
3階1号法廷
(傍聴に来られる方は3階1号法廷前までお越しください。席は40〜50席(内車椅子用席6席)
 裁判終了後、弁護士控室にて裁判内容を説明をする、説明会も開きますので、大勢の方の傍聴をお願いします。

第3回口頭弁論報告
日時 平成14年2月25日(月)
時間 午後4時より
裁判長 犬飼裁判官
原告 遁所直樹 阿部正剛
弁護団 和田 足立 今井(誠)今井(慶) 遠藤 大澤 近藤 辻澤  各先生(本日出席)
被告 新潟地方法務局訟務部
傍聴者 約50名
請求の趣旨
@被告社会保険庁が行った障害基礎年金を支給しない旨の決定を
いずれも取り消す。
A被告国は原告らに対し、各2千万円を払え。
B訴訟費用は被告らの負担とする。
C仮執行宣言

坂口厚労大臣「年内にも結論」
被告「関係ない」

 平成14年2月25日午後4時より第3回口頭弁論が開かれました。
 今回、私たちは大きな期待を込めて裁判に挑みました。それは1月11日、裁判に大きな影響を与える重要発言が有ったのです。
 坂口厚生労働大臣が、閣議後の記者会見で無年金障害者の問題について「法律の谷間で苦しんでいる人がいる以上、真剣に考えたい」「障害者になられた方を一体どうするのかといった問題は、やはり政治の場では大きな問題になるだろう。これは年金の範囲を超えた問題になると思いますが、結論を出さなければならない問題だと思っている」と発言し、また今年中に結論を出すのかと言う記者の質問に対し「できるだけ早く出した方が良い」と答えました。
 この会見には「年内にも結論」(朝日新聞)「学生時に障害・年金不受給早期解決に意欲」(日本経済新聞)等で大きく報道されました。
 これら大臣の発言は、私たち学生無年金障害者の裁判を意識したものであり、問題解決に向け大きな前進と勇気付けられました。
 しかし、所轄官庁の大臣が問題解決に大きな意欲を示しているのも関わらず、被告席にいる役人は大臣発言を「本裁判には、関係ない」の一言で一蹴してしまいました。
 国民によって選挙で選ばれた厚生行政の最高責任者が「法律の谷間で現実に苦しんでいる人がいる」と私たちの置かれた深刻な状態を、これ以上放置できないと知った上で、「早期の解決を」と行政が責任を持って解決に当たるべく決意を示したにも関わらず、被告は私たちの声も聞く耳を持たないばかりか、大臣の発言さえも「関係ない」などと発言する驕りと傲慢さに怒りを感じ、今日本で数々繰り返される役人の不祥事の本質を垣間見たような気がしました。
 裁判では原告・被告の主張を書面(準備書面と言います)でやり取りしていますので、双方の準備書面の一部を紹介します。
(1)被告・訴状には学生を国民年金の被保険者から除外したこと、「任意」加入していない学生無年金障害者に障害年金を支給しないことが憲法違反と主張するが、@平成元年改正前国民年金法の法令違反のみを主張する趣旨、あるいはA主位的に同法の法令違反を主張し、予備的に原告らに対する本件各処分の違憲を主張する趣旨のいずれか?
原告・国民年金法の法令違反に加え、予備的に、法30条の4を合憲的に解釈して原告らに適用しなかった点において、処分の違憲・無効を主張する趣旨である。
(2)被告・「適用を除外された主婦や学生等は加入しなくとも良いとする広報がなされた」「窓口に行ったら卒業したら厚生年金等に加入するから入らなくても良いとの指導がなされた」の点について、いつ、どこで、誰に対してなされたものか?
原告・一例として同様の裁判を大阪地裁に起こしている辻一さんの事例がある。辻さんは20歳になったとき市役所に出向いて国民年金について相談したところ、市職員より「満額年金支給の為、任意加入することもできるが、適用除外となっているので加入しなくても良い。就職すれば厚生年金や共済年金に加入するので卒業時まで待っても良い。急いで絶対国民年金に加入しなければならない事はない」と回答された為に、加入せず学生無年金障害者となってしまった。
 他にも行政が指導や取扱いを誤った事例は数多くあり、在日韓国人に受給資格がないにもかかわらず、130ヶ月も保険料を納めさせ、受給段階で国籍要件を欠いていると老齢年金の支払いを拒否し裁判で争われた事例もある。(裁判で年金の受給が認められた)この様な事例は、他にも81件もの誤指導による加入があったと指摘されている。
(3)被告・各取消請求ないし国家賠償請求といかなる関係に立つのか?
原告・原告らが求めている事は、本来、学生は国民年金制度のらち外におかれるべきではなく、学生の時に障害を受け、障害基礎年金を請求しえたはずの時点から、障害基礎年金が支給されるべきだったと言うことである。そのため一定時点から将来に渡って障害基礎年金を請求しうる地位が必要で有るため処分の取り消しを求めたのである。
 その上で、障害を受けた時から本来請求できたにも関わらず、請求できなかった状態が今日まで続き、なおかつ回復し得ない損害を賠償責任により求めたものである。
 その為に、取消請求の論拠として憲法違反の立法無効、周知不徹底をあげている。
(4)原告・国民年金法の立法当時(昭和34年)の基本的考えを知るために以下の通り釈明を求める。
1.「学生を国民年金の被保険者としない」としたことについて、その立法理由を示す資料は有るのか?
2.学生を除外した場合、原告らのように学生無年金障害者を生ずる恐れが有ったのに、国会・政府はその危険性を検討したのか?。
3.国民年金法の立法に当たって、他の選択肢(平成元年改正法のように学生を強制加入とし、保険料の免除又は猶予を認める制度の採用)は考慮しなかったのか?
4.20歳未満の障害者を無拠出制として設けたにも関わらず、障害という予測不可能な不慮の事由に対し20歳以上の学生の障害者と異なる取扱いをする理由は何か?。
5.国民年金法本文でなく、附則6条に於いて任意加入制度を定めた理由は何か?。また、なぜ免除(又は納付猶予)制度も併せて設けなかった理由は何か?。
6.任意加入制度の周知徹底方法はどのような方法をとったのか?。具体的な通達や指示文書はあったのか?。その周知の程度について確認したのか?
被告・先に提出した資料にて釈明済み。(※先の裁判後、立法当時の国会議事録が提出されていますが、あまりにも膨大な量〔電話帳3冊分位〕で有るため要領を得ず、現在弁護団で分担精査中です。裁判官からも、要点を整理して提出するよう指示が出ています。)
(5)原告・求釈明の追加
1.昭和36年4月より強制適用となるまでの間に、任意加入した学生の各年の数を明らかにされたい。
2.平成3年4月1日以降、強制適用となった後、免除を利用した学生の各年の数を明らかにされたい。
3.平成12年改正後の特例納付制度を利用している学生数を明らかにされたい。
 以上、被告に資料の提出を求めています。
坂口厚生労働大臣発言を受けて
 冒頭でもご紹介しましたが、1月11日、坂口厚労大臣の発言には、私たちは大変に注目しております。しかしながら、過去にも平成元年に「学生時の障害無年金者の所得保障の充実について検討すること」と附帯決議が採択された時にも、平成6年に衆参両院で「無年金である障害者の所得保障について検討する」と附帯決議が採択された時も、何ら救済措置も行われず今日に至っています。
 このままでは、過去の例のように具体的に何も行われず言葉だけで終わってしまう可能性が有ります。
(現に、被告席の役人は「関係ない」発言しています)
 この発言を中味有るものにするため、訴訟全国連絡会や各地の原告団で厚生労働省に大臣との懇談を申し入れましたが、国会開催中につき難しいとの回答でした。しかし私たちは、引き続き面談を申し入れ、関係議員への陳情や要望書の提出等、より一層政府への働きかけをしなければならないと思っています。その為には、さらなる皆様のご支援・ご協力をよろしくお願いします。
 
次回の裁判予定
平成14年4月11日(木)
午後4時より3階1号法廷
(傍聴に来られる方は15分前までに正面玄関までお越しください。席は40〜50席(内車椅子用席6席)ありますがこれ以上ですと抽選になりますのでご容赦ください)
 裁判終了後、傍聴に来られた方に本日の裁判内容をわかりやすく弁護士の先生がお話をする、説明会も開きますので大勢の方の傍聴をお願いします。

第2回口頭弁論報告

日時 平成13年12月13日(木)国準備書面(1)
時間 午後4時より
裁判長 犬飼裁判官
原告 阿部正剛 (遁所直樹、入院中につき欠席)
弁護団 和田  今井(慶) 足立 大澤 川上 辻澤 渡辺各先生(本日出席)
被告 法務省法務局訟務部 8人
傍聴者 約50名 他マスコミ多数
請求の趣旨
@被告社会保険庁が行った障害基礎年金を支給しない旨の決定を
いずれも取り消す。
A被告国は原告らに対し、
各2千万円を払え。

B訴訟費用は被告らの負担とする。
C仮執行宣言
との判決を求める

1.被告の約束違反に対し原告、大澤弁護士より抗議文の陳述。(抜粋)
 被告らが約束した時期に準備書面を提出しなかったことは厳しく非難されるべきである。
 前回10月18日のロ頭弁論において、被告らは、本年11月16日までに訴状の請求原因の認否を含めた反論主張の準備書面を提出することを裁判所及び原告らに対し約束した。
 これは、被告らからなるべく早期に請求原因の認否・反論を提出し、原告らも弁護団会議で十分に被告らの認否・反論を検討しそれに対する再反論を準備することによって、次回口頭弁論における審理を充実したものにすることを目的としたものであり、重要な約束であった。
 しかしながら、被告は、12月13日(裁判当日)なってようやく準備書面を提出する有様であり、上記約束を簡単に反故にしたのである。
このような被告らの不誠実な対応は、厳しく非難されて然るべきである。
 深刻な現実的不安をつのらせている本件各原告に対し障害基礎年金が一日もはやく支給されることこそが、各原告が地域で安心して自立した生活をおくるために不可欠である。
 障害年金をはじめとするわが国の障害のあるひとに対する所得保障の改善充実をもとめる多くの声を代表して、本件訴訟を遂行している。それだからこそ、傍聴席が満杯となったのである。本件訴訟の口頭弁論期日を被告らが書面を提出するだけの形式的なものとすることは、原告らのみならず、本件裁判に対する多くの障害を持つ人達の期待を裏切るものであり、許されることではない。
 以上から、被告らが約束した時期に準備書面を提出しなかったことに対し強く抗議するとともに、裁判所におかれましても、今後この様なことの無いよう被告らに厳しい注意を促す旨の訴訟指揮をお願いする次第である。
2.被告準備書面(1)抜粋
(全43ページ・ホームページにて全部公開しています)
1.国民年金制度は、拠出制の年金制度を原則として組み立てられており、無拠出の年金は、あくまで拠出制の年金を補完するものとして設けられたものにすぎず、両者は並立的に存在するものではない。
2.原告らがいう平成6年に行われた国会の付帯決議は、「無年金である障害者の所得保障については、福祉的措置による対応を含め検討すること」という趣旨のものであり、「無年金である障害者へ(年金を支給すること)の対応」ではない。
3.「国民皆年金」とは、すべての国民が年金保険制度に加入し、又は加入することができるとの趣旨であり、非加入者に年金を支給することを意味するものではない。
4.学生については、これを強制適用の対象とし、保険料納付義務を負わせることには問題があると考えられたため、強制適用外とされた。なお、仮に強制加入とした場合、学生である間は保険料を納付させ、卒業後、就職して被用者年金制度に加入した場合には国民年金の対象者から除外することとなり多くの場合に保険料が掛け捨てとなることも考慮された。
(強制適用を)20歳以上からとしたことを受けて、加入したくても加入することのできない20歳未満の者に対し、補完的に障害年金を給付するとしたものであって、任意加入が可能であった20歳以上の学生とは利益状況を異にするのであるから、類推の基礎を欠くというべきである。
5.憲法14条に違反しないこと。
学生を、学生でない者と区別し、国民年金の強制適用の対象外とした立法理由には十分合理性があり、著しく不合理であるとはいえないのであるから、立法府には、与えられた合理的な裁量判断からの逸脱はない。
6.憲法25条に違反しないこと。
同条1項は、国が個々の国民に対して具体的・現実的に右のような義務を有することを規定したものではなく、同条2項によつて国の責務であるとされている社会的立法及び仕会的施設の創造拡充により個々の国民の具体的・現実的な生活権が設定充実されてゆくものであると解すべきことは、すでに当裁判所の判例とするところである。措置は、立法府の広い裁量にゆだねられているのであり、裁判所が審査判断するのに適しない事柄である。
7.任意加入者に対し保険料を免除しないことには合理性があること。
国民年金制度は社会保険であり、加入した者に対して保障を及ぼすことを大原則としているのであるからそもそも、加入していない者に対して給付を行うことができないので、これがぺナルティーなどではないことは明らかである。
8.憲法31条に違反しないこと。
憲法31条が適用されるのは、刑事手続ないしは刑罰に酷似するような制裁を科する手続に限られるというべきところ、国民年金制度がこれに該当しないことは明らかである。
9.憲法13条の適用がないこと。
国の法令は公布によつて国民に周知されたものとして、国民の権利義務を創設あるいは規制する効力を発するものであり、法的義務としての周知徹底義務は存在しないからである。10.社会保障制度の告知・教示については、法令で義務づけられている湯合を除いて、これを行わないからといって、行政庁に何らかの法的責任が生じる事はない。
11.障害者に対しては、国民年金法による所得保障以外に、更止援護のための各種福祉サービスの提供や、国民の最低限度の生活保障である生活保護制度の適用も行われているところであって、これら現に行われている社会保障政策を前提とすると、国民年金に加入しなかった者に対して、同法における給付を行わないことが、立法の裁量の逸脱ないし濫用であるとは到底いえない。
3.結論
 以上の通り、原告らの主張はいずれも理由がないことが明らかであるから、速やかに棄却されるべきである。
 (被告「国」は、全面的に争う構えを見せており、国会での年金制度に係わる議事録も提出してきました。)
4.次回の裁判予定
平成14年2月25日(月)
午後4時より3階1号法廷
(傍聴に来られる方は30分前までに正面右側東門玄関までお越しください。席は40〜50席(内車椅子用席6席)ありますがこれ以上ですと抽選になりますのでご容赦ください)
次回は国が提出してきた準備書面に対し原告が反論・求釈明を行います。
裁判終了後、傍聴に来られた方に本日の裁判内容をわかりやすく弁護士の先生がお話をする、説明会も開きますので大勢の方の傍聴をお願いします。(説明会の様子)
裁判後の説明会1
マスコミ関係者
裁判後の説明会2

先日、新潟日報に前参議院議員で「元大地塾」主宰の黒岩秩子さんの投稿が掲載されました。黒岩さんは、毎回傍聴に来てくださり、国会でも無年金障害者の問題を質問された事もあって、以前よりこの運動をご支援していただいておりまして、お礼申し上げます。











第1回口頭弁論報告

日時 平成13年10月18日(木)
時間 午後2時より
裁判長 犬飼裁判官
原告 遁所直樹 阿部正剛
弁護団 和田 辻澤 今井(慶) 足立 大澤 川上 渡辺各先生(本日出席)
被告 法務省法務局訟務部 7人
傍聴者 約50名 他マスコミ多数
 
 
1.請求の趣旨
@被告社会保険庁が行った障害基礎年金を支給しない旨の決定をいずれも取り消す。
A被告国は原告らに対し、各2千万円を払え。
B訴訟費用は被告らの負担とする。
C仮執行宣言
 との判決を求める。
2.原告弁護士の意見陳述(抜粋)
1..学生無年金障害者の裁判は全国で9ヵ所(札幌・盛岡・東京・京都・大阪・岡山・広島・福岡)で30人が裁判を起こしています。
2.平成3年4月1日より学生が強制加入になるまで実に99%人が国民年金に加入していなかった。裁判官や被告席にお座りの代理人の方々も、ご自分の学生時代に任意加入していたか思い出してい頂ければおわかりと思います。
3.「任意加入をしなかったお前が悪い」と言われ、被告の主張もそうかもしれない。しかし任意加入制度は、存在及び加入しなかった事の不利益さえも告知が無かった、さらに免除制度も無かった不十分な制度だった。
4.20歳未満の人たちは保険料を掛けていなくとも障害基礎年金が支給されます。平成3年4月1日以降の学生は免除制度があり、同じく保険料を掛けていなくても基礎年金を支給されています。また本人に支払いの通知が来ます。原告らは、旧法時代のエアポケットに入ったまま取り残されているのです。これが「学生無年金障害者」であり、国が作った「国民皆年金」制度の被害者です。
5.障害者が自立した生活を営むための所得保障として、また、自らが働いて社会での役割を果たすため、生活保護ではなく年金を求めるのは当然の権利であると考えます。
6.立法からも、行政からも除外され、最後の拠り所として裁判所の門を叩きました。裁判所におかれては形式的・概念法学的な判断態度で「我関せず」と言うような事はないようにしてください。以上
3.阿部正剛の意見陳述(抜粋)
 私は専門学校の3年生の昭和6315日、東京のディスコで巨大照明装置が落下して脊髄損傷対麻痺となりました。
 現在の私の生活は身の回りの事は全て母親にしてもらい、父と共に鍼整骨院で仕事をしながら生活しています。しかし、車椅子に乗っていて、全ての患者さんに治療が出来るわけではありません。父も年々年老いて体が弱くなりいつまで仕事を続けられるか分からず、母もいつまで家事ができるか分からず毎日が不安の連続です。
 事故の賠償金はバブル崩壊による会社の倒産で全てを支払って貰えませんでした。自宅も新築しなければならず残りもわずかです。
 私は両親が苦しい家計の中から学費を出してくれ、20歳を過ぎてもまだ勉強を続けなければならなかったのです。その当時、学生が任意加入制など聞いた事もありません。たとえ国民年金に加入したいと思っても、経済的に苦しい中からさらに私の老後の年金までめんどうをみてくれとはとても言えなかったでしょう。 しかし不幸にも重度の障害を負ったらこんどは保険料を払わなかったお前が悪いと言われます。日本では金銭的に余裕のない家庭では20歳を過ぎたら勉強してはいけないのでしょうか?。その様な人間にこそ年金が必要なのではないでしょうか。
 ほとんどの重度障害者は、家族の経済的な負担、肉体的な負担、精神的な負担のもとにやっと生活を維持しているのが今の日本の障害者の姿なのです。
 しかし今までの厚生労働省の対応は私たちの訴えには一切耳を貸さず、無年金障害者が生まれた原因を当時者の責任としたり、一方では立法府の責任としたり、責任逃れに終始するという悔しさを通り越して怒りさえ感じる対応です。
 本当は裁判までする気力も体力も限界なのですが、もう裁判所に聴いてもらうしか方法がなく今回提訴という道を選択しました。
 裁判所には法律の形式上の解釈や理屈で判断するのではなく、その裏に潜んでいる道理、正義に基づき判断をしていただきたいと思います。
 障害年金とはいつ誰もが陥るかもしれない重度障害を受けた者を、その人間らしい生活を支援しようとするものであるはずです。
 この裁判を通じて、無年金障害者の問題が解決され真の国民皆年金を確立して、みんなが安心して暮らせる社会になることを希望します
4.遁所直樹の意見陳述(抜粋)
. 私は大学院生だった24歳の昭和62年6月25日に五十嵐浜で首の骨を折り、手足が利かなくなり車椅子での生活を余儀なくされています。
 現在新潟市障害者生活支援センター(自立生活センター)に所属しています。しかし父にすべてを頼っているので、もしどちらかが倒れていれば職場をやめなければいけないという不安を持ちながら仕事をしています。
 私の場合理由は3つあります。
1つには無年金者であること。
2つには移動の確保が難しい。
3つには医療行為、身辺介助に人手がいること。
 障害を持つことが悲しいのではなく、障害を持つことによって社会で住み難くなるということが悲しいのです。つらいのです。父の助力がなければ生きていくことができないのです。せめて、障害から被る不利益の部分を補う意味で、障害年金が是非とも必要です。
 現在定年退職した父の年金が主な収入となっており、父が歯をくいしばって介護をし自分の生活と私の生活を支えてくれるので仕事をすることができます。
 重度の障害を持った私の場合、介護費用、交通手段、介護用品の保守点検などに10万単位の費用がかかります。自助努力だけではきちんとした生活が営まれることは難しいです。 障害者の生活にとって自立とは、自助努力として稼得収入と互助として障害年金と公助としての福祉の各種制度を受け「自助努力」「互助制度」「公助」の組み合わせで自己決定に基づく生活が自立と呼べるのです。
 障害を持っても普通に生活をしたい、その為に「互助」である障害基礎年金があってこそ可能となるのです。そして社会参加をし就労し税金を納めることにより国民の義務を果たして行けるのです。
 私は9月3日より過労がたたり入院生活を余儀なくされています。
 排泄行為・入浴行為・その他介助を受けるということまで含めた120%の努力ををしていたのが中庸の努力で落ち着くのです。
  どんな人でも努力は必要ですけれども障害があるが故の努力は中庸の努力で十分でないでしょうか。私の友人は努力に疲れ果て自殺をした人もいます。
 私は今まで述べてきたことを裁判官に認めてもらい、国に反省してもらいそして今までの不利益を償い、今後の保証を確保したいのです。
 さらには今後私たちと同じような境遇の若者たちが絶対に生まれないよう国に考えてもらいたいのです。
 障害基礎年金をください。それは私の権利です。そしてそれがあることで国民の義務を果たせることを御理解下さい。
4.被告側意見陳述
 11月中旬までに書面で提出します。(注、国側としては争う姿勢です。)
5.次回の裁判予定
平成13年12月13日(木)
午後4時より 3階1号法廷
(傍聴に来られる方は30分前までに正面右側東門玄関までお越しください。席は40〜50席ありますがこれ以上ですと抽選になりますのでご容赦ください)
次回は国が提出してきた答弁書に対し原告が反論を行います。
 裁判終了後、本日の裁判につきましてわかりやすく弁護士の先生が説明する説明会を開きますので、
大勢の方の傍聴をお願いいたします。

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